毎年8月になると児童扶養手当の現況届を呼びかけながら、国は動かせないので出来ることから自分の自治体でもやりたい

8月は児童扶養手当の現況届を提出する時期です。
毎年、この時期になると
お忘れなく提出してくださいね~と呼びかけていますが。

同時に、毎年
同じ内容に、自分の無力さを情けなく思います。

児童扶養手当でこの国の子どもを守れるか

まず、この児童扶養手当は
ひとり親家庭を支援するために支給される手当(お金)です。

ひとり親になった手続きと同時に
児童扶養手当の手続きもされる方がほとんどですが

毎年、その現況届を提出する必要があります。

提出しなければ、手当を受け取ることは出来ません。

これが、一時期は批判の対象となり

仕事をして家計を担うひとり親が仕事を休んで、わざわざ役所に行かなければならないとか
受給資格があるかどうかを厳しくチェックされるとか
それが、彼氏が同棲していないか、養ってくれてる異性がいないか聞かれるとか

色々言われた時期もあったのですが
最近では、そうした批判よりも、ひとり親家庭の子どもたちの権利や生活の支援に
関心が集まるようになったと感じます。

この現況届は、受給要件をチェックして
外れたら手当を打ち切り、不正受給を見逃さないためではなく

1年に1度、ひとり親と直接面談することで

本当に必要な人に必要な支援が届いているか
子どもが安全に健やかに生活できているか

など、なかなか忙しくて
行政との関わりを持ちづらいひとり親家庭についても

状況を把握し
情報共有し、相談の機会を持ち、情報提供することで

必要なSOSを見逃さないためのセーフティーネットとしての意味合いがあります。

休日や夜間の受付も拡充され
各自治体の職員さんは、とても努力されていると認識しています。

でも、それにしても。

ひとり親への国の支援があまりにもなさすぎる。

まだまだ誤解も多く
「母子家庭だと手当もらってるんでしょ?」
というようなことを言われることもありますが

児童扶養手当は、満額でも月4万円程度。
それも、親や同居の家族の所得によって
10円単位で1万円ほどにまで減額されます。

この金額は、本当に何十年も変わっていない。
数年前に、それまで4カ月に一度、まとめて振り込まれていた手当が
2か月に一度、隔月で振り込まれるようになって

それだけでも改善したというところ。

この国で、ひとり親が子どもを育て、教育をつけるのは
至難の業といえます。

それも、もらえるだけいいじゃないか!というお声もあるのですが
その所得制限が、これまた問題があるとしかいいようがない。

全部支給で、満額の4万円を受けられる所得の上限は
子ども1人の場合、87万円です。

年間ですよ?
年間、87万円までの所得であれば満額の月4万円が支給されますが

年間所得が87万円を超えると、10円単位で支給は減額され
年間で230万円を超えると、1円も支払われなくなります。

年間の所得が230万を超えて
支給停止中となると
そのほかの支援や優遇措置もまとめて受けられなくなります。

例えば、医療費を支援する、ひとり親家庭等医療費支給もなくなり
健康で仕事をして子どもの命を守らなければならないひとり親が病院に行く場合でも
年間230万円以上の所得あったら、一切の支援がなくなるわけです。

JRの通勤定期の割引や
資格を取ってキャリアアップして収入をあげようと講座などを受講するのにも
一切の支援がなくなります。

この所得制限の金額が問題ありすぎじゃないか、というのは
議論にはなるのですが

同じく数年前に30万ほど所得制限の額が上がっただけでも
大騒ぎなわけで

本当に、女性が離婚したら
もちろん、父子家庭も同じですが

例えば、女性が離婚したら
子どもを抱えて仕事をして、十分に生活し子どもを育て教育を受けさせるに不足ない収入を得るのは、厳しい環境であり

それで、実家に同居してたら同居の家族も所得も含まれて所得制限があり

満額でも4万円ほどなのに、その4万円の支給を受ける条件が
年間所得で87万円までと

国を頼ることもできない。

これでは、DVや虐待から身を守ることを躊躇する母親がいても
仕方がないと思うし

生活できないし、国の支援すら頼れないのだから
生活費をみてくれる異性に頼るしかないことも多々あると思う。

これで、本当に子どもの権利や幸せを守れるのかどうか。

離婚への偏見も女性の生き方や多様性も置いといていいから、子どもを守ろう

児童扶養手当は、法に基づき国で定められ
県の基準で各自治体が実施するので

私がいくら一般質問したところで
国の制度そのものを動かすことはできません。

しかし、昨今では
子どもの権利を守ろうとして

地方自治体で出来る支援策を、独自の予算や財源で実施する事例も増えてきました。

国の制度です
国に言って下さい

ではなく、一番、守られるべき子どもに近い
地方自治体で、出来ることからやっていくのは当然で

そうした動きも出てきました。

これについては、今後も
飯能市として可能なこと、出来ることは
やっていかなければ、行政の責任は果たせないんだという視点で

小さい1歩でもいいから、動かしていきたいと考えています。

ひとり親家庭への支援については
実際、この10年で大きく動きが出て議論が変わってきています。

もっとも、まだまだ
離婚は自己責任だという意見も多く

私自身ひとり親で、
死別か離別かを問われる場面って、意外に多いですし

近しい関係の人からも
親が裕福で支援を受けてるとか
慰謝料養育費がっぽりもらってるとか

やっぱり言われますし

議員になってからは、面と向かっては言われなくなりましたが
パトロンがいるとか
男がついてるとか

まだまだ偏見を感じる場面はたくさんあって

そんな考えで、何が女性の活躍だ多様性だ、とは感じますが
それらは、横に置いておいたとしても

子どもが育つために、安全に暮らすために、教育を受けるために
必要な支援が、そもそもこの国にないなんて

もう本気で変えていかなければなりません。

大人は何を言われてもいいですが
子どもの権利は、国全体で守っていかなければ
守れる命も守れないのです。