政治を志す女性が増えるといいと思っている。
でも議員になって本気で後悔したこと。
議員でも政党の特別党員でもなく、母親として悩んで苦しくて、失敗した話もしないと卑怯だと思う。
議員に限らず、情報発信ってそうかもなんだけど
心情を吐露したり、弱ってることを書くと
すごい善意のカタマリみたいな叱咤激励が押し寄せます。
「ならぬ堪忍するが誠の堪忍」が政治家だろう
妨害に屈するならその程度
少々のことでへこたれて市民への義務を果たせるのか
多くの人のおかげである立場だということを忘れずがんばりなさい
辞めろと反発を受けた時にどう考えるかで価値が決まる
くよくよしてたら後ろから刺されるのが政治
泣き言をいう暇があったら働け
…はい。
ごもっともでございます。
上記の例は、すごい妨害を受けたわけでも
議員が嫌になって辞めたいと言ったわけでもなくて
活動中に、狭い道で対向車とすれ違おうとしたら
ガリゴリゴリゴリガリー---
と、ぞっとする音がして、
ボディの板金とドア交換で40万の見積もりが出た時の投稿なんですけどね。
基本的に、ポジティブな投稿だけしておく、というのが
無難なところではあります。
正直、SNSはそれでいいと思うんですけど
せめてこのブログでだけは
いいことも悪いことも泥臭いことも
特に、議員になって活動してきて
失敗したり悔やんだり、辛くて書くのが勇気がいるようなことも
書いていかないと、それはそれで私の役割を果たせないんじゃないかなと思っています。
赤裸々に書くと必ず批判が
それも近い人や身内から愛情のカタマリの批判が来るのですが書きます。
ダメ母はネタじゃない。
本当に親として失格。取り返しのつかない後悔
私は自他共に認めるダメ母と幾度となく書いてきましたが
「そんなことないよ」と言ってもらいたいとか
「坂井よりまだマシだな」と思ってもらおういう自虐ネタでもなんでもなく
本当に母親業は失格レベルです。
それもこれも、子どもが小さいうちは実はごまかせたというか
おっぱいにうんちおしっこ、お風呂に入れる、着替えさせる、手や顔をふいてやる等々
お世話をすることや
送迎や保育など、助けてもらえる、頼らせてもらえる支援は
必ずあります。
私が娘を育てるにあたって、絶対に自分に課したのは
「衣食住、教育」
つまり、絶対に死なせないことと、学校に行かせることです。
私はシングルマザーですので、私の稼ぎが全て。
私が働いて、生活するためのお金を稼がなければ
娘は餓死するわけです。
それは絶対にさせない、衣食住と教育。
それが全てで、必死に働いてきて
たくさんの人に助けてもらって、娘を育てていただきました。
でも、母親に娘が必要とすることは
成長とともに変化していく。
ご飯やお風呂や送迎といった、アウトソーシングできるお世話ではなく
娘が成長して彼女の人生を生きていく中で
母親の私の助けを必要としている時に
私は助けられなかった。
娘の成長という変化に対応できず
本当に母親失格なことがありました。
選挙は子どもを犠牲にするか
昨年は自分の改選がありました。
1期目の最後1年は、コロナでとにかく自粛が求められた年。
ステイホーム。お家にいましょう。
人と接することが非とされ
誰とも会えず、活動することが非常識とされる世の中になって
組織票も地縁血縁票も持たない私は
直接知ってて、顔が見えて、応援してくれる人の票をリアルで1000票とる選挙ですから
苦戦を強いられました。
その時、娘は小学6年生。
明治5年の学制発布以来の休校。リモート授業。
行事も全て中止。
修学旅行も卒業式もないまま、小学校を卒業し中学生になりました。
母親の私は4月末の選挙に向けて
朝から晩まで活動漬け。
家にはほとんどおらず
昼夜を問わず、多くの関係者が自宅兼事務所に集まりました。
感染は拡大が止まらず
批判も、感染するリスクも承知で活動するしかなかった。
そんな母親の陰で
娘はコツコツ勉強して、私立中学に入学しました。
ここまで娘を放りっぱなし、
コロナ感染のリスクにさえ晒す受験生の母親でした。
入学式も縮小、部活も休止、保護者会などもリモートで
担任の先生とも他の保護者の方ともお会いすることなく
