早いもので、我々の任期も今年度で満了となり、来年は市議、市長とも改選があります。
4年前の選挙の際お訴えしました、政策をしっかりご提案していくという姿勢を貫くべく、自分なりには最大限尽くしてまいりましたが、市長もまた掲げた公約を実現すべく市政運営をされてこられました。
今回は、1番目に市長公約である道の駅について、2番目は新井市政が大幅な進捗を図ってきました道路関係など、都市基盤の整備に関連して、立地適正化計画について。これは多くの議員が取り上げてこられた内容でもありますが、あらためまして、公約の道の駅同様、新井市政の目指すまちづくりという視点でうかがいます。
そして最後3番目は、指定管理について。指定管理は現在、広い分野で制度が導入されていますが、今回の質問では、市民の方にいただいた陳情から課題を考えます。
具体的には、市民体育館の雨漏りや岩沢グランドの水溜まりといった、スポーツ施設において、利用する市民に不便が生じている事例から、これまで様々ご提案してきました民間活用、老朽化が著しい公共施設の今後について、市の考えをうかがいます。
1道の駅について
民間集客施設との相乗効果
市長公約である道の駅ですが、残念なことに、一般質問でやりますよーとご案内したところ、市長公約であることも、既に精明地区で検討が進められていることも、ご存知ない方が多数いらっしゃいました。現在の市民認知度としては「ほんとにできるの?」というところというのが肌感覚です。
道の駅は、全国で1200を超え、埼玉県内でも北部と西部を中心に20ほどあります。
飯能市も国のシンポジウムに参加して情報収集しており、市が取りまとめている資料において、県内近隣の施設からは設置間隔も目安の基準を満たし、交通量も同じく基準を満たし、既存の農業事業者のうち、6割は出荷ニーズ有とのことでした。
直近の埼玉県内の整備検討自治体は、10市町ほどあるそうで、こちらも近隣にはないようですので、飯能で道の駅をつくる条件は満たしているということです。
経済建設委員会では、新潟県阿賀野市の道の駅あがのに視察に行き、現状をお伺いし、理解を深めました。
また全国の事例を収集したところ、来場客数や売上額の増加、多彩なイベントの実施などが成功事例としてありました。
2023年オープンの茨城県「道の駅常総」は、オープン半年で当初、年間目標とした来場者100万人を達成。家族連れなど県外来場者を含め観光スポットとなり、道の駅を起点とした観光振興を図るそうです。
立地場所は、農業の6次産業化を進める産業団地の一角にあり、県産の農産物や加工食品を多く取り扱い、来場者は毎月約13-21万人と、道の駅自体を目的地とした滞在型観光施設となっているようです。
地元産品を生かしたオリジナル商品、圏央道インターチェンジに隣接したアクセスの良さに加え、来場者によるSNSでのロコミや新間、テレビなどへのメディア露出の多さが安定した集客に効果をあげているようです。
さらに、民間集客施設との相乗効果として、大規模なイチゴ農園、カフェなどのテナントが入る大型書店、敷地面積約2万平方メートルの温浴施設、今後の都市公園建設など、民間活力と自治体の連携の重要さがうかがえます。
市長公約である道の駅の実現に向けては、早期に詳細な計画を備えるといった、具体化が必要です。
道の駅単体での地域振興は当然として、どれだけ継続的に目立ち、より魅力を高めるかが、集客の継続には重要です。
道の駅の設置に関して、道の駅登録はいつごろか、集客は何万人を目指すのか、近隣民間施設との連携は進めるのか、近隣での開発は促進するのか、こうした具体化がなければ、市民に理解されないと考えます。
市の計画と進捗状況をお伺いします。
【答弁概要】
道の駅の整備は、市長の公約であるとともに、第5次飯能市総合振興計画後期基本計画における重点施策として位置付けており、「精明地区の活性化策」として、農業振興や観光振興など、精明地区をベースに飯能市全体の活性化や地方創生を図ることを目的として整理している。
道の駅の機能は、24時間、利用者が無料で利用できる「休憩機能」、地域の道路情報、地域の観光情報、緊急医療情報等などの情報を提供する「情報発信機能」、そして観光レクリエーション施設などの地域振興施設といった「地域連携機能」が求められ、また、防災機能、地域活性化の拠点といった新たな役割が期待されている。
道の駅単体の魅力だけではなく、地域における様々な施設や資源との連携が重要であると考えており、具体的な内容等は、今後実施する調査をはじめ、専門家の知見等を踏まえ検討を深めていく。
販売事業者の確保
周辺地域との連携が重要とのことですが、具体的にはまだこれから検討ということでした。農業振興や観光振興の他、地域の活性化を目的としているとのことで、やはりコンテンツが重要となります。
