12月議会一般質問「学力観点での公的支援のあり方について」

12月議会一般質問【学力観点での公的支援のあり方について】

通告順に従いまして、一般質問を行わせていただきました。

(1)下位にある小・中学校の全国学力・学習状況調査

飯能市の公教育は、学力よりみずから学び、主体性を一層伸ばすという視点であり、埼玉県や他自治体と比較しないという調査回答を得ました。

他と比較をせず、対応が不十分な結果が今の状況の原因ではないかと考えます。平成29年度の埼玉県の学力調査結果概要でも、さいたま市を除く結果は、全国平均を下回り、前年度はワースト10内でさらに飯能は県内でも下位、学力向上策が不十分なのは明白です。

調査を把握分析し、教育指導の成果の検証や改善に役立てても、数値が停滞したままで学力を伴わないのは問題です。子育て世帯が転入を検討する際、学力はいじめ問題の発生ともリンクした最重要の検討項目で、選択肢の条件で大きなマイナスとなります。

学校設置者である市長と教育長が、危機認識をもって、全国レベルの教育を求める児童生徒、納税者でもある保護者に対して策を示す必要があるのではと感じます。学力差が開いたままの現状へのご所見をお伺いしました。

(2)長時間勤務解消による教員の指導力強化

①クラブ活動や部活の外部化

飯能市内の教員の残業や総労働時間は調査データがなく、放置は学力低下と関連が深いといえます。文科省の勤務実態調査では、小学校週平均57時間、中学校は63時間、12時間拘束され睡眠は5時間台、休日出勤は月平均で小学校は2回、中学校では4回と、過労死ライン超過です。

OECDの調査では、勤務時間は参加国平均38.3時間を超え、世界最長とされ、職能開発への障壁になり、雇用側の支援不足が目立ちます。授業時間は参加国平均と同程度であるものの、授業計画や準備、課外活動の指導、会議や事務業務に使う時間が課題です。教員には、常に新しい仕事が追加される一方で、減らされる仕事はほとんどなかったと言えます。

豊橋市では、朝練を禁止し、岡山県や瑞穂市、大阪市、北九州市等では、社会人指導者を教員として認める部活動指導員として委嘱し、引率含め教員負担を減らし、部活の教育上の価値も高めています。岡山県では、派遣後94%の教員が、負担が軽くなったと感じているそうです。

労働状況を確認し、目標外部指導員の部活動指導員化や、朝練の削減、土日含め閉庁日による休養日強化により、月80時間オーバーの残業を民間水準まで削減するべきだと考えます。ご所見をお伺いしました。

②行事や書面の簡略化

式典、子どもや親との行事、テストなど多々ある行事の実施数や拘束時間なども課題です。教員が行事関連を含め年間で作成、提出する書面、まず市内向けは、保護者あての学級、学校、進路などの便りです。市外へは調査依頼した提出物明細一覧表は件数が多すぎていただけませんでしたが、市教委経由で県や国に提出となります。件数は小学校144、中学校162ということで、各校で各教員が対応する時間は、相当な負荷ではと推察いたします。

残業代という概念がない長時間勤務の実態は、情熱・熱意が優先される側面があります。まずは、優先度の低い行事、定例会議や業務、書面作成の件数を削減し、労働環境を改善するべきと考えます。ご所見をお伺いしました。

③教育委員会、養護教諭、スクールソーシャルワーカー、スクールカウンセラー等専門職との分業

坂東(ばんどう)市では、教育委員会がこまめに学校を訪問し、学力向上への体制の確認、各校優れた取り組みを常に共有化し、学校の状況が全体として改善したそうです。

飯能での調査回答によると、いじめ件数が昨年度小学校22件、中学校11件、冷やかしからかい、悪口、仲間はずれ、無視、陰湿なSNS誹謗中傷等があったそうです。市外の報道事例では、教師や学校単独での内部対応でうまくいかず、不登校につながり復帰できないことが多いそうです。