学校に行くこともなかった私。
2期目の当選後も、選挙イヤーで毎月選挙手伝いへ。
特に衆議院選挙では、政党から川口市の担当となり
連日、往復4時間かけて川口へ通っていました。
そんな衆議院選挙が終わるのを待っていたかのように
学校から呼び出しがあったのです。
「先生、すみません。母親として失格です。でも教えてください。」
呼び出された理由は一つ。
娘の成績の悪化です。
成績…私は反射的に先生に謝っていました。
「すみません。母親失格なんです。
娘の成績を把握していません。学校でそんなに勉強に問題があることも知りませんでした。
先生。入学してから今までを全部教えてください」
ものすごく頭の回転の速い先生でした。
5分で受けた的確な説明で、娘の置かれた状態を知りました。
著しく成績が悪化して、心配な生徒として何度も個別に呼んで指導をしてきた。
そして
「お母さんは今大事な仕事で川口にいて家にいない」と本人が言っていました、と。
いや。
泊りは初日の1泊だけで、毎日帰ってるって。
それも、ちゃんとお弁当作って、送り出して、それから夕飯の準備して川口へ向かってるし
帰りも20時(選挙活動が認められている時間)までいると夜10時を過ぎるから
10時過ぎての帰宅は中学生女子の親として遅いと思って
19時までにはあがって、夜9時までにはなるべく帰ってるし。
遅く来て早く帰る私は、戦力として全く評価されてないし
一生懸命、選挙の恩は返そうとしてるけど
それでも子どもの生活は優先してきたし。
なぜ不在の母親になっているんだ…
怒涛の考えが渦巻く中、学校では詳細なテストや模試の成績表が出ていて
娘がそれを1度も私に見せていないことも判明。
その夜、家族会議が開かれるわけです。
頭悪いなと思って。がっかりさせるなと思って、言えなかった。
「成績表を見せなかったこと。
呼び出されてることも言わなかったこと。
私が川口にいて家にいないと言ったこと。
これの何が問題かわかるよね?
ママが成績が悪くて怒ることはないのもわかるよね?
でも、成績が悪くて困ってたんでしょ?
呼び出されて、このまま成績が上がらなかったらどうしようって困って辛かったんでしょ?
助けが必要だったんじゃないの?
いつも言ってるよね?
困ったら、なるべく早く助けを求めるって。
早ければ早いほど、じゃぁこうしようって方法がたくさんある。
にっちもさっちもいかなくなってから助けを求められても、助けられないことがある。
人生は、助けてくれる人、応援してくれる人がどれだけいるかで違ってくる。
先生も、成績が上がるように、応援してくれた。
それなのに、言わなかった。
説明してください。はい、どうぞ。」
娘は私ととにかく真逆で、思ったことを言葉にしない。
長い沈黙にさめざめと泣きながら
絞りだすように蚊の鳴くような声でやっと出た言葉。
「頭悪いなと思って。
がっかりさせるなと思って、言えなかった。
ママが仕事してせっかく私立に入れてくれてるのに。」
わかるなー
言えないよなー
私は政治の世界に入ってからずっと
強くなることは悪くないって自分に言い聞かせてきた。
気持ちを強く自分と闘わなかったら
とっくにこの世界をやめていたと思う。
強くなって、どこをどう叩かれても何も出ないよう
自分を律して
正しいと信じるところをまっすぐにブレず折れず
にこにこも仲良くもする必要がなくて
怖がられても、そうでなくては役目を果たせない環境に自分を追い込んできた。
それが、娘の目にも
強い強い母親に映っていたんだと思う。
強すぎる相手の前で
自分の弱さを見せて助けを求めろって
できないよなー
そりゃそうだ。
なぜ私はこんな母親になってしまったんだろう。
もしかしたら、母親ですらなかったのかも知れない。
ミッションクリア(担当候補者の当選)のために、戦地(選挙区の川口)に向かう姿はお母さんじゃなかったんだろう、きっと。
自分でも今更ながらそう思う。
こんな母親を、娘はどう感じていたんだろうか。
今の私の答え。「時に取り返しのつかない後悔がある」
その後、私は少し政党総支部に対する考え方を変えて
娘の成績を上げることだけを一緒に取組みました。
