令和3年12月9日(木)
11:10~60分間
一般質問に登壇しました。
今回も多くの方が傍聴にお越しくださって満員御礼、感謝の気持ちでいっぱいです。
ありがとうございました。
皆さんからいただく感想があってがんばれます。
いつもほんとにバタバタしてしまい、ゆっくりお話しができず、写真も撮れなくて申し訳ありません。
今回取り上げたリカレント教育は、日本維新の会所属の高木 かおり参議院議員に情報交換していただいたことから政策課題として勉強してきた内容もうかがいました。
以下、全文と答弁の概要です。
1.選挙公営の見える化
(1) 自主的な公開
今年の春、飯能市議会議員選挙が行われました。選挙においては、選挙の準備資金によって当落に差が出ないよう、選挙運動費用の公費負担を行う制度があります。
飯能市のホームページの説明によると、「立候補した人の資産の多少にかかわらず、候補者間の選挙運動の機会均等をはかるようにするのが選挙運動費用の公費負担制度です。」とあります。
市議会議員及び市長選挙については、国政選挙の計算式を使って負担の限度額を条例で定めることで公費負担が行われています。しかしながら、報道では各自治体において、近年地方選挙で「水増し請求ではないか」「公費負担させたポスター代は過大だった」などとして、住民監査請求が次々と起きているとされます。市民の指摘によれば、税金の返還や辞職なども全国的に見られているとのことです。
飯能市では、こうした問題はあるのかないのかという市民からの指摘がありました。近年衆参の議員が金銭に絡んだ逮捕と有罪という事例もあり、市民からは公費負担以外の部分を含めて大変厳しい目が向けられています。
埼玉県や佐賀市や君津市など多くの自治体で、選挙運動費用収支報告書について、公職選挙法に基づき、その要旨をインターネット上に公表しており、市民の疑念を晴らしています。
質問です。
飯能市において、選挙運動費用収支報告書の要旨をインターネット上に公表してはいかがでしょうか、ご所見をお伺いします。
【答弁概要】
公表の方法は、市町村の選挙管理委員会にあっては、あらかじめ告示をもって定めた方法によって行うことと定められており、飯能市選挙管理委員会においては、収支報告書の要旨を飯能市役所前掲示場に告示することにより公表している。このようなことから、選挙管理委員会において慎重に判断する必要があると考えている。
市役所前掲示板に貼ってあるということでしたが、ネットで閲覧できたほうが市民にとっては便利な面があるのではないかと考えます。
もう1点うかがいます。
要旨にとどまらず、インターネット上に選挙運動費用の収支報告書を公表することも可能です。公表を禁ずる規定などは存在しないとのことでした。こうした手法も検討する必要があると考えますが、ご所見をお伺いします。
【答弁概要】
公職選挙法が、公表を要旨だけにとどめた理由は、当該報告書の内容が極めて複雑であるから、報告書の記載事項中大要をまとめて一定の形式のもとに公表する方がかえって国民の判断に供するにも便宜であると考えられたからであるので、選挙管理委員会しては、現段階では考えていない。
公職選挙法が定めた理由によるもの、とのことですが、収支報告書は情報公開請求をすれば、どなたでも見られる公開されているものです。
公開されているものを見える化する、情報公開について、できない規定がないのであれば、なぜやらないのか。情報公開はすべき、を前提に検討があってよいのではと考えます。
詳しくうかがいます。
(2) 印刷費の契約
選挙運動用ポスターの印刷費の契約単価については、報道によると、公費負担の上限額そのものが、手作業で制作していた昔の基準が元となり、印刷単価は画像ソフトや技術の向上で、この二十年で三分の一以下になった実勢価格を反映していない、高すぎる上限であるとされています。
また、こうした差額は、実際のポスター代は届け出た金額よりも安かったのに満額を請求し、その差額を用いて業者に公費負担の対象外の名刺や封筒、パンフレットなどを印刷させる、また一部議員においては水増し分の中から「キックバック」として印刷業者から政治献金を受けていた、等の例もあったそうです。
報道から2つの市を比べてみます。
立候補者はどちらも34人、ポスター印刷の税金で負担する上限は自治体によって異なります。
ただし1枚当たりの単価にすると、A市が455~1080円で、最大2.37倍の開き。
B市は1枚当たりの単価は、972~1398円で最大1.43倍の開き。
うち8人が、8円まで満額請求でした。
原資は税金であることから、総務省選挙部管理課は「自治体が条例で決めるもの。地域の実情を踏まえて適正に定める必要がある」としています。
今年の飯能市議会議員選挙においては、公費負担対象の立候補者21名のうち、過半数を超える立候補者が20万円から30万円台までで作成ができている一方、7人が公費負担の限度額付近の50万円前後での請求となっております。
質問です。