第一には販売が挙げられます。まず売り上げがなければ、人のあまり来ない施設となりますので、これは避けるべき対策が必要です。
2023年に開業した、福井県あわら市の道の駅蓮如(れんにょ)の里あわらでは、小規模ながら初年度の売上額が約1億9千万円と当初目標の2倍超だったそうです。
生産者の間では当初、立地環境への不安があったそうですが、イベントを重ね知名度が上がり、来場者が増えたことで出荷事業者が増え、初年度の来場者は目標の36万人を上回る約41万人、出荷する野菜や果物生産者数も当初の53人から倍の106人に増えたことで品ぞろえが充実したそうです。
飯能でも、市内農業事業者のうち、6割までは関心を持っていただいていることから、できるだけ多くの事業者を確保するとともに、県産品の物販、売れる限定商品などが、販売事業者の確保として必要です。
赤字から脱却できた事例をみると、オリジナルソフトクリーム、地ビール、チーズなど独自コンテンツが起爆剤となっています。視察した道の駅あがのでも、ブランド枝豆や米所ならではのお米と地場産野菜の「にぎりまんま定食」や工芸品の三角だるまなど、買いたくなる地域特産品がたくさんあって、実際、私も含めみんなで沢山買い物をしました。
市では、民設民営による道の駅としていますので、民間の本領を発揮してもらうには、広報やマーケティングによる集客力を備えた民営事業者に参画していただくことが重要です。
第三セクターや行政関連団体といった、経営力に課題があると言われがちな形態ではなく、民設民営とすることは、評価されると考えています。
販売事業者の確保にむけて、市はどのように支援をしていくのでしょうか、お伺いします。
【答弁概要】
本市では、道の駅の施設の建設・運営をPPP・PFI等を活用した民設民営を基本に考えている。
その中には、農産物の直売所機能など、農業事業者等の市内事業者との連携についても検討していく必要がある。
農林産物は、年間を通じて販売する産品があるか、提供する体制が整っているかなども含め、調整していく必要があり、そのためには、早い段階で事業者等を巻き込み、情報を共有するとともに、参入意向等を確認していくことが必要だと考える。
機運を高めて、巻き込んでいくというのは、本気でやるべきところです。
阿賀野市はバイパス隣接で立地条件がいいということはありますが、開設までには市長選の争点となったり、指定管理者制度での運営ですが、指定管理料は0円、市内商工会関係者が中心となって、設立した会社で、地元の企業や農家が協力して、実現しようという熱意があっての開設だったそうで、道の駅の駅長を一般公募して、選ばれた女性駅長はインスタなど発信も上手いです。
やはり早期に具体的なプランを示して、熱意ある事業者に手をあげていただけるよう、本気度を示していただきたいと思います。
機運醸成と同時進行で、道の駅ですから、道が前提です。
交通アクセスの改善
検討が進められている精明地区は狭山日高インターから5キロ程度とアクセス面での良さが市の資料に書かれていますが、これは条件付きのものです。
インターから5キロ圏内、実際の距離と車での移動時間、他の施設に関連した渋滞、信号の右左折渋滞、信号のない横断歩道の安全対策など、地域に不慣れなドライバーが安全かつ安心して来られる道づくりが必要です。
現状の道路のままで開設した場合、地域住民から車での移動が渋滞で不便になった、歩行者自転車の移動が危険といった声が出ることが懸念されます。
年間集客数を設定し、想定される通行量について、警察との協議、補助金を用いた道路改修など、検討が必要です。市の考えと検討状況をお伺いします。
【答弁概要】
道の駅の設置に伴い、恒常的な道路渋滞、交通渋滞を引き起こすことはあってはならない。道路の幅員や施設敷地内に容易に進入できる方法を確保するとともに、道路に滞留しないようせず敷地内での駐車待ちの動線を確保する工夫も必要であり、道路管理者、警察との協議なども行っていく必要がある。
今後、庁内合意を得た後、地権者への説明を開始し、全ての地権者から整備に係る承諾が得られた際は、当該候補地について改めて議会に報告するとともに、順次、関係機関との協議を進めていく。
地権者の承諾を得てからということですが、関係機関と協議するということでした。
都市近郊の住宅地近隣に立地する道の駅となりますので、都市近郊型の事例を見ていきます。
都市近郊でのあり方
都市近郊型の道の駅として、「道の駅さかい(茨城県境町)」、「道の駅しょうなん(千葉県柏市)」、「道の駅いちかわ(千葉県市川市) 」、「道の駅八王子滝山(東京都八王子市)」などがあげられます。
リサーチワークス社の研究資料によると、この在り方は、観光施設であるが、結果的には地元のデイリーユースの受け皿となり、地元や都市部からリピーターを集客して安定的に成長するという形です。
