経済建設委員会視察報告 その2(大阪府大東市)

経済建設委員会視察報告、二つ目の視察地は大阪府大東市です。
昨年の夏、飯能市中のみんなで盛り上がった夏の甲子園。
聖望学園の甲子園出場に、飯能からも大勢が甲子園へ応援に駆け付けた、その初戦で、圧倒的な強さを見せつけられた「あの」大阪桐蔭高校があるところですね。

今回の視察目的である公民連携の市営住宅の建て替えについては、飯能市もまさに市営住宅の老朽化、寿命化計画ではどうにもならない現状への解決策のヒントを模索しているところ。

自治体によって、抱える地域課題をとりまく環境が違うので、どんなに素晴らしい先進事例でも、そのまま当てはめるのは難しいことの多いのですが、今回学んだスキームやプロセスは、飯能市でもぜひ具体的に取り入れていきたい、非常に可能性のある内容でした。

早速、各委員も議会での政策提案に取り入れていくと、今回は本当に実りのある視察になったと感じています。

快く我々の視察を受け入れて下さり、歓迎して下さり、心から感謝申し上げます。

以下、報告です。

視察地(2) 大阪府大東市
視察日時  令和5年10月18日(水)
視察事項 「北条まちづくりプロジェクト」について

市の概要
 大東市は、大阪府東部の北河内地域に位置し、東は奈良県、西は大阪市と接しており、住宅地や産業都市として発展してきた。大阪都心部と関西学術研究都市の中間という好立地を活かした府東部のものづくり産業の集積地である。
 市内に、大阪市内と京都府南部を結ぶJR片町線(学研都市線)が走り、近鉄バスの路線が隣接する四条畷市や東大阪市とつながっている。市のほぼ中央を南北に国道170号線(外環状線)、東西に府道大阪生駒線が走るなど交通至便な地域である。

視察概要
 大東市では、本市出資の民間企業である大東公民連携まちづくり事業株式会社(現:株式会社コーミン)と共に、地域に点在する公的資源を活用して、一体的・段階的にエリア開発を進める「北条まちづくりプロジェクト」を推進している。本プロジェクトの第一弾である全国初の官民連携による市営住宅の建
替え・再開発プロジェクト「morineki(もりねき)プロジェクト」が完成し、令和3年3月13日(土曜日)に借上公営住宅棟、公園、生活利便施設等のまちびらきを行った。

視察結果

 大東市では、大東市公民連携基本計画において、能動的なまちづくりとして「自分でつくったまちに住む」を開発理念としている。この計画のリードプロジェクトの一つ「北条まちづくりプロジェクト」では、次世代につながる住宅地域の再生をはかり、エリアに点在する公的資産を活用し、一体的、段階的にエリア開発を進めている。

 老朽化が著しく耐震性がない市営住宅の建て替えを契機に、全国で初めてのPPP手法による公民連携事業を実施、エリア一帯の価値を高める取り組みとなった。

 多くの自治体で抱えている、人口減少と高齢化、多世代交流の減少、公共施設の老朽化といった現状と、人や土地の流動性の減少、街並みの魅力、競争力の低下、地域コミュニティの担い手不足といった課題に対し、「若い世代の流入を図る多様な住宅の供給」「地域資源を活かした居住地域としての魅力創出」「生活利便性を高め、市内の他地域からの来訪意欲を喚起させるバランスの取れたビジネスの導入」を実現する開発を、公民連携事業手法で実施している。

 市営住宅の建て替えだけでなく、道路拡幅、公園リニューアル、親水空間整備、民間テナント誘致など、エリア全体をリノベーションし、エリア価値を向上させるため、民間の提案ありきで、行政は民間がやりたいことを後押しする黒子に徹し、都市計画における用途地域の変更や都市公園の区域の形状変更など様々な規制緩和を実行し、まさしく公民連携の事例である。

 公共施設や道路橋りょう整備には都市再生整備交付金を活用している。有名建築家による建築デザイン、プロジェクトがデザインする商業棟や店舗をテナント先付け型で展開し、本社の移転や新たな企業の進出もある。
 市が資産を持たず、民間がその力を最大限に発揮することで、公営住宅の既成概念を超えた住宅・オフィス・商業が併設された豊かな生活と活動の場を実現したモデルは、市営住宅等に同じ課題を抱える飯能市でも本気で研究、導入検討を提案したい。

 徹底した公民連携のプロセスとスキームを学び、行政内組織の連携強化、プロジェクトファイナンスや施工の汎用性確保といった課題と向き合い、どのようなまちにしたいのか明確なビジョンを描くことで、市民生活の質や利便性を高めて豊かにし、新たな経済活動、雇用促進などを創出する大きな可能性のある取り組みである。