こうした報道や総務省の見解を踏まえ、印刷費の契約単価は実情に沿ったものに見直し等されていますでしょうか。見直しについての検討はどのようになっていますでしょうか。市のご所見をお伺いします。
【答弁概要】
選挙公営の単価は、平成30年に見直しの改正をおこなっている。この見直しは、公職選挙法施行令に規定されている公営単価及び限度額に準じ、市議会議員及び市長の選挙の候補者に係る自動車の使用並びにビラ及びポスターの作成に要する経費について、公営単価及び限度額の改正をおこなったもの。
飯能市では、見直しと改正を行っているということでした。
これはいくらですね、ネット印刷が主流となっていても1円でも安く、というよりは、地元事業者の利益も必要ですし、短期間に集中する納期や、品質も重要であって、選挙期間中はがれるようなことがあっては困るわけです。
引続き、実情に沿った検討をお願いします。
次に、印刷単価明細の取得が見える化のポイントになります。選挙運動用ポスターの費用が不明瞭であるのは、明細がなく契約単価のみが必要とされるためです。
報道によると、対策を講じた自治体も多数あり、福岡県福津市は市議選で不正請求があり、条例を改正しました。詳細な内訳の提出を義務付けた結果、公費の支出は減少したそうです。
愛知県豊橋市や福島県いわき市でも、企画料やデザイン料といった単価を積算する内訳を示した明細の提出を義務付けています。
質問です。
現在の選挙運動用ポスターの公費負担について、明細の追加や明細の記載された見積書や契約書の添付を要件とするなど、明細の確認が可能な仕組みを導入してはいかがでしょうか、ご所見をお伺いします。
【答弁概要】
飯能市選挙管理委員会では、公職選挙法施行規則に準じて規定した様式により提出を求めている。
公選法に準じた規定で問題はないとは理解します。
しかしながら、先ほどの情報公開同様、やらない理由があるのかどうか。やらないことが市民にとってプラスになるのかどうか。
飯能市は決して潤沢な財政状況にない、その中で公費を支出するのに、明細や内訳を確認する仕組みを導入することで、実際に公費の支出を削減できる事例が多数ある中、検討はあって当然と考えます。
(3) 自動車本体の借入れ契約
選挙運動用自動車の借入れについても、報道では、他自治体で公費負担の対象外となる部分も含めた請求があったとの指摘があります。音響機器等の設備や設置費、選挙前の借入期間分も請求していたそうです。
これを防ぐためには、その他の経費が明らかとなるよう、車両整備を含む契約内容の明細を添付すれば、その他の経費が公費負担に含まれないことが明らかとなります。
飯能市でも使われている、大手の車両リース会社は、金額も低廉でこうした部分、例えば音響機材を別途手配する旨明示しております。
今年の飯能市議会議員選挙においては、公費負担対象の立候補者21名のうち、過半数を超える立候補者が6万円から7万円台までで借入れができている一方、7人が公費負担の限度額付近の10万円前後での請求となっております。
質問です。
選挙運動自動車の公費負担の手続きにおいて、車両整備など明細を含む書面や契約書、見積書を得てはいかがでしょうか、ご所見をお伺いします。
【答弁概要】
答弁が重複するが、飯能市選挙管理委員会では、公職選挙法施行規則に準じて規定した様式により提出を求めている。
私の考えは先ほど述べた通りですので、繰り返しません。
市民からはなぜ同じものがここまで差がつくのか疑問の声があり、事業者の利益率を考えても、市民のコスト意識を踏まえた運用にしていただきたいと考えます。
2. リカレント教育への対応
(1) 生涯学習分野内とする位置付け
まずリカレント教育とは、どのような定義か。
既に20年以上前から欧米諸国では議論が進んでおり、日本でもずいぶんと前からある言葉になっています。
「生涯を通じて学び続けていくこと」
学校を卒業して仕事に就いても学ぶことをやめず、仕事と交互に教育を受けていくことが望ましいとされており、時代の変化や動きに合わせて、求められる知識・スキルにアップデートするということと表現できます。
しかしながら、日本では「学び直し」と表現され、高齢者の生涯学習のイメージが強かったり、企業内などでは転職を有利に進めようという人や、学び直しをきっかけとした人材の流動化についての課題が語られることが多かったのが実情とされています。
学生が多額の奨学金返済を背負って社会に出ることの対応や、教育の無償化については、昨今動きがでてきまして、大阪では大学まで無償になってきていますが、ひとたび社会に出ると、妊娠出産や介護、病気その他事情でキャリアが中断しても、再度学んでその時々のステージで知識やスキルを活かすといった取組みについては、積極的に議論が深まらなかったのが現状であるとも言えます。
飯能市においては、飯能市教育大綱及び第3期飯能市教育振興基本計画の検討において、リカレント教育の文言が入っていたことが確認できました。
