一般質問の全文と答弁概要【2040年代に向けた行政経営・観光政策と道路】

1.2040年代に向けた行政経営について

(1)      地方制度調査会の自治体連携

地方の課題について、2025年がポイントとされ、国立社会保障・人口問題研究所の基礎データをもとに、様々な論点や議論が、報道や議会を含めなされてきました。期限が近づき、国や各自治体の計画が2025年を期間に含むようになり、改革が進捗する自治体は、財政構造や人口構成推移を踏まえ、乗り切れる具体的な流れも見えてきました。

国や報道の論点はさらに将来へ進み、現在は2040年が大きく取り上げられています。報道では、人口減が進むことは避けようがなく、85歳人口は倍増し生産年齢人口は減り、都心部に人口集積が確実視されます。介護や社会保障全般需要、交通弱者が増と、地方自治体が個々で行政サービスを維持できるか、国の地方支援制度自体も持続困難で見直し検討が必要と指摘されています。

第32次地方制度調査会では、2040年に顕在化する課題、行政のあり方を中間報告でまとめました。市町村の枠を超えた連携を推進、自治体連携が主な論点です。

高齢化率は平成29年埼玉県の資料で県が25%、飯能は28.9%。国立社会保障・人口問題研究所が公表した将来推計人口によると、現在の行政改革と運営では、県人口が平成22年比でマイナス12.4%、飯能市は倍近い減少率、マイナス22.9%の64,389人となります。

2040年の高齢世帯は埼玉で43・5%となり、飯能は平成29年の県の平均年齢45.4才よりも高い48才のために大幅に上昇、県との人口構成比率比較から、おおよそ半分近くが高齢世帯になると見込まれます。

地方制度調査会では、過去の消滅可能性都市の指摘対象となった自治体以外も含め、市町村の枠組み自体見直し、複数自治体を圏域化した連携強化策を本格検討することで、2040年に深刻化する行政課題に備えようとしており、今後答申通りの法整備が予測されます。しかし、現状飯能市では調査検討はないとの回答を得ております。

質問です。

2040年、インフラ老朽化対応、職員確保の未達回避、施設維持管理体制構築、福祉土木など専門職の共同配置、先端技術共用など指摘される自治体共通の諸課題について、法整備も控える中、市単独で運営を考えていくのか、具体的な連携施策や中長期的な自治体連携や協力関係強化を調査検討していくのか、ご所見をお伺いします。

【答弁概要】

地方制度調査会の中間報告は、令和元年7月31日に「2040年頃から逆算し顕在化する地方行政の諸課題とその方策」について内閣総理大臣からの諮問に対し答申されたもの。

社会が変化していく中でも、豊かで多様な価値観を背景とする住民の暮らしを持続可能な形で支えていくためには、地方公共団体においては地域の枠を越えた連携を行い、ネットワーク型社会を構築していく必要があるといったことを中心に整理されている。

対応として、行政の一部共同化は非常に有効であり、本市においても、ご承知のとおり、例えば消防事務に関する一部事務組合として、県内の他地域に先がけ平成19年度から所沢市、狭山市、入間市、日高市とともに埼玉西部消防組合を運営しているほか、斎場は狭山市、日高市との3市で構成する広域飯能斎場を、休日・夜間救急は日高市との2市で構成する休祝日・夜間診療所を設置し、広域的な運営を行っている。

埼玉県市町村総合事務組合や埼玉県国民健康保険団体連合会、埼玉県後期高齢者医療広域連合もある。

インフラ、人材確保、先進技術の導入等の様々な行政課題に対しても、広域的連携が有効な解決策となり得るかどうか、今後の動向を注視する。

(2)中核市、連携中枢都市圏

平成31年4月時点、58市が中核市として運営されております。他の自治体での合併を含めた中核市移行の資料によれば、行革の進捗、中核市になることでの統合改革、政令市ほどの支出増が不要など、合併により人口20万人を達成し、中核市移行を目指す意向は各地であり、現状からの改革が見込まれています。政令市移行や合併での減少があっても、一貫して増加してきました。