リピーターを意識した商品・店舗構成になっており、土産物以外に、有機野菜や付加価値の高い加工品など県内の特産品を販売したり、従来の近の駅と比較して多彩な食が集まっているそうです。
結果的にパランスがとれ、やや広範囲の商圏からの月間性利用も吸収、都市生活者の日常的な利用を意識した、食に特化した商業施設といった側面があるようです。
ブランドカのある食の商業施設として道の駅を捉え、地域の農業や商業と共生し、地域全体で集客を底上げする、都市近郊型の施設が成果を上げています。
精明地区ではどのように検討を進めるのでしょうか、お伺いします。
【答弁概要】
精明地区の活性化策として、農業振興や観光振興など、精明地区をベースに飯能市全体の活性化や地方創生を図ることを目的として整理しており、先ずは農業事業者や飲食サービス事業者等との意見交換、目的の共有が必要であると考える。
地域の方々にも日常的に使っていただく、日々の買い物なども行っていただくことも重要と考えており、多角的に検討してまいりたい。
様々検討はこれからという現状ですが、事業費用もかかるものですので、財源について考えます。
国や県の支援
道の駅には、様々な補助制度が存在します。国土交通省だけではなく、国土交通省作成の令和6年度版各省庁の「道の駅」支援メニューによると、その他に内閣府、こども家庭庁、総務省、農林水産省、経済産業省、環境省がそれぞれ補助制度を設けており、埼玉県もふるさと創造資金制度を設けています。
使途は、子育てや交流、体験、生産加工、防災など各施設のほか、Wi-Fi、都市公園、再生可能エネルギー設備、水素ステーション、EV充電設備、カーボンニュートラル、木造建築物の建築など、実に多岐にわたっています。
また、調査・設計・計画策定時についても、デジタル田園都市国家構想交付金が補助対象となります。
現在進行中の道の駅おがわまちの再整備でも、国土交通省、農林水産省、内閣府、経済産業省、環境省、埼玉県、その他に観光庁のインバウンド受入環境整備高度化事業を活用しています。
市の財政負担を最小限にするために、調査・設計・計画策定時、設置時それぞれ使える補助金、交付金、支援事業の活用を踏まえた計画や仕様といった準備が必要です。
新井市政では積極的な活用で成果を出してきた分野ですが、道の駅においては今後どのように支援を獲得していかれるのでしょうか、お伺いします。
【答弁概要】
議員お質しのとおり、国では、道の駅に関する様々な観点での支援メニューがあり、例えば、デジタル田園都市国家構想交付金での地方創生推進交付金、地方創生拠点整備交付金や、道路整備としての社会資本整備総合交付金などがある。
国や県、道の駅を検討している他の自治体等からの情報収集、情報共有などを積極的に行い、本市の目指す道の駅にあった支援メニューを可能な限り活用できるよう取り組む。
また、国のPFI事業の実施に関する基本方針において、「財政上の支援については、本来公共施設等の管理者等が受けることのできる支援の範囲内で、民間の選定事業者が受けられるように配慮すること」とされている。
従来の公共事業と同様にPFI事業においても選定事業者に補助金を交付されることも見込まれることから、制度を所管する各省庁に確認しながら検討を進める。
支援メニューの活用については、積極的に行うとのことで、財源についても検討されるとのことでした。
失敗事例からの持続可能性とリスク対策
最後は、懸念点について考えます。
失敗事例を調べると、集客力が減退し、主には赤字額の拡大による経営悪化や事業撤退があります。
運営する第三セクターや振興公社の赤字が続く事例は多く、自治体計画の売り上げ未達、老朽化による修繕費、ニーズに合わせた改修や修理も投資に見合わない等により、運営事業者撤退や指定管理契約打ち切りの事例もありました。
運営主体の第三セクターが赤字を解消できず解散に追い込まれ、後に売店が再開された例もあります。
こうした事例には、第三セクターの役員が全て非常勤で責任の所在が曖昧であり、施設が売上げ対比で過大となり維持管理がかさんでいたという特徴があります。
期待して税金を投入し設置された道の駅が、苦しい状況に置かれてしまう事例も散見される中、どのように地域活性化を果たしつつ、持続可能な施設として存続させていくか。
市が民設民営を基本とすることは、この観点からも評価されると考えますが、事例をふまえ、経営面で持続可能性をどう担保されるのか、またリスク面の対策についてお伺いします。
【答弁概要】
議員お質しのとおり、失敗を引き起こす要因の一つとして、運営主体やその構成者等が、主体的に事業に取り組まないことで、運営管理の責任の所在が不明となることが挙げられる。