いじめは子どもの自尊心、成長力を損ない、学力にも大きな影響を与えます。市内で教師以外に窓口もうけ、個別の課題がある場合に、それぞれが動くのでは対症療法でしかありません。風通し良く、アウトリーチで専門職を大いに活用し、初動対応する体制が必要と思います。

名古屋市では、スクールソーシャルワーカー、スクールカウンセラーが常勤配置され、いじめ問題対策連絡協議会とも連携して対応するそうで、27年度には1500件も対応件数があったそうです。教員の負荷が1500件減ったのは成果と考えます。

教員の繁忙を深刻化させぬよう、教員や学校が抱え込む構造を改善し、専門の組織、専門職、いじめ問題対策連絡協議会へ横展開し、アウトリーチで、福祉の支援事業とも連携して役割を分担し、早急な課題解決を、マニュアル化するべきではないでしょうか。

④校務支援システムや事務支援員

市内の調査結果で、校務支援システムがないという回答を受け、学力調査の結果が厳しい要因の一つではないかと感じました。各教員の手作業と事務能力にゆだねられ、教育に注力しようとすればするほど、長時間労働常態化になります。

坂東市では、ベネッセの学習探検ナビの難易度や学力に応じたプリント教材を活用し、教員の負担を減らすことで、時間を子どもへの対応や、研究研修に使えるようになったそうです。三郷市でもシステムを教材研究に活用し、学力は全国平均並みに改善が進みました。

市内のネットワーク化は、情報がつながっているだけで効果は限定的であり、文科省の学校における教育情報化の実態調査でも、校務支援システムの整備率で下位と公表されてしまっています。

さいたま県域でのシステム利用、個別にクラウド構築様々ですが、導入の意義は、書面作成の共通・省力化であり、成績入力、会議資料、多くの事務作業が、外部向けの作り直し解消含め効率化されます。さらに事務支援員が代行すれば、入力結果の対応に専念できます。

日光市では、学級事務支援員を置き、採点や住所など個人情報を取り扱い、広い範囲で教員をサポートし、教育の質向上や時間量の確保を達成したそうで、これらは浜松市や沼田市でも事例があります。資料印刷、提出物管理、入力、書類作成など、地味ですが時間のかかる作業が解消されます。

授業においても、電子黒板もしくはマグネット式ホワイトボードとプロジェクターによる投影黒板にすれば、板書の時間が無くなり、基礎学力からアクティブラーニングの強化に、各校が協力して教材データの蓄積と活用ができます。

中央教育審議会の特別部会では、既述論点のほか、タイムカードシステムでの管理、留守電、メール回答の許可、学校閉庁日を求める緊急提言がありました。タイムカード管理は国内ですでに3割が導入、次年度予算化が見込まれ、飯能でも内示後対応ではなく直ちに出退勤管理は試行しておく必要があると思います。

教員の負荷を減らし、教育水準を上げるには、校務支援システムや事務支援員、教室自体の機能強化による省力化と、タイムカードによる実効性確保が必要と思います。ご所見をお伺いしました。

⑤教育非該当行事の削減

飯能新緑ツーデーマーチでは、中学生ボランティアの活動が報道などでも注目されました。また、市内各地のイベントにおいては、多くの子どもたちが学校単位ともいえる状況でボランティアに参加しています。このことそのものは、素晴らしいことであると感じています。

ただ、学力低下が懸念される現状において、子どもたちにとってよい経験というイメージや注目度が高いという流れで、イベント参加が推奨され、子どもたちも何となく参加しているという状況は起こっていないでしょうか。

学力向上や、主体的な学びにつながらないものを削減すれば、帯同する教員の対応準備や労働時間を減らせます。代わって日々の朝学習、土日や放課後の定期的な取り組み、夏休みなどを利用し、生徒たちが自主的にやりたくなる学習習慣を追加することで、量的な学力向上効果を得られます。

教育や学力と関連性の低い事業についてのかかわりや、ボランティアとして子どもたちを動員している状況にないか、子どもたちの参加意識に主体的な学びがあるか、検証が必要ではないかと思います。ご所見をお伺いしました。