さらに、地域の核として周辺自治体間連携を進め、地域医療、介護、交通、産業活性化を広域的に行うことが目的とされることが多いそうです。

他方、政令指定都市はおよそ20市ありますが、指定は国の裁量に委ねられており、市町村合併を含め人口50万人以上であるものの、指定されない自治体が多いです。実質的な要件として、人口80万人以上で将来的に100万人程度が相当程度期待できなければ困難というのが実情です。

もうひとつ、平成26年から始まった制度に連携中枢都市圏があります。内閣府の説明では、人口20万人以上の市を中心に相当規模と中核性を備える圏域市町村が連携し、コンパクト化とネットワーク化により、自治体を残しつつ、人口減少・少子高齢社会においても一定の圏域人口を有します。経済成長のけん引、高次都市機能の集積・強化、生活関連機能サービスの向上など、活力ある社会経済を維持するものです。

共同処理制度が特筆するもので、具体的には、

協議会分野、消防(通信指令等) 、広域行政計画等、視聴覚教育、機関等の共同設置分野 、介護保険(介護区分認定審査) 、 障害者福祉(障害区分認定審査)事務の委託分野、住民票の写し等の交付、公平委員会

様々な実施事例があります。

各地の実施自治体では、小規模のままの行政運営では、高齢化によりあらゆる分野の予算縮小がさけられないことから、様々な分野毎の事業を集約する必要があるとされています。

合併以降を果たした自治体では、主体的な行政運営を後年も継続させるため、周辺も含め、自治体の体力がある今のうちに、できる限り早く中核市へ移行することが重要であると答弁しています。つまり、財政悪化した後では対応ができなくなることが、そうした自治体の試算上、行政の今後が明確化されています。

質問です。

現状では、中核市、連携中枢都市圏への調査・検討状況はなく、近隣の他市からもそのような提案はないとの調査回答でした。

厳しい財政運営の今後を見込み、各地の改革事例から、ダイア各市で早期に建議し、包括的な地域の存続、活性化を担保する施策を強化してはいかがでしょうか、ご所見をお伺いします

【答弁概要】

連携中枢都市は、その要件としては、原則として地方自治法に規定されている指定都市又は中核市であることとされており、現状では、西部地域まちづくり協議会構成市は、例外規定を含めても要件に該当する市はなく、本制度の対象とはなっていない。

中核市への移行は、数多くの権限が県から移譲されるとともに、それに応じた責任、財政負担も生じる。

埼玉県内で普通地方交付税の不交付団体は、近年では、戸田市、和光市、八潮市、三芳町。
県内の中核市である、川越市、川口市、越谷市はいずれも不交付団体ではない。
中核市規模でありながら、中核市の指定を受けていない市も所沢市、春日部市、上尾市、草加市と4市あり、いずれも不交付団体ではない。

中核市への移行が即ち財政面の改善に直結するものではないと考える。

(3)名栗合併の効果や検証

平成17年、飯能市は旧名栗村と合併をしました。市議会での当時の議事録なども読みましたが、今までの成果、財政効果、村存続だった場合との効率化の推計など、全体像が見えにくかったため、事前に調査と回答をいただきました。

新聞報道によると、平成の大合併では、年間の経費削減が想定の2割と低調だったとの調査結果もある中、飯能では合併後の普通交付税の合併算定替額が合併の財政効果・効率化の推計額であると考えられ、合併から現在まで、年間で最少でも3億2,000万円、最大5億6,000万円の合併による効率化があったと考えているとの回答がありました。