一般社団法人道の駅経営パートナーズからの助言にもあったが、今後、運営会社の選定が非常に重要であり、計画段階から関心の高い事業者を選定し取り組むことが、持続可能な道の駅の第一歩、リスク面の対策につながるものと考える。
道の駅については、全体として様々課題があり、これから検討というご答弁でした。
市長の任期も4年目です。現状では、道の駅について、事業者や市民に市長公約であって絶対に実現するんだという熱意が伝わっていないように感じますが、市長は絶対に実現しますよ、一緒にやりましょうという強い思いがおありなのでしょうか。
久下六道線のように、絶対やりますという市長ご自身の言葉を聞いたことがないので、お聞きしたいのですが、市長の道の駅実現に向けての思いはいかがなのでしょうか。
【新井市長答弁】
道の駅については、土地所有者の皆様のご理解、農業事業者等の皆様のご協力、各種規制など解決していかなければならない事項がございます。
しかし、本道の駅の整備は、精明地区の活性化に資するものであると確信しております。
道の駅の整備が実現できるよう、目指してまいります。
ハード面の整備は、新井市政が最も実現されてきたところですので、今後も注視してまいりたいと思います。
地域活性化に必要な都市基盤整備について、続いてうかがいます。
2立地適正化計画について
飯能市での検討状況
市では立地適正化計画を令和 6 年度~7 年度で策定するとして、現在取り組んでいます。
国土交通省が開示している、立地適正化計画の作成状況によると、令和6年3月31日時点で埼玉県では27の市町村が作成を完了しています。
立地適正化計画に係る予算・金融上の措置は、様々な内容に応じて、1/2、1/3、45%など、国の支援があります。
市内での都市機能の維持強化に際して、具体的に都市構造再編集中支援事業、市街地再開発事業、住宅市街地総合整備事業、バリアフリー環境整備促進事業など、活用を念頭に立地適正化計画を定めている事例も参考となります。
都市基盤の整備には大きな費用を要しますので、計画作成による支援の活用は大いに推進すべきところと考えます。
しかしながら、計画による効果が第一であり、単にコンパクトシティというと効果がわかりづらい、イメージが曖昧になりがちですので、具体的な事業を念頭に計画を検討することで、計画が具体化しやすいと考えます。
例えば近隣、日高市では、居住誘導区域と誘導する施設(医療・福祉・商業等の都市機能施設)に関する都市機能誘導区域を定め、コンパクトなまちづくりの形成を促進させ、生活サービス機能を計画的に誘導するために、20年後の都市像を展望し策定したとしています。
飯能市では立地適正化計画について、決して早い着手ではありません。
ここで策定する必要性や危機感を訴え、市の理解を得てまちづくりへの参画をいただくためにも、市内都市機能を強化が、市の持続可能性を高めるために必要であると示すことが大切と考えます。
市では立地適正化計画の策定にあたって、どのような都市像を目指しどんな効果を期待しているのか、市民にとってどんな効果があるのか、あらためてお伺いします。
【答弁概要】
本市は、全国の地方都市同様、将来的な人口減少が予測されている。市街地が拡散されたまま人口が減少した場合、人口密度の低下によって現在受けることができる生活サービスの提供が困難になることが予測される。
例えば、病院やスーパーマーケットなどの生活サービス、路線バスや鉄道などの公共交通機関は多くの人々に利用されることにより経営が成り立っていることから、人口減少により利用者が減少すると経営が成り立たなくなり、結果として生活の利便性が低下に繋がることが懸念される。そのような状況の中、これからも住み続けられる持続可能なまちづくりを目指すため、「立地適正化計画」を策定することとした。
立地適正化計画において定める目指すべき都市像は、現在策定作業中である第6次飯能市総合振興計画で定める将来都市像などを踏まえながら、コンパクト・プラス・ネットワークの考え方のもと、中心市街地を中心としたエリアにある程度の都市機能を誘導し集約することで、活性化を図るとともに、公共交通ネットワークで山間部などの郊外の拠点と結びつける形で市全体の住みやすさを維持することが重要。
また、昨年度策定した「飯能まちなか未来ビジョン」では、車中心から人中心のウオーカブルなまちなかや賑わいの創出などを目指して取組を始めたところで、こういったビジョンの方向性を踏まえて策定することも重要。
立地適正化計画を作成・公表した上で、都市再生整備計画を作成・公表すると、「都市構造再編集中支援事業」という国の支援を受けることができ、国費率は、都市機能誘導区域等は2分の1、居住誘導区域等は45%、飯能まちなか未来ビジョンで定めたアクションプランや、土地区画整理事業などのハード・ソフト事業が大きく進むという効果がある。