(3)学校と教員の資質向上

①研さんと検証改善サイクル

事前にうかがった調査では、不適切指導については回答いただけませんでしたが、酒気帯び運転やマラソン大会での失格処分など、問題報道がありました。以前教員だった私としても、日々熱心に教育に携わっておられるはずの先生方が、不祥事を起こしてしまうということは、胸が痛む思いです。

不祥事防止には、岡山県で犯罪心理学を応用して研修を行っています。学習不足、自己中心、確信犯、合理正当化、衝動の五分類でわけ、無配慮短絡的行動、感情に任せる、対象軽視、事務処理遅延や紛失、わいせつ行為などについて、常に当事者意識を持つように改革をしました。

指導力の点でも、佐野市では、学力調査および児童生徒保護者のアンケートを分析し、全国平均未満への改善策を休みの期間に検討して下期に実施し、PDCAで水準を改善したそうです。坂東市では、秋田県を参考に、各校の年間計画表において、授業改善、研修体制、保護者観点から学力向上策を盛り込むようにしており、同じく改善を制度化しています。さいたま市では、ベテランの指導主事が全教員の授業を確認し、改善点を伝え、埼玉平均を最大6ポイント上回る大きな成果を上げています。

臨床心理を応用した学習は、成績下位層に多い、自立学習ができない子どもたちへの効果が大きく、下位にある飯能でも対応が必要です。学習習慣がない子どもにとって、無為に自主学習では学びの価値を実感できず、努力も結果につながりにくく、学習意欲を失います。

全国学力調査で、全分野平均超えの茨城県教育委員会では、今年度大幅なランクアップを果たしています。茨城県内の各自治体で成果の見られた取組事例(学力向上に向けた取組事例)を大いに参考とするべきと考えます。飯山市では、学力向上委員会を設け、ベネッセの学力調査結果から、授業づくり、学年、教科での振り返りなど、対策を検討してPDCAを回し、授業改革も行っています。全国学力調査では、平均を5ポイント以上上回る教科も出ているそうです。

こうした事例を参考に、不適切指導を含めた不祥事を根絶する研修、数値的改善を伴う改善サイクル、授業手法を導入するべきだと思います。ご所見をお伺いしました。

②当事者や第三者評価

平成20年度より組織的な学校評価が行われていますが、結果が学力ではみえません。評価結果を保護者地域に伝えるだけでは、具体的行動につながらず、改善に寄与しません。問題が学校内にとどまります。

外部の有識者である教育専門家が、改善点をきちんと把握し指摘できるよう、評価制度の根本を見直す必要があります。今の学力の状況からいえば、AやBが大半の教育委員会の事務点検評価報告書は、学力が下位にあること自体でAでよいのか、目標値が甘いままでは外部の指摘も甘くなり改善効果がでません。

第三者評価の前提である自己評価は、供給側の学校や教育委員会が行うだけではなく、需要側である、児童生徒保護者も行うべきものです。委嘱された評価委員の確認だけでなく、全員に厳しく改善点をきく必要があります。宮城県での詳細な日常授業評価、静岡市や北見市、上田市等各自治体でも数値評価されているように、多くの目から見て納得できる評価を受けるべきです。

大阪市では、教育委員会自体が単独で学校評価を追加で行い、各校を共通指標でみて課題を浮き彫りにしています。知能技能、思考力判断力表現力、学習に向かう力と価値観を柱に、資質と能力を高める教育を目標にしていく必要があります。

評価基準を厳しく設定しなおし、当事者の児童生徒、保護者全員による学校関係者評価を受けたうえで、評価委員と第三者評価にまわし、多くの目による抜本的な検証改善サイクルをPDCAに組み込むべきではないでしょうか?お伺いしました。

(4)学習風土の固定化解消

①学校選択制

学校を選べるようにすれば、選ばれるべく学校それぞれが先生の指導力、学校設備に関心を持ち、塾を前提としない学力習得、教員の資質向上を端緒に、経営努力をすることになります。