埼玉県内では、15以上の合併があったものの、実態は法定協議会に参加するも未実施が多く、近隣では秩父市、ふじみ野市、ときがわ町にとどまりました。

平成22年の埼玉県の合併に関する調査結果では、今後の展望として、市町村は広域連携などの多様な選択肢から最も適した事務処理の仕組みを自ら選択する時代になること。

県は合併市町の課題解決や新たなまちづくり、市町村間の広域連携等を 積極的に支援するとあります。

質問です。

人口その他社会情勢の変化と、増える行政需要、厳しさを増す見込みのなか、すでに成果を上げた名栗村合併の効果を、あらためて外部に広めていくことが必要と考えますが、ご所見をお伺いします。

【答弁概要】

旧飯能市と旧名栗村の合併による新市建設について、その背景として、両市村は、もともと日常生活圏に一体的な地域性があり、今後もその拡大が見込まれたことや、共に豊かな自然環境を有しており、首都圏からの身近な観光スポットとして観光客が多く訪れるものの、行楽シーズンの交通渋滞やごみの不法投棄など共通の課題を抱えていたことがあった。

行政においても、生活基盤となるごみ・し尿処理や介護認定審査は、名栗村からの委託により飯能市が実施していたことや、共に埼玉西部広域事務組合に加入し、消防・救急体制が広域的に展開していたことなど、多くの一体性を有していたということもあった。

ただし、合併は、生活圏や経済圏の一体性や財政効果だけを見て実現すべきものではなく、双方の住民の心の一体性が何より重要である。

(4)地域間格差と今後の支出構造のあり方

総務省の地方財政白書によると、市町村の規模別財政状況に、大きく格差が出ています。

人口10万人未満の市を小都市と規定しており、特殊要因で財政が健全な自治体を除き、規模が小さな団体ほど人口1人当たり決算額が大きく、行政コストがかかる傾向にあります。

規模が大きいほど財政力指数が高くなり、小都市は地方交付税の歳入構成比24.1%ですが、中都市は11.7%、中核市9.7%と、差が広がる状態です。

飯能市は高齢化率の点にとどまらず、東京の都市雇用圏、飯能市はほぼ境界線上で、継続的な人口流入を満たす要件は乏しいのが実情です。こうした自治体は、税収減や、歳出増、中長期の支出構造、財政運営の維持について、改善は見込めず、2040年には構造上困難になるのがほぼ確実と考えられているなか、飯能市は予算規模が同規模自治体に比べ大きく、改善が急務です。

事前にいただいた調査回答でも、「現状維持の歳出面で右肩上がりの単純推計が容易に想像でき、歳入面では横ばいを確保できるかさえ厳しい状況、不断の行政改革を実行する」とありました。行政改革・財政健全化実施計画は来年度までであり、2040年の高齢化、人口、税収減に向けた抜本的対応は、さらに必要であると考えます。

報道では、上下水道、道路、インフラについても、現在のままでは維持管理費が40年には少なくとも1.4倍となる一方、保守の施工管理を担当する自治体の技術職員の不足、技術承継も自治体規模、部署構成で格差が出るとされています。

飯能市は、総務省に報告している、地方行政サービス改革の取組状況等に関する調査からも明らかなように、指定管理者制度等の導入はまだ少なく、さらに非公募が大半です。

また、窓口業務の委託予定が無く、さらにビジネスプロセスリエンジニアリング、民間で活用されるBPRを用いた業務分析がないため、部局の集約や業務削減する取組ができていない状況です。

他の自治体では、すべての事務事業を見直して再構築し、マイナスシーリングをせずに年間で億単位や、支出1%以上の削減を果たした事例があります。

高コストの水道老朽化対策についても、アメリカでAI予測によって水道管の破損時期を5年以内に75.5%の破損等予測し、効率的な更新につなげるシステムがフラクタ社にあります。川崎市が実証実験をスタートさせており、神奈川県営水道も検証を開始しています。

質問です。

市の事業全般で歳出構造を変えるため、聖域なくBPR手法による業務改革を前倒し導入し、最適化、効率化をまず進め、さらにその成果をダイア各市で共通化、全体で歳出構造を改革し、強固な財政基盤を持った地域圏を目指すべきではないでしょうか、ご所見をお伺いします。