さらに、市内の公共交通ネットワークの維持・確保を目指した地域公共交通計画と連携することにより、山間地域等も含めた市全体の住みやすさを維持し、持続可能なまちづくりを進める効果があると考える。
市域の広い飯能市で、コンパクトに機能を集約化するというのは、理解されにくいところかと思いますので、しっかりと目指す都市像を示していくことが重要ポイントと思います。その上で、計画策定によって得られる国の支援を最大限活用してまちづくりを進める。
人口減少にあっては、やはり集約によって活性化をさせる、ネットワークで山間部や郊外と繋ぐ、地域公共交通と連携する、このあたりのキーワードを念頭に続けておうかがいします。
評価される地域事例
立地適正計画制度については、導入から10年が経過したものの、評価指標がなく、効果は見えにくい、十分な成果は上がっていないなどとされている面もあります。
都市のコンパクト化を進めてきた富山県富山市は、都市のコンパクト化の成功例として紹介されますが、同規模の動きを取れる自治体は少ないです。
立地適正化計画の成果が上がり始めている自治体を調べると、目的や効果は地域課題により様々です。
石川県金沢市は、事業の支援制度活用型。
居住誘導区域に住宅購入や建設をすると最大200万円の奨励金を出し、2024年3月までに410戸が利用し、1/3は市外からの移住だったそうです。
青森県むつ市は規制型。
居住誘導区域外での3戸以上の住宅開発を制限する、居住調整区域を定め、居住誘導区域内の人口割合が高まったそうです。
居住誘導区域の人口割合を上昇させる目的では、駅周辺を歩きやすくした兵庫県姫路市や、医療施設を区域内に誘導する福岡家飯塚市も上昇しています。
県内では毛呂山町で、空き家率や地価上昇率の目標値を設定しており、空き家対策とリンクさせ、地価上昇で固定資産税の税収維持を図るとしています。
空き家率が高く、ゴーストタウン化や財政状況の悪化が懸念される中、地価対策は理にかなっていたそうで、成果として、令和4年度決算の固定資産税のうち現年度分は、令和3年度よりも5000万円ほど増えたそうです。
先の国の支援を利用するだけでなく、計画を策定する以上は、その成果を出しメリットを市民に実感してもらうことで政策の推進力とし、継続して居住誘導区域を活用していくことが重要です。
市では居住誘導の具体化に向けて区域の位置は検討中としても、どのような制度となるかを早期に示した上で、市民から意見を得るべきではないでしょうか、ご所見をお伺いします。
【答弁概要】
立地適正化計画は、都市計画区域内の市街化区域内に、人口減少の中にあっても一定エリアにおいて人口密度を維持することにより、安全で暮らしやすい場所に居住を誘導する「居住誘導区域」を設定する。
この居住誘導区域は、まだ計画策定作業中で、都市計画区域の市街化区域内に形成することになる。ただし、工場系用途が集積している地域や災害の危険性がある地域などの居住を誘導するのが難しい地域は除くなどの線引きをすることになると想定。
また、居住誘導区域への誘導を図るため、立地適正化計画は「誘導施策」として、財政上、金融上、税制上の支援措置等を記載できるものとされている。支援措置は、国の支援を受けて市町村が行うもの、市町村が独自に実施するものがあり、また、都市再生特別措置法に基づき活用が可能になる制度もある。
全国には先行して様々な取組事例があり、その目的や効果は、自治体の特性や課題により異なる。本市でも今後、立地適正化計画の詳細な内容を検討する中で、全国の先行事例について研究をした上で、本市の特性や課題に適した誘導施策について検討してまいりたい。
立地適正化計画を策定した際の利点などを出来うる限りお示ししながら、市民等からのご意見を頂戴して計画を策定してまいりたい。
飯能市は広いだけでなく、地域の特性が豊かで、それ自体が魅力であり地域の資源ですから、都市計画だけでなく、市の未来像全体への連携が大きなウエイトを占めるところと思います。
中でも、キーワードとなる公共交通についてうかがいます。
公共交通網の維持
成功事例として出される富山市は、利便性をさらに高めるためにLRTの停留所やバス停などの周辺にコンビニやカフェなどの立地を促す補助制度を出しており、これらの500メートル以内に引っ越してきた人には補助金が出ています。成果は、2003年にビジョンを発表した当初は、区域内に28%だったものが既に40%に達しています。
北九州市は専門家の意見を参考に空き家率やバス停までの距離、道路の幅なども加味して、300ヘクタールほどが市街化区域から外れたそうです。
公共交通の利便性の向上と連動させることで、長く住める住環境を得るためですが、外すには相当の苦労もあったと記載されていました。
路線単位の採算性だけで議論をしていくと、全国の地方交通のほとんどがなくなってしまうという研究もある中、交通利便性の高い地域への居住誘導するため、バス路線を核に居住誘導区域を定めてバス利用者を継続的に確保することは、路線維持に効果があると考えます。
