議案審査における質疑と判断・討論について

9月議会では、所属常任委員会である総務委員会にて、財務関連を中心に質疑。
他常任委員会所管分については、担当課で詳細確認、資料依頼などにより精査。

その上で、議案に対する判断をし、討論を行いました。

以下が、坂井の質疑、討論の概要となります。

正式な内容は、議事録をご確認ください。

【総務委員会における質疑概要】

歳入の収入未済額、保育所負担金、市営住宅使用料、奨学金返還金、生活保護返還金などで約7500万円の増が指摘されている。これについての対策はどうとってきたのか、何が収納対応として不足していたのかお伺いします。

経常収支比率について、29年度とほぼ同程度の数値、93.9%となっています。財政上余力がないという状態が続いていますが、どのように状況を見ているのか、対策は何かとってきたのか、お伺いします。

地方債について、地方債現在高の標準財政規模に対する割合が192%、ほぼ二倍という状態です。財政上余力がない中で増えている状況は、財政運営上増えすぎるのは望ましくないと考えるところですが、どのようにお考えか、お伺いします。

監査委員から意見書としていただいたものに、当年度の形式収支から繰り越し財源を引いた実質収支から、さらに前年平成29年度の実質収支を差し引くと単年度収支は2億4500万円余りの赤字であるとされています。

平成29年度は一般会計のみ3000万円余りの赤字で、全体としては1億円以上の黒字でしたが、この変化についてどのように考えておられるのか、お伺いします。

財政力指数についてですが、本決算でも数値が落ちております。国に頼らねば維持できないという状況が固定化されつつある数値の推移について、どのようにお考えかお伺いします。

個人市民税、固定資産税、都市計画税、平成29年度に比べ合計で1億円近く減となっているが、原因についてはどのように判断しておられるのか、お伺いします。

入札など契約についてですが、平成29年度は全契約の役32%が随意契約でしたが、平成30年度は38%と随意契約が増えていました。契約の原則は例外を除き入札にかけるのが前提で、随意契約は理由の明示が必要と考えますが、そのあたりの明細は事業の主な内容及び成果にはありませんでした。随意契約が増えた理由、また工事を絞るなど工夫があってもよかったのではないか、ご所見をお伺いします。

行政改革推進での指定管理者制度事業評価について、核施設の事業評価シートを得たところ、施設によっては、項目別の評価がB評価よりの数値でのAであるとか、指摘事項があってもA評価となっており、あまり指摘のニュアンスが感じられない印象を持ちました。

各施設の評価結果が平成29年度と比較しても一部除き横ばい、あまり改善していないことや、非公募施設もあることから、平均評定値を併記するなど、評価の強弱の工夫をするべきだったと考えますが、ご所見をお伺いします。

【討論】

認定第1号「平成30年度飯能市一般会計歳入歳出決算の認定について」、反対の立場から討論をさせていただきます。

前年度も指摘しましたが、経常収支比率について、前年度とほぼ同程度の93.9%、財政上余力がないままの年度でした。財政力指数についても同様に、本決算でも数値が悪化しており、国に頼らねば維持できないという状況が固定化されつつあり、単年度収支は赤字だと指摘されました。基金の適正規模も達成できないままです。

余力を持つには、借金に依らない歳入の確保が第一歩ですが、様々な分野の収入未済額の増が指摘され、地方債が積み重なっている状態です。臨時財政対策債だからということで毎年続いておりますが、既に全国で臨時財政対策債は約53兆円と政府予算の半分を超えており、人口減少が深刻化すると予定通り償還で地方交付税純増となるかはわからないといえます。

税収も平成29年度に比べ合計で1億円近く減となり、今後大幅な増収が見込めない中、行政改革が急務の年度であったと言えます。

指定管理者制度の事業評価についても、評価結果が平成29年度と比較しても一部除き横ばい、評定値の差を示さずA評価で実績評価が良好、良好な管理運営実績によって非公募につながっていったことから、行政改革の方向性が見えない事業評価でした。

非常勤特別職である市議や、市長などの報酬増額については、勧告という法的義務がない中で、期末手当の議会費増額固定化は認められません。選挙運動用自動車の使用等の公営に関する条例改正で、選挙経費を増やしたことも同様に問題でした。