【答弁概要】

人口減少、少子高齢社会による社会構造の変化、人手不足、先進技術の爆発的進化などを含めた社会状況、社会資源の把握、そして今後の日本や飯能市の将来像を見定めて、表出してくる多くの課題に対して効果的な対策になり得ることは全て研究や議論をし、限りある財源の中、必要最小限の投資で最大限の成果が得られるよう選択していく必要がある。

その過程では、既存の業務プロセスの見直しによる効率化を行うことや、AIやRPAへの積極的な業務移行を行うことにより、少ない人員でもしっかり行政を担っていけるような組織体制づくりをしていくことが必要。

本市は県内で3番目に大きな面積を有し、山間地域の生活拠点においても、これまでの歴史や文化に根付いた住民の暮らしを守りつづけていく必要があると考えており、そうした点もしっかり考慮しながら行政の効率化を図る。

西部地域まちづくり協議会構成市の共通課題でもあることから、令和3年度からはじまる次期構想及び計画のことも踏まえて研究していく。

2.観光施策と道路について

(1)シェアサイクル、レンタサイクルの検討状況

観光と移動手段は、密接な関係があります。自動車、鉄道、自転車、徒歩等様々ですが、自転車については、レンタルはセットである事例が多いです。よく知られるところで、軽井沢はサイクリング特集/レンタルショップと軽井沢観光協会が取り上げています。

ほかにも、レンタサイクルは実にたくさん、網走市、富山市、太田市、有田観光協会、亀岡市など、各地の観光協会が公営、民間問わずメインメニューに挙げています。

しかし、飯能市では市のWEB含め記載がなく、市の観光ビジョンでも特段の記載はありません。

自転車のメリットについて、大阪府堺市では、点在する観光資源を「つなぐ」手段として有効であり、自由に、気軽に、快適に、楽に広範囲を回遊可能と位置付けています。

自転車と観光について、市の方向性が見えないのは、他の観光先進自治体と比較ので、やはり見劣ります。市が歳出配分し、シェアサイクルを導入することなく、市内にある、レンタサイクルの紹介もない状況は、観光振興においてマイナスです。

質問です。

過去の議会議事録では、シェアサイクル、レンタサイクルについて、研究するという答弁でした。今後市として、民間に任せるのか、民間を支援するのか、行政がコミュニティサイクルとして運営主体となるのか、どのように考えるのかお伺いします。

【答弁概要】

都市回廊空間を形成する各観光スポットの魅力向上を図り、それぞれのスポットの回遊性を高めることを核とした本市の観光振興においては、レンタルサイクルが有効であるということは、過去の議会にて答弁。

レンタルサイクルの状況は、丸広百貨店飯能店が「レンタルサイクルでめぐる飯能の旅」を実施。市内の観光スポットの回遊性を高めることが目的。

本市の観光政策との関連をより高めるため、ぷらっと飯能でのPRや問い合わせ対応など、奥むさし飯能観光協会も協力し運営している。

レンタルサイクルの利用状況は、3月からスタートし8月までの6か月で46件の利用があり、5月は17件、6月は13件と、天候の良い時期に利用が多かったとのこと。

奥むさし飯能観光協会でもレンタルサイクル事業の導入を検討している。

市としては、こうした取り組みに注目、協力していく。

(2)民間活用

民間事業で、既に軌道に乗っているものに、先ほどのシェアリングエコノミー、シェアサイクルがあります。サイクルポートで貸し借りがいつでもでき、オープンストリート株式会社のハローサイクリング事業を、株式会社西武プロパティーズが複数の駅にある西武スマイルパークに設置できるよう、場所提供により導入しています。

西武線沿線は、駅近辺のコンビニや不動産屋などに設置が多く、そのほかにも、pippaやスイクルなど、いくつも運営企業があり、駅近辺に1つだけという形での導入も見られ、歳出を伴う事業ではない形で、飯能駅での導入も状況次第で可能ではないかと考えられます。