岐阜市では、バスを公共交通の中心に据え,バスの利便性の低さを改善するため、幹線・支線バスとコミュニテイパスを有機的に連携したバスネットワークの構築、地域公共交通網形成計画と立地適正化計画の連携が、立地適正化の核として機能しています。
空き家率やバス停までの距離、道路の幅等での検討があれば、バス事業者も利用の見込みが立てやすく、路線の維持にもつながり、居住誘導区域の設置も効果があるといえます。
バス路線網と居住地域の点について、市はどのように考えていくのか、ご所見をお伺いします。
【答弁概要】
バス路線網と居住地域の点について、本市では、現行の第2次飯能市地域公共交通計画において「1時間に1本以上運行している路線のバス停から300m、鉄道駅から800mに含まれる範囲」のことを「公共交通利便地域」と定義し、当該地域内の人口が全人口に占める割合を当計画の目標指標に定めている。具体的な目標値は、令和4年度の65.2%を基準値とし、評価年度の令和9年度時点で「現状維持」すること。
先進自治体においても、交通利便性の高い地域へ居住誘導を図る事例や、路線バスをはじめとした公共交通ネットワークの構築と居住誘導区域の設定が連携している事例が見られ、これらは沿線の人口減少が進む路線の維持確保に効果があるものと考える。
地域公共交通の維持確保の観点から、公共交通利便地域に関する目標指標の達成に向けて、バス路線や鉄道路線が一定以上の運行水準を確保できるよう地域・交通事業者・市が一体となって取り組んでいくとともに、バス路線の最適化についても視野に入れながら、持続可能な運行ができるよう目指していきたい。
また、立地適正化計画において定める居住誘導区域の検討も、立地適正化計画と地域公共交通計画は、まちづくりにおける「車の両輪」の関係にあり、両計画が連携するよう検討を進めてまいりたい。
車の両輪ということで、発車できないということがないよう、公共交通との連携については引き続き進めていただきながら、立地適正化計画策定する以上は効果を期待しております。得られる国の支援等で、事業進捗が図られることも注目します。
さて、道の駅や都市基盤の整備は、大きな財政支出を伴うものです。以前より老朽化する公共施設についても、現状の財政状況から今後どう維持管理していくのか、ここはPPP/PFIを含め直ちに民間の活力をと提案してまいりました。
ご答弁の中に、市としては指定管理者制度も民間活用の一つと考えているとありましたので、続いてうかがいます。
3指定管理者について
冒頭申し上げました通り、指定管理制度は多岐に渡りますので、市民からいただいたお声より飯能市都市公園運動施設関連の指定管理を事例におうかがいしてまいります。
直営、委託、指定管理
まずは市民体育館の雨漏りについて、何年も前から利用者が悩まされていて、訴えても改善されないという陳情をいただきました。
雨漏りは、どこからなのか、原因の特定が難しいですし、修繕も大規模で費用も多額になることが多いので、対応が難しいのは確かです。
さらに、市内の公共施設あちこちで雨漏りがあることは議会でも毎度指摘されますし、現在審議中の補正予算案でも学校関係の工事請負費はやっぱり空調と雨漏り。
この空調・雨漏り・トイレの使用不能、日本三大駅伝や三大曳山祭りじゃないですけど、飯能三大困る陳情という状況で、頻発している。
でも考えて下さい。
命の危険があるほどの異常気象のなかで、空調がないとか壊れている。
生理現象のトイレがつかえない。
体育館はその中では緊急性が低いように言われましたが、インドアスポーツなのに雨が降ったら使えない、それも行ってみてバケツが置いてあったら、雨漏ってる、残念、雨漏りしてないコートはラッキーです、でどうやって運動習慣で健康推進、健康寿命を延ばして介護保険を抑制しようとか、子育て世代に選ばれる移住定住を推進しようと言えるのかとならないでしょうか。
こうしたことを担当課へしつこくうるさくお願いに上がりました。
結果を申し上げますと、担当課職員さん、特に課長が本当に真摯にご対応下さいまして、指定管理者で雨漏りの要因と思われる錆や亀裂、ネジのゆるみなどの箇所を緊急修繕していただけることになりました。
利用者の方々も、一歩前進と大変喜ばれていまして、この件に関してはしつこくお願いした私も、大変感謝しております。
しかし一連の対応から、指定管理者制度に問題がないのか、疑問も生じました。
8月上旬に陳情を受け、担当課に問い合わせたところ、雨漏りがあることは、指定管理者から報告が上がっているが、それについて市からの対応は行っていない。