土地開発公社の債務負担行為補正で、借入に上限額を外し完全な全額債務保証と、全国的な土地開発公社の長期保有土地を減らす方向性と異なり、各自治体で問題となった、市財政の身の丈に合わない状態、不要不急の土地取得を助長させ、長期保有土地を抱えるリスクを含みます。自治体保証は必要最低限、時点修正でなければなりません。

飯能市行政改革大綱の地方債現在高の減少と地方債に頼らない財政運営という記述とも相違したままであり、財政力不足を地方交付税で補う、財源の不均衡解消が進みません。PDCAが具体的な削減にむけて機能していない飯能と、改革をフルスロットルで進める先進自治体との格差が広がっていった決算でした。

以上、反対の立場から見解を申し上げ、討論とさせていただきます。

 

【最終日討論採決】

●第9号 平成30年度介護保険特別会計歳入歳出決算の認定について、反対の立場から討論させていただきます。

平成29年度との比較で、保険給付費が増え、介護予防や一般会計の健康推進全般含め、先進自治体並みの医療介護連携の成果が示されませんでした。先進自治体では、要介護認定者数増と予算制約を念頭に、要介護者中心の既存施策では持続困難として、介護予防とフレイル予防を含む健康寿命に重点を当て、元気高齢者を増やしています。

飯能市では、介護予防効果の評価が行えていないのは問題です。国の経済財政運営と改革の基本方針2018、平成30年6月15日閣議決定では、介護予防・健康づくり、社会参加、生活支援を一体的に推進、これが国及び先進自治体の共通する方向性です。国民健康保険の医療、保健事業と後期高齢者医療制度も当然関連します。

そこでは、地域包括ケアシステムの構築として、ただ会議で連携ではなく、医療介護双方のレセプトデータ一体化、介護予防アンケート、特定健診等各種健診や高齢者悉皆調査を含め、医療・介護統合データベースに取り組み、客観的なデータに基づく現状・課題分析、政策立案・評価等が行えるようにしています。

結果として、時系列のモニタリングにとどまらず、データ変動の理由・原因の特定、指標の組合せによる新たな知見の獲得等、要介護2 ~5認定者の減少や、介護給付や医療費の削減効果が5000万円以上も出た自治体があります。在宅医療の地域特性から、医療費用が減っても、介護費用が増えてしまう事例発見など、一体化の管理は急務かつ有効です。

自治体の判断や創意工夫に予算配分があり、飯能も一部歳入に計上があったものの、施策を有効に機能させる、先進自治体並みの事業運営改革の検討や実施結果は見られません。先行的な自治体の取組のポイントである、医療・介護双方の視点から高齢者の状態をスクリーニングすると、目に見える成果が得られるのは様々な事例から明らかです。

身体的フレイルは 自立高齢者の約10%が該当、約50%が予備軍、どちらも要介護新規認定のリスクを高め、オーラルフレイルはさらに高めます。介護予防C型、短期集中予防サービス事業でフレイル対策効果が上がった事例もあります。寝屋川市ではだいたい2割くらいの方が事業を終了し、内訳として介護保険未利用者は40%が終了。介護保険利用者は16%で、かなり差がでました。

これは自治体の高齢者の保健事業と介護予防の一体的な実施前から介護保険を利用されていた方と、介護予防・フレイル対策や生活習慣病等の疾病予防・重症化予防に市が一体的に実施する仕組み構築後の参加者では、成果が違うという先進自治体の示唆です。

こうした事例が平成30年度様々な自治体から出ていたにもかかわらず、時点修正ができなかった点は問題であり、反対の立場から見解を申し上げ、討論とさせていただきます。

 

●第10号 平成30年度後期高齢者医療特別会計歳入歳出決算の認定について、反対の立場から討論させていただきます。

前期高齢者から後期高齢者に順次移行してくる中、後年度負担を踏まえた運営が必要な年度でした。市は保険料を徴収し、納付するだけが仕事とされがちですが、広域連合側の考え、厚生労働省の考えは異なります。

 

市町村と適切な役割分担の下、互いに連携して保健事業を推進、これは独自の検査項目というものも含みますし、健康診査受診率もかかわってきます。埼玉県後期高齢者医療広域連合の第2期 保健事業実施計画(データヘルス計画)には、健康診査などの保険事業について、基本は全市町村共通ですが、その先は異なることが明らかになっています。

市町村別健診受診率の推移では、平成28年度時点の飯能市の受診率が23.5%と県平均の33.7%を大きく下回っており、その影響は介護保険や平成30年度の広域連合全体の保険給付費にもわたります。