質問です。

観光振興にもなる民間のシェアサイクル事業者に、市内での設置運営が可能か、確認してはいかがでしょうか。

【答弁概要】

ハローサイクリング事業は、株式会社西武プロパティーズとオープンストリート株式会社が連携し、西武線沿線の各駅を中心にシェアサイクルを導入することで、利用者の通勤・通学や生活利用などに要する移動手段のサポートと、同地域での回遊性向上による駅周辺の賑わいづくりにつなげることを目的に、昨年9月に試験導入したものと伺っている。

この事業は、広範な住宅地域が存在し、二次交通インフラとしてのシェアサイクルとの親和性が高い東京都内の駅(練馬区桜台駅、東伏見駅、青梅街道駅の3駅)で実施しているもの。

本市とは状況が異なるが、今後の参考とするため、実証実験の状況についてお伺いする。

(3)既存施策のブラッシュアップ

既存の自転車に関連した観光施策の更新も必要です。ぐるっと埼玉サイクルネットワーク構想について、現状や名称が最新化されていないため、有用な施設が生かされないままになっています。

調査したところ、あくまで埼玉県の事業とのことでしたが、更新を依頼するのは飯能市の業務です。

埼玉県の紹介ページ及び、飯能市webの自転車みどころスポットで、

トーベ・ヤンソンあけぼの子どもの森公園。
飯能市立博物館。
飯能観光案内所おみやげショップ夢馬
メッツァ

等々、市の肝いり事業や、市が一部関連しているもの、市議会で議決しているものもあります。

質問です。

観光資源の活用において、情報の更新依頼をしないという選択の理由があるのか、飯能市のwebの見直し、県へマップの更新依頼等が必要と考えますが、ご所見をお伺いします。

【答弁概要】

「ぐるっと埼玉サイクルネットワーク構想」は、①移動手段としての自転車の活用だけでなく、スポーツやレクリエーションなど健康面、環境面にもよい乗り物であること、②埼玉県県民の自転車保有率が高いこと、③埼玉県がサイクリングに適した土地柄であるという特色を活かし、地域の活性化、自転車の交通安全、埼玉県民の健康増進を目的に、埼玉県(県土整備部)が策定したもの。

自転車見どころスポットを巡るルート100を作成し、ルート案内表示等の設置やルートガイドブックの発行などにより、地域の活性化、交通安全、健康増進に取り組む。

本市は、「川風サイクリング花の小径をめぐるルート」と「飯能見どころ満載 まちなかの名所を訪ねるルート」の2ルートが設定されている。

マップ上の施設名称は、すでに県に対し修正の依頼をしており、順次更新されると考える。

(4)      国策や民間施策との連携

平成29年に自転車活用推進法が施行され、国も自転車の活用を総合的・計画的に推進するとしています。

これに基づき、基本計画である、自転車活用推進計画が閣議決定、地方版の自転車活用推進計画、ナショナルサイクルルート、シェアサイクル施設、自転車安全教育の項目があげられています。

この国が検討するナショナルサイクルルートは、令和2年度末までに、40路線をモデルルートに選び、設備の支援を行うというものです。

サイクルツーリズム事例として霞ヶ浦、びわ湖、瀬戸内しまなみ海道が挙げられており、すでに自転車専用道で国際水準に達しているものなどを認定ということで、国交省にて検討が進められています。

前提となるモデルルートは国や県などが洗い出しを行い、複数の市町村に跨がる等、広域的なルートであり、価値創造の素地があるか、地域の関係者の協力が得られるかなどを設定の考え方の中心に据えています。59ルートで検討中ということです。

ナショナルサイクルルートの要件(案)では、自動車交通量が少ない、道路幅員が広いなど安全なルートのほか、走行環境、地域の受入環境、情報発信、取組体制が必要と検討されています。路面表示、案内看板は、自転車専用通行帯や、車道混在での表示を行う標準仕様を規定する予定だそうです