文部科学省の調査結果で非公開ですが、各学校間での学力差は珍しくなく、さらに学年間や学級間でも差があり、上位層と下位層が乖離する、学校二極化の対策についても選択の中で解消されます。

全国学力調査の対象学年以外に、市で民間の全国テストを導入し、数値結果を出せるようにしたうえで、学校選択制を入れ、結果を出す学校と、要対応校を明確化し、学校間で切磋琢磨して教育力を強化することは、学力向上に有効と考えます。ご所見をお伺いしました。

②小規模特認校の市外山村留学受け入れ

飯能の指定4校は、希望者が0から数名と苦戦する中、高知県、土佐山学舎は多くの子供が集まる成功事例として視察が相次いでいるそうです。ICTや英語、教科担任など、既存校との差別化を意図的に図り、中山間地域の教育モデルを確立しました。

現状指定校のみで、全16校の児童が自由に選択できず、若干名という狭い印象、中学校への進学は、居住地中学校が原則など制約が多いです。受け入れ側の問題もあるでしょうが、山村留学推進に向け、空き家を改修するケースや、八代市など寮を持つ学校もあり、近隣でも生越町、狛江市と連携している小菅(こすげ)村も10名を目標としています。

対象外となる学校については、機会の平等の点で問題があるのではないでしょうか。また、豊かな自然を育ちに生かし、ムーミン谷で暮らし学ぼうと、県内、他県からの移住も視野に入れた力を入れるべきところではないでしょうか。お伺いしました。

(5)学力格差と孤食、欠食解消

①学童保育所での学習量確保

低所得者への学習支援について、福祉分野で学校教育とは関連しないという回答ですが、これはニーズからかい離しています。より良い教育を求めるのは納税者として当然であり、福祉、幼保・小・中学校の垣根を超え、市と教委が協力連携するべきもので、現状の学力下位は縦割りの結果とも言えます。

全国学力調査の研究では、世帯収入が低い家庭の子どもは、一般より、正答率が約20%も低く、文科省によると、機会の量では学習時間の家庭的背景による差があり、世帯年収の高さや高学歴家庭の児童生徒ほど学習時間が長く正答率も高く、統計的に明らかに差が証明されました。

現状の学習支援については、次の質問で取り上げますが、まず、放課後児童クラブ、学童保育の場は、成績の下支えになります。土曜保育も可能な中で、きちんと宿題をやる時間、さらに復習や予習を行うことができれば、学習習慣を習ることができます。

放課後児童クラブの扱いについて、こどもが自主的に宿題や自習を行えるように、必要に応じ支援員が援助を行うとの回答でしたが、現状の学力から見て習慣づけ不足であり、騒がしい環境での勉強は子どもにとってもハードルが高いところです。

他自治体の民間学童では、宿題タイムや学習習慣づけ、学習指導がメニューにあり、八潮市など自治体運営でも、宿題時間やスペースを設け、まずは宿題を終わらせることを指導してくれる施設が増えています。

放課後児童クラブ、学童での学習支援は、学力向上対策として大きなメリットがあると思いますが、ご所見をお伺いしました。

②学習支援事業とフードバンク・フードドライブ

日本の教育格差は、経済格差による学校外教育の機会喪失で拡大しています。飯能でも市庁舎で学生や教員OBによる、就学援助層への週2回の学習支援事業で高校全員合格と聞きました。しかし全体の底上げには、個別対応の限界があります。

授業時間外の学習支援は、学童を終えた年齢層含め、宿題や授業中に理解できなかった問題を放課後や夜間、夏休み等で教える、補習授業が有効です。

津市は、小中学校に市単独で非常勤講師を配置して、放課後や土曜日に学習支援を行っています。北九州市は、全児童生徒希望者に、放課後個別指導等学習支援を行っています。高浜市は、学習のPDCAを身につけるために、目標シートを書き、帰る時に振り返るという習慣づけも加えています。これは目標達成による自己肯定感を育て、環境に流されず、自立的に成長していく工夫です。