政府は生涯学習とリカレントを分けており、リカレント教育と生涯学習を混同しないよう記載しています。
通告書の(1)ですが、 生涯学習分野内とする位置付け、ではない取り組みが、国から求められています。
リカレント教育の学ぶ目的は、仕事に生かすための知識やスキルを学びます。
一方、生涯学習は、生涯にわたり行うあらゆる学習で、学校教育や社会教育、さらには文化活動、スポーツ活動、ボランティア活動や趣味など仕事とは無関係なことや「生きがい」に通じる内容も学習の対象に含まれます。
政府は教育訓練給付金、高等職業訓練促進給付金、就職・転職支援の大学リカレント教育推進といったものを重点に置いておりますので、飯能市における文言の使い方や方向性が、政府の示す「混同」に該当しかねないのでは、とも考えられます。
質問です。
市におけるリカレント教育の取り扱いについて、政府方針との整合性はどのように取られていますでしょうか。また、生涯学習分野内と混同されないような工夫はどのようにされるのか、ご所見をお伺いします。
【答弁概要】
昨年度策定の第2次飯能市教育大綱・第3期飯能市教育振興基本計画のなかの生涯学習分野、基本方針を進める具体的な取組において「リカレント教育など生涯にわたる学びの充実と地域との連携」として「リカレント教育」という言葉を引用。
同計画では、文化芸術活動、スポーツ活動など、心の豊かさや生きがいのために学ぶことも含め、あらゆる学習活動を繰り返し学び続けることを「リカレント教育」とし、より広義な意味で捉えている。
「職業上必要な知識・技術を習得するために働きながら繰り返し学ぶ」ということと明確に分けて示してはいないが、その重要性を理解し、本来のリカレント教育の支援につながる学習機会の創出や充実を図り、社会人が学びやすい環境の整備を積極的に進めていきたい。
関係部署との連携を強化し、その情報発信に努めるなど、市民の方に分かりやすい対応を図る。
「リカレント教育」という言葉のあり方は、全国的に広義で使われることが多い中で、市ではその重要性を理解されていて、今後の取組みや連携強化を進めていかれるということでした。大いに期待して、ぜひ多くの市民の皆さまにご活用いただきたいと思います。
コロナ禍によって、社会の在り方も働き方も大きく変革が求められています。否応なしな環境で、多くの市民のみなさんがビジネスモデルもご自身のスキルもアップデートされているところですから、ぜひそのニーズにこたえる取組みを進めていただきたいところです。
(2) 子育て支援、生涯学習、就労支援の事業
各種の政府方針においても、リカレント教育推進に向けた施策が打ち出されてきています。
例えば、「働き方改革実行計画」や「人づくり革命 基本構想」では、個人や企業を対象とした給付金制度や、効果的なプログラムの開発支援等を、
「経済財政運営と改革の基本方針 2020」においても、産業界と連携した教育プログラムや e-ラーニングの強化等を行うとされています。
労働者・求職者の職業の安定に資するための職業能力開発、環境整備のための支援を行う厚生労働省のみでなく、経済産業省や文部科学省といった関係省庁が役割分担の下、リカレント教育の充実に向けた施策を行っています。
市では、高等職業訓練促進給付金は、健康福祉部 子育て支援課になっています。この制度はひとり親世帯への経済的支援制度ですが、リカレント教育の趣旨に合致した事業として厚生労働省のホームページでも紹介されています。
質問です。
福祉分野と既存の生涯学習課、厚労省と文科省のそれぞれが実施していることに合わせて、市でもリカレントの枠組みでまとめ、福祉から学びなおしと経済的自立を果たせるよう、就労支援の前提となる各種リカレント事業につなぐ役割を持つべきではないでしょうか。ご所見をお伺いします。
【答弁概要】
子育て支援課が窓口となり、「リカレント教育」の趣旨に沿う事業のひとつとして「高等職業訓練促進給付金」の給付を行っている。
この制度は、ひとり親の方がその生活の経済的自立や収入増加を目指して、看護師等の国家資格等の取得のために修学する場合に、原則として月10万の支給が受けられる国の制度。
ひとり親世帯等への「児童扶養手当」の申請の際や毎年8月の現況届面談の際に、生活状況の聞き取り等と同時に当該制度利用の希望について聞き取りを行い、令和2年度の支給状況は4件、その内訳は看護師資格及び准看護師資格取得目的。
今後は、給付金制度利用者等の学習ニーズをすいあげ、福祉、生涯学習及び就労支援分野が横断的に連携して、学習ニーズの把握や情報共有、情報発信に努め、学習の機会と経済的支援に関する事業をつなぐネットワークにより、より効果的に市民の方が利用しやすい体制づくりを構築していきたい。
私もひとり親ですので、今も、児扶手の給付の有無別で、毎年面談をしていただいています。ひとり親は常に自分に万が一のことがあったらどうしよう、という不安を抱えていますので、子どもの状況を把握してくれる、気にかけてくれる機関は多いほどありがたいと思っています。