飯能市で検討するとすれば、ルートは先ほどの埼玉サイクルネットワークを他自治体と延長100km以上連携させることも視野に入りますし、サイクリング環境向上策の例としてあげられている中で、民間と連携してすでに実施されているサイクルスタンドや、民間のレンタサイクル、宿泊施設も活用できます。公共施設の低利用部分を民間に貸し出し、活用することも可能です。

質問です。

民間事業者や近隣自治体と、ナショナルサイクルルート案に沿った経路や設備の検討実施や、道路補修の際に自転車用の表示など、ルート指定有無にかかわらず、標準仕様に準拠するような観光施策は可能であり、観光施策として検討してはいかがでしょうか、お伺いします。

【答弁概要】

民間事業者との連携は、平成29年度に飯能市市民活動支援事業を活用し、奥武蔵マウンテンバイク友の会が、名栗ふれあい公園内にじてんしゃ広場を整備。子供マウンテンバイク教室の開催などにより、子供の健全な運動能力の育成に、名栗地区における自転車の観光振興にも。

近隣自治体とは、埼玉県西部地域まちづくり協議会において、平成28年度に「所沢・飯能・狭山・入間サイクリングマップ」を作成。4市の首長により、西武鉄道株式会社に「サイクルトレインの運行」について要望をした。

自転車による観光振興は、民間事業者や近隣自治体とも連携し進める。

(5)      自治体間協働の参加

「自転車を活用したまちづくりを推進する全国市区町村長の会」が、平成30年11月、294自治体により設立されました。現在は356自治体となり、埼玉県ではさいたま、秩父、本庄、戸田、幸手の五市が加入しています。地方創生とリンクした運営となっており、自転車活用推進議員連盟、国交省自転車活用推進本部へ、自転車を活用したまちづくりを推進するための提言と要望活動も行っています。

地方自治体の自転車道整備や自転車走行空間の拡幅整備、ブルーラインや矢羽根の設置、道路の舗装整備や路面清掃等について十分な予算措置、国道等においては、幅員が 30cm に満たない路肩や狭隘な歩道について、自転車通行可能な歩道や幅員 50cm を超える路肩の整備を求めています。

質問です。

飯能市で抱える危険な道路の課題に加え、自転車観光の面からも活動は有益であると考えます。連携して道路の改善を図るため、加入の検討をされてはどうでしょうか、ご所見をお伺いします。

【答弁概要】

県内の加入している市から会の状況等をお聞きし、ダイア4市の動向も踏まえ、検討していく。

(6)交通事故対策

観光において、車、バス、自転車、徒歩、どれも交通事故は関連します。

「交通事故防止特別対策地域」があり、飯能市も昨年度指定されました。3カ月間で3名の方が交通事故により尊い命を落とされ、県知事により、飯能市が交通事故防止特別対策地域に指定となりました。

市長が対策本部長となり、平成30年9月11日から平成30年12月10日、集中的な交通事故防止対策を関係機関・団体とともに講じます、とありました。しかし、その成果は出ているのか、継続した改善はあるのか、市民の不安が払しょくされたとまでは、実感できないところであります。

質問です。

今年度の予算や施策において、その成果はどのように出ておられますでしょうか、お伺いいたします。

【答弁概要】

平成30年9月11日から平成30年12月10日の3ヶ月間、埼玉県知事より「交通事故防止特別対策地域」の指定を受け、市長を本部長とする「飯能市交通事故防止特別対策本部」を設置、交通関係団体との連携、協力を得て、交通安全対策事業を強化実施した。

具体的な対策は、3ヶ月間の期間中に、街頭での啓発活動13回、交通安全教室17回、通行車両のスピード抑制のために交通安全指導車等による広報活動を行いながらの安全走行を62回実施。