お察しの通り、中学1年の躓きは大きいです。
現在、娘は中学2年生になりましたが、少し進路を変えることとなりました。
これは、私の中でまだ取り返しのつかない悔いがあり
正直まだ整理できていません。
それでもやっぱり、こういう赤裸々な悩みや失敗、
苦しいことや後悔していることを隠して
女性議員を増やそうとか
そういうことだけを言うのは卑怯だなと思って
こういうことも書いていきたい。
選挙直後はどうやら、まだ通常の精神状態でなかったようで
こんなブログを書いていました。
↓
https://sakaietsuko.net/blog/5552/
「子どもがいるなど個人の都合で、政党の活動や選挙活動を変えるわけにもいかなくなる。
その対策としてどれほど子育てサポートを受けるための民間サービスを利用しようと
それに対して、政党が費用負担するとか、優遇される制度などは聞いたことがありません。」
その後、日本維新の会では子育て世代が選挙に挑むためのサポートについて
経済的な支援の体制整備が進みました。
これはすごい進歩だと本当にそう思っています。
これまで、政治の世界、特に選挙において
育児がセットで議論されたことなど、そもそもなかったのではないでしょうか。
多くの政治家が選挙で
子育て支援
女性活躍
次世代への投資
等々を声高に大きなマイクで叫びながら
とても遅れていますよね。
政治の世界は、
「これって、セクハラとかモラハラとか指摘するのも恥ずかしいなぁ」
とあんぐり口があいてしまう言葉を浴びることが日常茶飯事です。
今朝もリアルに
「電話もメールも出来ないくらい、ちぇんちぇー--!(先生…?)は忙しいか?!」
と言われて
「触りまくる、チューする、さかってる、合意の元で襲う等々、ずっとおっしゃられますので、私から折り返しのお電話は致しかねます。」
とお返事していたところです。(誰かは言いません)
こんな意識や感覚で放たれる言葉を浴びながら
だからこそ、変えていきたいという思いがありますが
そのスタートラインには選挙で負託を受けなければ立てない。
選挙は、すべて自己責任。
落ちたら何も残らない世界です。
そして、選挙は1人では戦えない。
選挙の恩は選挙でしか返せない。
自分の人生において、ずっと選挙が続くことになります。
そして選挙を手伝ったことで何が報われるかといえば
役職だったり、予算などの優遇だったり、要はお金と力で
当選して立場や権限を手に入れたら、更なる権力への欲を剥き出しにするのが政治家の本性だとかで
正直、金や権力への欲よりも、相手の活躍などを純粋に期待する(ことが多いとされる)女性にとっては
何が魅力的かさっぱりわからないところがあります。
私の経験で言えば、
権力を持った人間に、欲のある人間が集まってうごめいている様を見るとか、
権限を持った人間の言動に心が凍り付いて
私はなんのために何を犠牲にして、何をやっているんだ?って
立ち止まることが、私にもあって
特にお母さんである人にとっては
こういう感情に陥ることがきっとあると思うし
その時言われるのは、おそらく「それが政治」「政治に向かないんじゃないの」ってのが現実だと思う。
そこでまだ心に鞭打って、気持ちを強く、自分の信念を貫こうとすると
人を信じることが難しくなるような本性を見てしまうこともあるし
それもこれもやっぱり「政治家だから」で片付く。
それ以上の言葉を発するのは意味をなさない。
そんな選挙とは、子どもを犠牲にしないのかどうか。
今の私の答えは、「時に取り返しのつかない後悔がある」です。
でも、自分で自分を責めても始まらないし
負担を強いられるのは子ども。
もちろん、子育てって政治に関係なく
誰でも色々経験しながら続くもので
子どもって…勝手に育つって本当?って
悩みは尽きないもの。
でも、そういう思いや経験を
共有したり、相談できる環境が圧倒的に薄くて少ないのは現実で
私はちゃんと話していこうと思う。
先輩がいらしたら、ぜひお話し聞かせて下さい。
私の経験でよければ、もっと赤裸々にいつでもお話ししますので
気軽にメールしてください。
坂井えつこメールフォーム
https://sakaietsuko.net/mail/