★11/30、10時~ 委員会室
総務委員会質疑、討論
いくつか委員会所管議案について、質疑を行いました。
概要
期日前投票関連
メッツァほか補正予算その他部分指摘
部署新設に伴う役職増
その他
以下、今議会で議論が集中した「82号平成29年度飯能市一般会計補正予算(第5号)案」について
事前調査含めた見解、委員会での質疑・討論概要をまとめました。
第10目発展都市費の地方創生推進事業のメッツァ事業負担金、飯能地域資源利活用合同会社出資金について。
①
メッツアの誘致自体は民間が決めることであり、市民の期待度が高いということですが、テーマパークを街づくりの核として位置付けるのは問題があります。長崎県佐世保市のハウステンボスのように、会社更生法を繰り返す事例もあり、行政は事業全体の関与をするべきではありません。
民間が独自に立ち上げ、開業後市および市議会が税支出を妥当と認め、市に資する数値が明確な個別事業のみに、個別事業への支出検討や支援、例えばハッカソンなど教育や観光イベントへの補助なら理解できます。個別の取捨選択をせず、一括資金支援を選択した経緯をお伺いします。
②
メッツアビレッジへの支援に15000万円、一企業への事業補助としては高額です。これを認めるならば、あらゆる雇用拡大、小売業者、飲食店など法人に毎回この規模を支出せねばなりません。テーマパーク整備は民間が独自で行うもので、無料施設、有料施設は密接不可分でありながら、事業者がやるべきものを負担するのは、支援の成果数値がないなかでの決定は問題です。
行政計画に記載したメッツアはよくて他は出さない基準はどういった条例の根拠を持っているのかお伺いします。
③
出資は最終手段であり、中小零細事業者の方々と比較し、明らかな差が生じています。まずは民間が独自融資を受けるのが前提であり、現状でも中小零細事業者の方々と同様、信用保証料の補助、不況対策の際に行われた利息の支援などが限度ですが、それを超える必要性をお伺いします。
④
ムーミンバレーパークを実施する飯能地域資源利活用合同会社に5000万円支出しますが、市が関与しないといけない理由はありません。地域金融機関から行政関与を要請される時点で、リスク回避、事業継続性に疑問符ということであり、民間単独での採算性に問題があるということではないでしょうか? 先ほどのハウステンボスでも佐世保市の複数回による事業救済に要した出資金は会社更生法により0円になっています。
公共公益があっても、出資しないことは他自治体事例でも前述のように個別のイベントのみとするところもあり、出さないことも可能、です。主観ではなく客観的にどういった取り決めによるのか、数値基準など会社出資の必然性についてお伺いします。
⑤
財源についてはムーミン基金だからよいという説明ですが、ふるさと納税において、事業補助を行う、出資するという選択肢があったわけではありません。出資をうたっていたわけではなく、広義でムーミンへの支援というためにふるさと納税をしたわけです。さらに言えば、ムーミン基金を得るための経費はムーミン基金の流用だけではなく、一般財源つまり市民の税金も多額です。
29年度は今回の補正も含めると、ふるさと飯能応援事業で1億5000万円、28年度は同じく約7500万ほどで、2か年で2億を超えています。27年度はシティプロモーション費の推進事業やライセンス関連などもありました。ムーミン基金だから問題がないと2億円を出すことに、市民負担分を考慮したのかお伺いをします。
⑥
メッツア事業の敷地約18万7000平方メートルは西武鉄道よりフィンテックグローバル社が2015年に6億円で購入しました。しかし、今回その敷地の一部約4万7000平方メートルにもかかわらず、飯能地域資源利活用合同会社へ20億円で譲渡ということです。飯能市が出資するまでもなく、フィンテックグローバル社が売り上げるうち5000万円と1億5000万円減額すればいいだけです。この資金の流れを考慮すれば、事業補助や出資が公共公益であるか、疑問です。どう考えておられるのかお伺いします。
⑦
事業負担に値するかという点でお伺いします。公式のムーミンショップは閉鎖が続き、ごく一部の主要駅にしかありません。近隣のターミナル駅立川ですら、4年前の九月にオープン、しかし去年の7月で閉店し、今は期間限定店舗に大幅縮小です。関東の遊園地・テーマパークは2000年以降どんどん閉鎖されています。カナディアンワールドも巨額負債で閉鎖しています。
市場規模を踏まえて、市が支援を検討しているのか見えてきません。大阪においても、第三セクターによる、テーマパークや商業施設乱立、つまり無謀な開発と相次ぐ破たんがあり、行政が関与するものについては極めて厳しい目で見ています。こうした採算性という事業環境についての見解と、メッツア事業への事業補助分の成果は具体的にどう市財政へ出るとお考えでしょうか。
⑧
フィンテックグローバル社の連結子会社となる飯能地域資源利活用合同会社は連結という大きな不安定要因を抱えた構造です。
フィンテックグローバル社の決算短信によると、過去より売上総利益を大きく上回り続ける販管費により営業利益、経常利益が10億単位の赤字、負債も前年度から300億も増え、当然複数年無配当、金融機関借入等が続いています。
メッツァ事業自体についても、総事業費は約150億円という報道ですが、同社自体が様々な要因で更なるコスト増により業績等は大きく異なる可能性を記載しています。
業績予想も合理的に行うことは困難であるため、開示を控えるなど、情報が足りない現状もあります。
次期の主要事業は、メッツァの不動産証券化や不動産事業の子会社株式譲渡、金融機関借入等、資金繰りに課題も指摘されます。こうした株式市場での懸念点は大きなリスクですが、事業支援の可否にこの点は考慮されたのか、お伺いします。
⑨
市民からも、施設が民間で作ること自体には何ら問題はないが、税金投入については事業者が行うべき資金調達を市が代行しており、妥当ではないという意見があります。この支出についての住民監査請求は考慮されるべき事項であり、しかもその請求結果いかんによっては行政訴訟の対象になるのではとの指摘も出ています。推進事業について、こうした懸念はどのようにお考えでしょうか?