市内各所におけるのぼり旗や啓発看板等による注意喚起、広報はんのうやホームページ等各種モバイルにおける広報、防災行政無線による呼び掛け、交通安全施設の整備及び点検等を、飯能警察署や飯能地方交通安全協会、飯能県土整備事務所等の交通関係機関と連携し実施、現在も交通事故防止に向けた連携・取り組みを継続している。

昨年10月19日に発生した死亡事故を最後に、今年の8月16日まで301日死亡事故ゼロを更新。

8月17日に痛ましい死亡事故が発生してしまったが、交通事故防止の対策や取り組みについての成果は出ていたものと判断している。

今年度においては、道路公園課等の関係課と連携し、危険と思われる交差点を洗い出し、整備していく予定のほか、各自治会から申請のありました交通安全施設の整備に取り掛かる。

交通事故防止の啓発活動、交通安全施設の整備等に積極的に取り組む。

ここまで一括質問一括答弁。
以下、一問一答形式。

(1)地方制度調査会の自治体連携

広域的連携が有効な解決策となるのか?というところを注視していくとの答弁。これまで積極的に連携に取り組んできた経緯を考えると、今後の設備投資を伴う行革、これは行政改革・財政健全化実施計画記載事項や、今後の先進事例も含めてですが、他自治体の事例を共同や連携で進めるなど、前もっての見積もり、調査検討を要すると考えます。具体的な対応についてはどのようにお考えでしょうか。

【答弁概要】

事例を注視。ダイヤにて、令和3年度からはじまる次期構想及び計画のことも踏まえて研究していく。

(2)中核市、連携中枢都市圏

連携中枢都市圏推進に向け、総務省の財政措置があるなどメリットがあるものの、中核市はなく、東京通勤圏である状況から、この補助が得られないのは残念です。しかしそれが事実。

そうなりますと行政の持続可能性を中長期に担保するには、他市と協力しての合併と中核市化が優先されるものになるかと考えられます。

先の答弁では飯能単独市での存続が前提ということかと思いますので、今後、いつまで財政の持続可能性を担保して市政運営ができるか、これについての推計や方向性をお伺いします。

【答弁概要】

行財政運営について、健全化に向けた各指標を元に健全運営・財政改革につとめる。

 

この9月議会でも、平成30年度一般会計歳入歳出決算の審査で、財務指標等、様々質疑をさせていただきました。現状、飯能市単独での財政運営をしていくわけですので、不断の財政改革ということで、職員のみなさまもご努力をされているという答弁でありました。

しかしながら、今後、長期的には広域的連携を進めなければ厳しい現状であり、有効な解決策についての検討を、今後も注目していきたいと思います。

また、飯能市は名栗合併での成果を一定あげておりますので、近隣自治体と、こうした効果をもとに、行政効率化の調査研究の端緒としていかれることも期待申し上げます。

 

(1)シェアサイクル、レンタサイクルの検討状況

こちらについては、民間の取組みについて、注目し協力するという答弁でした。

ここで、うかがいたいのですが、平成28年度に国庫補助金を355万円うけて実施されました、「メッツア経済効果分析等業者委託報告書」、こちらについてお伺いします。

メッツア経済効果分析等業者委託報告書では自転車の活用についても、市内を移動する2次交通として、電動アシスト付自転車やロードバイク、その備品等のレンタルを、以前一般質問もさせていただきました、民泊、観光ゲストハウスを拠点に提供など、様々な改革提案がありました。

2年前の報告ですが、市が公金を用いて行うものかは別としましても、民間活用、提案募集の対応を図るための、基礎資料にもなると考えます。

報告書にある自転車やゲストハウスについて、報告受領後の対応や検討はどうなのでしょうか、お伺いします。

答弁概要】

メッツアによる効果を市内へ波及、校歌を最大化するための分析、提案であり、関係課と緊密に連携、可能性のあるものはよりよい展開への議論を進める。

民泊や自転車活用も、観光振興、市民参画等、可能性のあるものと捉えている。

 