そこで8月21日、雨漏りの箇所を調査するため、指定管理者に対し、天気と雨漏りの状況をカレンダーに記入し、スポーツ課と共有する。シルバー人材センターが担当する夜間等の受付の方へ研修を行い、対応や情報共有について統一、徹底する、等の対応を市から指示した。
23日 スポーツ課が建設会社へ雨漏り調査の相談をし、27日スポーツ課、指定管理者、建設会社の三者で打合せ。
30日 同じく三者で、雨漏り箇所を目視で確認、雨漏り調査の見積を依頼する。
9月7日 雨漏り調査見積書が届き、スポーツ課から、早急に調査を実施していただくよう指定管理者に指示。
10月21日 雨漏りの調査実施
30日 指定管理者により緊急修繕を行うと決定。日程は現在も調整中。
本来、こうした不具合について、施設の管理・運営は指定管理者が行っている以上、指定管理者が第一に把握するべきで、再委託先のシルバーさん含め、利用者からの苦情等について、情報をあげるべきです。
指定管理者が不具合を認識しながら、対応することなく長く市民に不便が生じていたのは問題ではないのでしょうか。
市としては市税が投入されていながら、使用できない状況が発生していたことは、適切に指定管理ができていなかったということにならないか、どのようにお考えでしょうか。
【答弁概要】
公共施設の管理運営において指定管理者制度を導入していく主な目的は、公共施設の効率性とサービス品質の向上を図ることである。
サービスの向上は、何よりも利用者目線に立ち管理運営をしていくことがその第一歩になる。
管理する施設において指定管理者はニーズや苦情等も含め、施設管理にあたっての情報を利用者から吸い上げ、それらの情報を担当部局と共有していくことが求められる。
一方で、施設修繕のように、仕様書により市と指定管理者の役割分担、責任の範囲が、金額によって変わってくるものもある。
仕様書により指定管理者が修繕すると定められた事項について、修繕が実施されず、適切な管理できていないことになりえる。ケースを確認するとともに、修繕等の優先度も考慮した判断になると考える。
仕様書により役割分担や責務の所在が変わるとのことですが、市が指定管理者に指示して対応していた事例を見る限りでは、指定管理ではなく単なる委託です。
むしろ、長年放置された不具合に関する今回の対応は、実情として市の直営ともいえます。
再委託先の施設受付者も含め、指定管理者は、市民からの情報を得て、適切に指定管理できる体制といえるのかどうか、市の見解はいかがでしょうか。
【答弁概要】
利用者目線による管理運営にあたっては、利用者等からの情報の中には、改善につながる有益なものも多く含まれているものと考える。
利用者等からの情報等の対応体制を組むとともに、その体制を機能させていくことが重要。
そして市、指定管理者との緊密な情報共有、連携体制を整えることが、指定管理における重要なポイントである。
指定管理者に指定し公金も入る以上、市としてもケースごとに介入するのは難しいところもあると思います。引続き、連携体制の充実をお願いします。
グラウンドの水たまり
更に、適正な管理について考えてみます。
飯能市都市公園運動施設の岩沢多目的グラウンドについても、雨が降るたび同じ個所に水たまりが出来て、使用に支障があると陳情がありました。
こちらも陳情を受けたのが6月10日で、とにかく毎回同じ場所だから見て欲しいとのことで、担当課の職員さんにすぐ来てくださいとお願いしまして、水溜まりの現場を確認していただきました。
6月下旬に指定管理者で、トンボで水溜まりを排除した。
9月上旬にグラウンドゴルフ大会があるので、大会前に除草と整地の計画を立て、10月4日水溜まり箇所への砂埋め整地がやっと完了。
こちらも整備をしていただきましたので、この件についてもご対応に感謝しております。
ただ、指定管理者による適正な管理の考え方として、大会の開催も施設の重要な目的の一つではありますが、組織団体の主催する大会等がない時であっても、日々、楽しみにグラウンドを利用して運動をされている市民のみなさんが、困っていないのか、不便が生じていないのか、日常的に目を配り、整備をしてこそ、適切な管理と言えると思います。
かつての議会答弁で、市では指定管理者制度も民間活用の一つと考えているとのことでした。
民間の力を発揮いただき、市民のスポーツ環境をよりよくしていく。そのために指定管理者に対し、市は税金を投入しています。公金が入る以上、適切な管理とは何か、誰を見てどんな基準を求めていくのか、ここは市にも責務があると考えますが、市ではどのように考えておられるのでしょうか。
【答弁概要】
公共施設の管理運営にあたっては、まずは、利用者目線に立った運営を行っていくことが重要。
さらに、指定管理者と市は適切な役割分担の中で施設管理に対して連絡調整なども含め、緊密な連携を図っていくことが不可欠。