場所や対象規模など事業拡大とともに、目標を意識した習慣づけも必要と考えます。ご所見をお伺いしました。

次に、学力と関連するのは食事の問題です。飯能では毎日朝食を食べている子どもは全国を上回っていますが、食の内容はわかっていません。孤食や欠食は、意欲などに大きく影響しており、加治東ふれあい広場の子ども食堂は有望な事業です。しかし大阪市でも導入していますが、定期継続的な運営の点で、保健所による営業許可、資格保持者のシフト、参加者と食材量管理の安定化、費用持ち出しなどが課題となっています。

そこで、福岡県では、値引きがなく廃棄が多いコンビニのパンや総菜、弁当を無償提供でNPOを通じ、届ける仕組みを始めています。横浜市でも10年以上前から始まっているもので、店舗オーナーは多額の廃棄関連費用が解消され歓迎されています。規模的に民業圧迫にはならず、取り組みやすいものです。

調理等食品衛生上の管理が不要で、ちょっとした手伝いで運用でき、費用も市関連事業者含めた移動に合わせ、官民連携で定時に食品を受け取りに行けば低コストで可能です。

近隣自治体のフードバンクには、企業からの集荷をお願いするとして、フードドライブも対応が必要です。潟上(かたがみ)市や秋田市では、市役所などで集荷場所を設け、生鮮品を除き家庭から余剰食品を集め配分したそうです。バンク事業と学習支援の連携は、文京区、川口市も活用しています。秋田市では好評なことから、学用品も追加したそうです。

学習支援の場で提供すれば、参加の動機付けと、欠食を防ぎ集中力に必要なエネルギーを補充できます。フードバンクとの連携やフードドライブの導入、コンビニや調理済み品を扱う店舗に協力を要請するような方向性について、ご所見をお伺いしました。

③家庭学習環境とファミサポ、シルバー人材

飯能は、家庭学習をしていない子どもの割合が、全国や学力上位県より高い状況にあります。成績下位や学校偏差値帯が低い層ほどスマホの保有率が高く、利用時間も長く、テレビ視聴時間を含め睡眠や勉強時間を減らすとされており、量を確保するため生活を主体的にコントロールする力が重要です。佐賀市では21時や22時までと時間制限を保護者に要請し、7割が制限に同意しています。

質の面での学習方法の指導も重要です。全国学力調査の解答時間は十分だったかについて、全国平均から差が10ポイント近く出ており、質の点で、飯能では家庭学習の結果が伴わない状況です。秋田県は1時間以上と学習時間は長くないものの、効果的な学習方法を身につければ、結果がでています。

やみくもに進めるのではなく、坂東市では、効率化を図り、学校で漢検、英検、算数検定の取得に力を入れる時間を確保し、検定料の補助や対象教材の配布もできるようになりました。さらに家庭学習強化月間として、ベネッセが行う全国規模の学力テストの結果を用いた保護者面談を行い、全国平均での課題を共有し、家庭学習時間が倍以上に増え、休日も自主学習が増えたそうです。

こうした場面で、また子どもたちが成長してからもそうですが、親が仕事等のために家庭学習をみてやる時間的余裕がない場合が問題となります。江戸川区では、こども食堂方式とは別途、アウトリーチ型で食事の支援にシルバー人材センターを活用し、訪問調理や仕出し弁当を届ける事業を開始するそうです。練馬区でも、ひとり親家庭に学習支援員が訪問する制度も始めることで、自宅外に出にくい家庭にも対策を進めています。沼田市、富岡市、伊勢崎市や渋川市は教員OBを活用しています。

ファミサポやシルバー人材を活用し、相談窓口にも行けないが学力含め不安を認識している家庭に対して、食事や学習支援策を実施することについて、ご所見をお伺いしました。

(6)寄贈図書による自立学習の習慣

①学校図書館と標準図書達成率

各学校における学校図書館図書標準の達成状況について、調査回答では、各校の平均値で100%オーバーとのことでしたが、他のデータでは、小学校75%未満1校、~100%未満6校、達成7校と50%で、埼玉の69.6%を下回っています。中学校は100%未満4校、達成4校と50%で、埼玉57.7%をやはり下回っています。厳しく数値で判断しないと、読書活動推進の前提条件が崩れてしまいます。