(2)(3)につきましては、ぜひ民間の動向を確認いただいて、今後も注目してまいりたいところです。また、県へは迅速な対応をしていただいたということで、よかったです。ありがとうございます。

(4)国策や民間施策との連携

民間事業者や近隣自治体と連携して進めていかれるという答弁でした。

国策について、先のナショナルサイクルルート同様、自転車活用推進法によりあげられるもので「地方版自転車活用推進計画」についてうかがいます。

地方公共団体は、国と適切に役割分担し、実情に応じた施策を実施、区域の実情に応じ計画を定めるよう努めるとされています。しかし現時点では飯能市での検討はないと確認できました。

この計画は、埼玉県とは別途、都道府県境や市町村境を跨ぐエリアや、都道府県内の一部のブロックを対象区域とすることも可能と規定されるもので、自転車専用道路等の整備、交通安全に係る教育及び啓発、観光来訪の促進、地域活性化の支援など15項目について、検討が必要です。

自転車通行空間の計画的な整備推進には、自転車ネットワーク計画があり、地域の自転車利用の実情や、交通事故発生状況を踏まえるなど、飯能市でも必要な対応策が記載されており、計画策定をしない場合、この対応事態の優先順位が低いと、対外的に取られかねません。

今後、国からの支援が単年度ないしは複数年度で出る場合、先のナショナルサイクルルートの支援同様、申請要件に推進計画が前提とされることも考えられます。

例えば、他自治体の計画説明文書の記載に、「国は、施策の実施に必要な財政上の措置等を講じるとともに、その負担の在り方について検討。民間団体等が実施する取組に対して、必要に応じて支援。」とあり、おそらく想定の通りになりそうです。

こちらも、データ収集に当たっては、自転車利用や交通安全をテーマに地域で積極的に活動している民間や NPO 等の活動団体との交流・連携のもとで収集、またはすでに収集しているデータを活用することも有効であるとして、民間施策との連携を実質的に求めています。

質問です。

自転車関連の施策は放置自転車が大半であり、これだけでは十分とはいえません。自転車活用推進計画を策定することで、様々な課題が洗い出され、対策が進められると考えます。計画の検討を進めてはどうか、ご所見をお伺いします。

【答弁概要】

「自転車活用推進計画」は、平成29年5月に施行となった「自転車活用推進法」に基づき取り組む計画。
長期的な展望を視野に入れつつも、計画期間は令和2年度までの極めて短期間での計画である。

推進すべき目標も「自転車事故のない安全で安心な社会の実現」をはじめ、「自転車交通の役割の拡大による良好な都市環境の形成」など、多岐にわたる目標値を掲げる内容。

本市にとって計画策定による取組が有効であるのか否か、といった観点から研究する必要がある。

 

確かに、令和2年度までの計画ではありますが、自転車に関する4つ目の新しい法律に基づいて、地方版の計画を支援するとされているものです。これから先、観光はもちろん、災害時や渋滞緩和、環境問題、健康増進など、自転車活用の可能性は重視されており、例えばですが、飯能市で策定された計画は、令和2年で終わる必要はなく、国の支援を受けられる可能性もあるものです。

要は市としてどのように取り組んでいくのか。様々研究が必要ということですが、自転車活用の可能性について、ぜひ広い検討を期待します。

(6)交通事故対策

答弁では、危険と思われる交差点洗い出し、整備、自治会申請の交通安全施設ということでしたが、これらは当初予算時点で場所も確定していたのでしょうか。それとも今年度調査や募集して対応でしたら、例えば事故発生件数であるとか、どのような基準でどこを指定しているのか、お伺いします。

【答弁概要】

今年度実施しました市内における交差点の危険箇所に関しては、リストアップした中から優先順位を精査し、現計予算との調整を図りながら順次、取り組む。

 

順次実施ということで、ぜひ、痛ましい事故が起きないよう、安心安全にむけて、一層の対策をお願いいたします。