⑩
固定資産税が得られるという話が出たものの、毎年どれくらいか明確でないので詳細にお伺いします。また、他自治体では固定資産税免除での支援も行われていますが、メッツア事業には支援をした以上、一切こうした免除は行わないと確約できますでしょうか。
委員会討論・採決
議案第82号平成29年度飯能市一般会計補正予算第5号について、反対の立場からの討論を行い、採決において反対の意思を表明しました。
以下、反対の論点と見解の概要です。
***
発展都市費の地方創生推進事業のメッツァ事業負担金、飯能地域資源利活用合同会社出資金については、今までの答弁において、メリットのみに終始していました。しかし、こうした投資案件はデメリット、つまりリスクを踏まえた検討こそが必要であったと考えます。
佐世保市のハウステンボスのように、会社更生法を繰り返し、行政出資や事業支援が100%減資、無駄になるリスクの考慮はありません。立川のムーミンショップ閉鎖という事業環境を分析するならば、個別の単発事業やイベントへの支援などが限度です。出資や事業支援がなくとも税収は得られます。
民間金融機関が行政の関与を求めるというリスクを下げる行為は、投資リスクを担いきれないという現実です。事業者独自で懸念点を払しょくできず、採算性がないなら廃業やむなしという論点です。
公共公益という論点も、他の中小零細事業者支援との公平性を凌駕するものではありません。行政の支出はそこを外したら、何でもありになってしまいます。遊園地・テーマパークはどんどん閉鎖されており、カナディアンワールド閉鎖や大阪でのテーマパークや商業施設乱立と破たんのように、計画を下回り収支が不確かになる危険が飯能でも起こり得る可能性があります。
メッツア事業の運営においても、旅行や観光、テーマパーク運営ノウハウのある企業ではなく、異業種から参画の飯能地域資源利活用合同会社というのも懸念点です。土地譲渡差益によるフィンテックグローバル社の利益計上を指摘しましたが、連結の親会社が10億単位の赤字が続き、負債も前年度から300億も増え、複数年無配、金融機関借入等が続きます。財務リスクを容認すること自体危険であり、株式市場での財務状況、メッツァ事業への否定的評価を再認識するべきです。
この問題は、特定の民間事業を予算で支援する行為が適切か、住民投票を行わねばならないくらい重要な事項です。住民監査請求や行政訴訟の対象になるリスクを回避する点でも必要です。
発展都市費の地方創生推進事業のメッツァ事業負担金、飯能地域資源利活用合同会社出資金については、
・佐世保市のハウステンボスのような破たんリスクを踏まえた検討がないこと。
・立川のムーミンショップ閉鎖、民間金融機関が行政関与を求める事業環境
・公共公益のみ言及し、他の事業者支援との公平性を損なっていること
・旅行や観光、テーマパーク運営ノウハウのない合同会社ということ
・連結の親会社フィンテックグローバル社の財務リスク
・住民投票がなく、住民監査請求や行政訴訟の対象になるリスク
以上の論点から、反対の立場からの見解を申し上げ討論させていただきました。
また、所管外の部分につきまして、ふるさと飯能応援事業のふるさと納税の経費がありました。寄付をいただくための経費にふるさと納税が原資のムーミン基金を用い、さらに市税の一般財源も追加するわけであり、そうした経緯を踏まえると、ふるさと納税を基にした基金の使途については、やはり住民投票が必要な重要事項であると考えます。
以上、こうした課題が積み残されていることから、採決において反対の意思を表明いたしました。