広域連合の事業だからではなく、個別にできることを行う自治体との差は大きく、平成28年度の健診受診率で春日部市は57.1%、桶川市は57.5%と倍以上の差があります。事業成果に数値が出ていませんが、計算では飯能市での被保険者29年度末10751人、健診受診者2538人、23%台と市の対策遅れは明らかです。

広域連合では、フレイルに着目した対策や、生活習慣病の重症化予防に重点をおきながら、広域連合と市町村が連携して保健事業を推進とあり、広域連合と市町村の役割を明確に示しています。

しかし、この決算において、市町村独自の健康増進に係る取組への経費補助を広域連合が実施しているにもかかわらず、事業の成果で全く保健事業に触れておらず、成果も示さない飯能市は、広域連合の方針、個々の被保険者の状態に即した住民サービスの実施、独自の取組の実施、広域連合直轄事業への協力に合致しているか疑問です。

そのことは同計画上にも明確に指摘事項としてかかれており、後期高齢者に係る健診受診率の推移において、市町村間の受診率格差が大きいことを課題とし、受診率の低い市町村へ働きかけを行いましたが、今のところ受診率の底上げには結び付いておらず、今後も向上策の実施を働きかける必要があります、とされています。

市町村独自の健康増進に係る取組への経費補助として、人間ドック費用は記載があったものの、保養施設(入浴・宿泊等)の利用費、健康診査追加項目に係る費用など助成があるものの、何を利用しどう成果が出ているかもわかりません。

以上、反対の立場から見解を申し上げ、討論とさせていただきます。

●第11号 平成30年度訪問看護ステーション特別会計歳入歳出決算認定について、反対の立場から討論をさせていただきます。

予算時点では、平成29年度比で歳出の経費を削減していたものの、歳入の訪問看護収入は想定よりも1割近く減となり、歳入における繰入金の構成比が高くなりました。歳入は歳出よりも減額幅が大きく、訪問件数がマイナス359件の年間1780件で平成29年度比16.8%減、訪問リハビリは35.2%減、ケアプラン作成は13.4%減と悪化しています。

総務省ではすでに公設サービスについて、厳しい報告をしています。

ひとつ、現状の形態での経営改革の推進であれば、経営戦略の策定・公表・PDCA経営、各種経営指標を活用。

ふたつ、前述の取組だけでは、将来にわたる住民サービスを確保することが困難となる場合、抜本的な改革の検討が必要。事業の意義や必要性等を検討検証し、今後の方向性として公営で行う必要性、事業の持続可能性、民間活用等経営形態の民営化・民間譲渡。

このように指摘しています。

平成30年6月15日に閣議決定された、経済財政運営と改革の基本方針2018では、政府及び総務省の最近の動向で、他会計からの繰入に言及しています。本会計では繰入金が続いており、運営にあたって構造的問題があり、総務省指摘の事業の持続可能性に課題ありです。

本年度の事業成果として、訪問介護利用者アンケート調査を実施し事業の充実に取り組んだとあるものの、決算上、その成果は歳入減で逆行しています。運営の在り方という根本的な問題に取り組まないままでは、現場の努力や改革マインドが、総務省の方向性と合致しません。

民間活用の資料によると、平成29年度抜本的な改革等の取組状況概要として、介護サービスは民営化・民間譲渡が3件、指定管理者制度5件と見直し事例が多々あります。

民でできることは民で、つまり民間でも設置・運営しているならば、公営の必要性はないと考え、民営化した事例や、社会情勢が変化し福祉のあり方や業務、施設内容が多様化している状況を踏まえるべきでした。行財政改革の取組の一環として、複合化を含め民間活力の活用が検討された他自治体同様、本年度はあり方の検討、報告を実施するべき年度でした。

なぜならば、自治体戦略2040構想研究会資料、平成30年推計の人口段階別市区町村の変動、2015年から2040年によると、飯能市は人口がマイナス30%の区分となっています。人口の更なる低密度化により、経営悪化が想定され、本会計事業サービスの継続性に大きなリスクを抱えているためです。

地域住民に不可欠なサービスを提供する形態は、公営でなければならないということはありません。現状の延長線上での対策では、経営環境はさらに厳しさを増し、経営が成り立たなくなる可能性が高いなかで、抜本的な具体策なく、ただ規模を縮小してサービス減、大きな問題です。

以上、反対の立場から見解を申し上げ、討論とさせていただきます。