令和4年6月議会一般質問②【歩く人への配慮について】

今回から、一問一答方式でも、最初の質問は登壇することになりました。
久しぶりに演壇から質問をさせていただきました。やはり市民の皆さまのお顔がよく見えるように感じます。

市民の皆さまにとって、飯能市の未来をよりよく前に進めるような質問に努めて参ります。

1.メッツァの行事活用について
2.歩く人への配慮について
3.参議院議員選挙の投票率向上策について

60分間で大きく3つのテーマで質問しました。

順にご報告致します。

2.歩く人への配慮について

(1)市内のベンチ設置状況

市民の方より、住環境についていくつか陳情をいただきました。

その中に、ベンチについての話題があり、徒歩等の移動に際して、休憩するスペースが少ないという指摘が出てきました。

これは休憩所という規模を要する施設への指摘ではなく、もっと身近な生活圏内における移動についてであり、飯能市ではちょっとベンチで休むということがあまりできない、他の自治体に比べてちょっと少ないのではないかというものでした。

ご相談いただいた方の一例では、ベンチがないため車道の縁石に座るしかなく、事故なども懸念される中、休憩をしつ食料品日用品のお買い物へ移動されているそうです。

そこで、事前に市内の移動に関連する地点のベンチについてうかがったところ、建設管理課、道路公園課、区画整理課、交通政策課、森林づくり推進課より、道路占用許可を得て設置、民有地に設置、隣接する公共施設などの公共用地に設置など、事例や件数が確認できました。

【質問】

市内の道路で行政がベンチを設置している場所と設置数、市が道路に隣接する公共用地でのベンチを設置している場所と設置数、どのように民間や交通管理者である警察と協力して設置しているか、確認のため、おうかがいします。

【答弁概要】

市道は18基、公園内は、総数として398基を設置。

市道に設置されている主な場所は、東飯能駅東西自由通路に6基、阿須小久保線や東飯能駅東口駅前通り線の道路付帯地に11基、設置要望のあった「飯能精和病院バス停」には、警察指導のもと安全対策を講じた上で設置したものがある。

県が管理するメイプル通り(国道299号)は、道路占用の許可を得て2基設置。

特徴的な取組として公共施設や民地などへ設置を進めている西川材を利用した「はしらベンチ」は、市役所、市民会館、図書館などの公共施設は19基、民地には、主に中心市街地を中心に、道路に面する民地側に21基が設置されている。

本市のベンチの設置状況、さらには特徴的な取組としてはしらベンチの設置状況についても分かりました。

【質問】

これがいかに特徴的な取り組みであるか、仕組みをご存知でない方もおられますので、はしらベンチがどのようなものか、詳細をおうかがいします。

【答弁概要】

はしらベンチは、西川バウム合同会社様が、平成30年に開発・商品化したもの。

通常、製材所で挽かれた柱や梁材は、数か月天然乾燥される。
この乾燥させる場所をまちなかに移動し、家をつくる材料のサイズや、香り、手触りなどを感じていただこうとベンチにしたものが「はしらベンチ」。

ベンチの座面がいわゆる「はしら材」で、飯能市森林認証材の間伐材を使用。
はしら材は、乾燥過程であることから、実際に柱材が乾燥する期間として6か月程度を目安に定期的に入替する。

交換されたはしら材は、公園などの遊歩道や、ウッドデッキ、ストーブの薪、チップなど、2次利用、3次利用し、最終的には土に還すことを目的としている。
そのため、はしら材については、塗料や防腐剤などは一切使用していない。

主に使用している角材は、130~150mmの杉又は桧材で、樹齢は50~70年程度。

ベンチの資材の準備や運搬、設置、入替作業には、飯能市シルバー人材センターを活用など、高齢者の雇用機会の創出にも寄与している。

購入とレンタルがあり、レンタルの場合は、座面のはしら材を6か月に1度新しい木材に入替する。

はしら材を乾燥させる過程をベンチとして活用して、2次3次と活用し、土に還す。
この取り組みについては、市でも令和元年度から予算化され、今年度は300万ほど計上されています。

木材の利活用としてとても時代に即した素敵な取り組みで、環境にも座る人にも優しく、木のぬくもりにも触れられる。

これがどんどん増えたら、休む場所もできてよいですが、予算は限られており、ただ設置数を増やすというものではないところです。

【質問】

この取り組みの目的、現在までの主な成果、今後の展開については。

【答弁概要】

西川材に直接触れ、香りを感じられ、またベンチという手軽に誰でも利用できるものであることから、飯能市森林認証材や西川材を知っていただくための普及啓発に効果的であると考え、令和元年度から5年度までの5年間で市内公共施設を中心に100基設置することを目標に取組をしているところ。

令和元年度は18か所に30基、令和2年度は元年度設置したもののほかに新に3か所に5基、令和3年度は新に14か所25基設置し、令和3年度末で、35か所に60基設置。

そして、今年度新に40設置する計画で、目標年度を1年前倒しで、100基設置することとなる。

設置場所について、初年度である令和元年度は、市役所を始めとする市の公的・公共施設や、市内の商業施設等に設置したが、令和2年度以降は、飯能市内の集客施設のほか、市外への発信を目的に、さいたま市役所や所沢市役所、ウエスタ川越などへの設置も進めている。

そのほか、西川バウム合同会社様では、イベント会場などでの展示も積極的に行っており、民間の商業施設や飯能市以外の自治体から問合せ等があり、設置を具体的に進めているところもあるとのこと。