図書の購入費は金額的にかなり少なく、寄贈による図書館型で、寄贈書の管理に多くの人員を割かぬよう、児童書、ヤングアダルトに限定して多く募ることは有効な対策です。また、古本業者などにも声をかければ、状態不良品を処分してくれるなど、活用も検討できると考えます。

寄贈による図書で標準を達成し、親子で書物整理のイベントを開くなど、本の母数や触れる環境を増やすことについて、ご所見をお伺いしました。

②図書館他各図書室の居場所化と自立的成長

外部の調査では、日常生活の中の学びに本があげられています。本を読む・買う、新聞を読む、家でペットや動物・植物の世話をする、日記をつける、地域の図書館で本を読み借りる、美術館や博物館に行くということに、親の年収や学歴で10-20ポイントもの差がついているそうです。

ただ、そうした親の年収学歴に関係なく、学力が最上位層の子どもも存在し、その共通条件は小さい頃に多く本を読むように勧められたり、大人と一緒に図書館に行った体験があることでした。しかし、飯能の読書活動推進計画アンケートでは、図書館が遠い、読みたい本がないなどの回答がかなり多く、対策が必要です。

保育所や児童館などで、図書コーナーを設けてはいても充実していないところもあり、貸し出さないところもあります。学力の対策を考えれば、蔵書の少ない行政センターや自治会館などの図書を強化し、ほかにも書庫をお願いする必要があるのではないでしょうか。

本に触れるという点で、市中心部以外に、居場所の一環にもなり、いつでも行ける貸出拠点を置き、もっと蔵書を増やして行くべきではないでしょうか。ご所見をお伺いしました。

(7)外部資本の活用

①学校外教育バウチャーによる教育産業活用

公教育の課題を解決する上で、民間活力を用いる、教育バウチャーやクーポンがあります。学童の開所時間では間に合わないために塾へ行く、ファミリーサポートを利用するということがありますが、例えば親が都内へ電車通勤なら、保護者だけでの対応は困難だからです。

塾や放課後デイなど、夕方以降のサービスをこのクーポンを用いて活用できれば、移動を繰り返さずに済み、コストも時間の無駄も減らせ、子どもの遊び、勉強に時間が充てられます。大阪市が学校外教育バウチャー事業を政策導入し、困窮世帯の子どもたちに十分な教育機会を提供できるように対応しています。学校の質は上げられても、担任は一人で量の拡充は容易ではありません。外部に頼ることが大切です。

学力向上に加え、地域の教育産業への経済循環、波及効果が期待できる制度について、試験的な導入を検討してはいかがでしょうか。ご所見をお伺いしました。

②子育て支援とふるさと納税用途指定

昨年度のふるさと納税はムーミン基金が1億4千万円にのぼり、今年度も好調です。同時に今回、ご紹介したデータ等を見ますと、既存の福祉等現金給付事業では子どもを自立に導くことが困難とも示されています。

支援のあるべき姿を検討するならば、親による教育的働きかけを増加させることが重要です。ムーミンは児童青少年書であり、これに原点を置くべきで、全額ムーミン施設や観光ではなく、数割は子供たちに充てるべきではないでしょうか? 次世代に向け還元される分野は増やすべきです。

民間の全国テストで、学力の構造的把握、変化や弱さを見ることは、学力向上へのスタートでもあります。費用は各学年での数回の試験のほかに、教材支援システムデータ分析システム含め、1千万円単位でかかるものですが、子育て支援でふるさと納税活用は必要な論点ではないかと思います。

ふるさと納税の一部を学力テストにあてる、ここまで質問してきた内容について、拡充を図るなど、使途の改善を進めてはいかがでしょうか、ご所見をお伺いしました。

★ケーブルテレビ放映時間
12月13日(水)21:00~

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