施設の管理運営については、指定管理者への適切な指導、またお互いが役割分担の中で責務を着実に実施することが重要であり、そういった積み重ねが適切な管理運営につながっていく。
適切な指定管理については、評価が実施されています。
評価の見直し、指定管理料の一部返還や行政指導
令和5年度指定管理者事業評価シートによると、市民体育館やグラウンドをふくむ飯能市都市公園運動施設について、基礎的な業務、利用者サービスに関する業務いずれもA評価です。
評価の大部分がSやA評価で、非公募での更新がほとんどなのですが、それでも、不具合が放置されていた事例について考えると、業務仕様書で定められている業務内容は、誠実に履行されていないのではないか、必要な修繕の実施や市との情報共有がなされていなければ、施設の管理に重点を置いていないのではという指摘にあたります。
では令和6年度の評価はどうなるのか。
公金が入る以上、各施設の状況は、それぞれの評価に反映させるべきであり、評価や公募による民間の競争、参入を妨げない、最大限に税金が活かされ、民間活力を発揮いただけるよう、お互いに厳しくあるべきと考えます。
全国的に事例を集めてみたところ、施設に利用制限を生じた日数分は、指定管理料を減額するといった事例もあります。また、2018-2021年に公の施設の指定管理者制度における指定の取消しは、827件あります。
行政指導や指定取り消しなどの事例は多く、市としての責任もあります。
令和5年度指定管理者事業評価シートにおいて、今後における業務改善の方向性を指摘しています。市への情報提供を密に行うことで、施設や利用者の状況の情報共有に努め、施設の安全性を確保するため、保守点検や修繕等を計画的に実施、年間の修繕計画を策定し実施する、利用者のニーズを的確に捉え、利用者の立場に立ったサービスの向上に努める、以上について履行されたのかどうか、履行期限はいつなのか、市としての対応をおうかがいします。
【答弁概要】
本市では、指定管理者制度の適正かつ効率的、効果的な運用を図るため、指定管理者制度を導入した施設について、指定管理者による管理・運営の状況、実績などを適切に評価し、その結果を施設の管理運営に的確に反映させていくことを目的として、「指定管理者制度事業評価」を実施している。
指定管理者の事業の評価は、毎年度、「基礎的な業務」、「利用者サービスに関する業務」、「収支状況」の3つの評価の観点で、3段階の評価を実施。
事業評価は、事業報告書等の客観的な指標などを参考にしながら、現地調査を実施し、管理運営状況を正確に把握した上で、事業評価シートを作成し、成果の検証を行っている。
評価は、事業者に共有するとともに、今後における業務改善の方向性などについても共有。
担当部署と事業者では、改善点の方向性を実現していくため、緊密な打合せをしながら進めている。
4)今後の在り方
雨漏りやトイレの使用不能といった不具合は、公共施設の老朽化から、既に頻発している課題です。
公共施設の管理運営において、民間力を活用していくことの重要性、またその可能性については、様々提案してまいりました。
市として指定管理者制度を民間活用の一つと位置付け、今後も運営していくにあたり、どんな施設運営を期待し、何を求めるのか。
今議会で審議中のノーラ名栗の指定管理者の指定についても、委員会の質疑答弁で、やはり市長の市政運営方針で、選定基準や評価も変わってくるなと感じます。
民間活用としての指定管理者との関係、責任の所在、評価の在り方、公募非公募の考え方など、今後どのように民間の力を発揮いただいて、市民サービスを向上させていくのか、市のお考えをお聞かせください。
【答弁概要】
指定管理者の更新にあたっては、その都度、更新方針を協議し、決定。
指定管理者の選定は、原則公募することで競争原理が働き、コストの削減等が期待されます。一方で、施策目的や施設の性格によっては、既存の団体に特命指定することが適当なものがあること、無理に 公募することで、施設利用者に大きな影響を与える可能性がある場合もある。
評価方法なども継続的に検討、必要があれば改善していく必要がある。
指定管理制度の目的の一つである、市民サービスの向上に向け、常に最善の方法を考え、取り組んでまいりたい。
道の駅は民設民営、運営主体やその構成者等が、主体的に事業に取り組まないことで、運営管理の責任の所在が不明となることのないように、意欲ある事業者を選定したいというご答弁がありました。
意欲ある民間の力を発揮いただくためには、行政は黒子に徹して、民間がやりたいことをやれるように、障壁や課題があれば、どうすればクリア出来るか最大限サポートする。
民設民営も指定管理も、その活力を活かしていただけるよう、市としての連携や役割分担が重要ですので、市民サービス向上のため、市と市民の皆さんの希望ある未来のために、引き続きご尽力頂きたく思います。