取組によるPR効果は出てきている。

引き続き、集客のある場所に設置するなど、効果的にはしらベンチを活用して、飯能市森林認証材や西川材の利用促進に取り組んでまいりたい。

はしらベンチの目的は西川材のPRということで、人の集まるところ、まちなかや他自治体にも設置ということで理解しました。

飯能らしいよい取り組みですが、やはり多くいただくお声は、高齢の方からの住環境における移動についてです。

高齢者の移動への考え方について、国土交通省は、「高齢者の生活・外出特性について」という資料において、「単独世帯」や「夫婦のみの世帯」といった構成が増加傾向にあり、日常生活上必要な活動のため、高齢者が独力で移動せざるを得ないケースが増加しており、高齢者の移動手段の確保が必要、としています。

免許の自主返納件数が近年急増し、外出機会が減り自宅で過ごす時間が増えることは、孤独や健康寿命といった点からも問題で対策が必要です。

内閣府の「世論調査報告書」は高齢者の歩行可能距離をデータ化しており、歩き続けられる時間から移動距離を算出しました。

5分未満、10分未満、15分未満、30分未満、1時間未満、1時間以上の回答結果から、年齢階層別にみた、自宅から駅やバス停までの許容距離として、
無理なく休まずに歩ける距離が100mまでとする人が高齢者の約1割、75歳以上は17%です。

別調査では、自宅から駅やバス停までの許容距離として5分未満の数値を挙げる人が2割となっており、高齢者の徒歩可能距離を考慮した、交通モード導入やバス停配置検討等が必要、としています。

外出に不自由が生じる要因については、「高齢者が気兼ねなく外出することのできる環境整備に関するアンケート」にもあるように、

「道路に階段、段差、傾斜がある、歩道が狭い 15.2%」に続き、「ベンチや椅子等休める場所が少ない13.7%」です。

これは、「バスや電車等公共の交通機関が利用しにくい13.4%」と同水準です。

こうしたデータからも、住環境において、交通量のある道路や、生活道路でも交通量が見込めるようなところでは、ベンチ設置が望まれていることは明らかです。

【質問】

法令等を確認いたしますと、ベンチを道路上に設置する手法としては、道路管理者が道路の附属物として設置する、また、道路管理者から道路占用許可を得て設置することとしています。

どちらもベンチを設置するという同一の目的からした場合、設置に対しての要件、基準等がどのようになっているのかうかがいます。

【答弁概要】

法令の規定は、道路管理者が自ら設置したベンチは、道路の附属物に該当することとなり、また、道路管理者以外の者が道路にベンチを設置する場合は、道路占用として取り扱うこととされる。

「道路へのベンチ設置基準」は、道路管理者及び道路管理者以外の者とも同様な基準・要件が定められており、歩道を例にすると、設置するベンチの外側から道路側端まで2メートル以上の空間を確保する必要があり、加えて、自転車歩行者専用道路であれば3メートル以上確保することと定められている。

安全を確保する空間と設置に当たっては、場合によって、警察との協議も必要。

本市の既存市道において、余裕な幅員があり、また、植栽、電柱など既に占用物件があること、歩行者、車いす利用者へのバリアフリーの配慮などを総合的に勘案し、休息、休憩場所として十分に機能するベンチの設置場所の選定は非常に困難。

既存の市道においては、歩道の幅員や安全の確保といった観点から、設置場所を選定することは非常に難しいとのことでした。

国も方針転換を、平成28年にはおおよそ示していて、道路の占用許可について見直しています。

道路法の「歩行者利便増新道路」及び「都市再生特別措置法」の「滞在快適性など向上区域において、占用時の無余地性の基準を緩和するなどです。

道路法では道路協力団体制度により、道路空間のオープン化がすすめられて、利用者の利便など諸般の事情で道路占用許可を判断することが可能となるなどしていますが、実際には各自治体において、規制緩和の活用が難しい実情があります。

このあたりは、政党を通じ、地方議員の立場から、国とも連携していきたいと考えています。

しかしながら、これから益々、免許返納など歩いて移動するご高齢者は増加傾向であり、普段暮らしている住環境において歩く人がちょっと休憩できるような場所がなく困っているとの声にはこたえていく必要があります。

【質問】

飯能市ではこれまでに、道路や公園など新たな住環境の整備を区画整理地内を中心に現在も進められています。
今後の、新しいまちづくりにおいて、歩く人への配慮についての考えをうかがいます。

【答弁概要】

区画整理事業の目的は、住宅地のスプロール化を抑制し、公共施設の整備を進めることで、土地利用の効率化を図り、利便性が高く、健全かつ良好な住環境を有する地区とするために実施している。

現在実施している除外区域を含めた4つの区画整理事業地区内は、都市計画道路、区画道路のほか、公園、緑地等を整備することで事業の目的を達成しようと鋭意取り組んでいる。

歩行者への配慮については、公園、緑地、歩行者専用道路などを充分に整備する予定であり、特に、事業見直しをした区域は、街区公園の配置のほか、多くの緑地を配置。

緑地は、ちょっとした休憩スペースとして活用できるものと考えている。
歩行者の憩いの場としての利活用について、近隣にお住いの方々とともにその利活用方法を検討したい。

区画整理事業については、新井市長の公約でもある大幅な進捗が図られているところであり、緑地について歩行者の休憩スペースとして利活用が検討されているということですから、今後の事業進捗に期待したいと思います。

次の投稿へ続きます。