その面談での聞き取りで、制度を利用して准看護師、看護師資格取得を目指されている方がそれだけいらっしゃるというご答弁うかがうと、あぁお母さんがんばってるな、と勇気をいただく思いです。
同時に、これらの給付や控除対象にならない方も、就労されて納税をされておりますので、ぜひさらに広く、多様なみなさまが利用しやすい体制づくり、宜しくお願い致します。
(3) 人的資本投資の強化と市民所得向上
内閣府が示す、リカレント教育による人的資本投資に関する分析では、生産性向上のため、人への投資が求められています。
ポスト・コロナに向けた経済構造の転換・好循環の実現のため、業種・職種を越えた労働の円滑な移動を促す観点から、リカレント教育の強化、成長分野への円滑な労働移動の促進により、国民の命と暮らしを守る安心と希望のための総合経済対策を進める。
業種転換による雇用確保も視野に、働きながら学べる環境の整備やリカレント教育の強化に取組む、とあります。
分析結果では、リカレント教育の効果に関する研究において、収入増加の効果、正社員化や転職を伴う収入増加の効果が共にあり、
今後は都道府県事業として、業種・職種を越えた再就職を促進、またその支援、ニーズの変化に応じた教育訓練給付対象講座の見直し、人材開発支援助成金による他業種転換支援、長期教育訓練休暇付与コースの要件緩和、IT 人材育成支援の充実と進むようです。
こうした流れも受け、戸田市ではリカレント教育を大きく打ち出し、リカレントという枠組みで事業や調査研究をすでに実施しています。
質問です。
リカレント教育の将来性を踏まえ、まずは事業に着手するということで、積極的に動きを開始されてはいかがでしょうか、ご所見をお伺いします。
【答弁概要】
事業を着手するについては、本市においても、地域の特性や学びに関する市民ニーズ、また企業や大学、その他関係機関の協力や支援体制等について把握し、その効果等についても検証をする必要がある。
生産力向上のための「人的資本投資の強化」については、再就労」や「起業」につながる支援について、各課、関係機関で行っている事業の確認などを行い、それをどのように繋げて、周知を図り、より効果的なものにしていけるのか、横断的な連携を強化した体制づくりから検討したい。
(4) 産学連携とリカレントの利用支援
経団連は、リカレント教育について、今後の企業競争力の向上など経営面から強い関心を示しています。
経団連の調査では調査対象企業のかなりの割合で実施が確認されており、経団連の理事がポスト・コロナを見据えた産学連携によるリカレント教育の推進を講演するなど、産業界の方向性は明らかです。
高等教育機関も社会人向けのリカレント教育は開始しておりますが、課題となるのは受講費用です。規模の大きな企業であれば、経費として出すことも可能ですが、支出の困難な事業者や離職した場合、利用する本人の負担が多額になる場合もあります。
文京区では、リカレント教育課程受講料助成金として、新たなステージでの活躍を応援しており、、新たな知識やスキルを身に付けて再就職のために受講するリカレント教育課程の受講料の一部を助成しています。
質問です。
リカレント教育に関心があるものの、実際に取り組むには費用面で躊躇されるケース等の課題解消には、こうした事業は有効と考えます。市内の事業者の支援も受け、こうした制度を設けてはいかがでしょうか、ご所見をお伺いします。
【答弁概要】
教育委員会では奨学金制度を実施しており、結婚・出産などにより離職された方が、その後再就職を目指して看護学校等で資格を取るために活用されているケースも多い。
平成28年12月に国から創業支援等事業計画の認定を受け、平成29年度から産学官金の連携による「はんのう起業プラットフォーム」を構築し、飯能商工会議所を中心に市内で「起業する方」を支援している。
取組の一つとして、商工会議所では、起業スクールを開催。昨年度からオンラインによる開催。現在仕事をしている方や子育て中の方にも利用しやすくなり、今年度実施した起業スクールには39名。
埼玉県やハローワークでは職業訓練を受講料無料で実施し、就職や再就職を目指す方の新たな知識や技能習得を支援しており、市では受講案内を配架するなどして周知をしている。
直接的な補助という形では行っていないが、各関係機関との連携を強化するとともに、新たな制度の構築については、市内事業者の意向等にも注視し、今後調査、研究をしていきたい。
直接的な補助はないとのことですが、これからは副業も禁止から推奨に変わってくるとも見られていますし、起業、またオンライン型の講座など多様な選択肢があるのは良い機会と思います。
今回、リカレント教育についてうかがうにあたり、飯能市では政府や産業界の動きを捉え、連携強化やニーズを踏まえた体制作りに取り組む考え、姿勢が答弁からよくわかりました。
リカレント教育についてはフィンランドが先進国です。令和元年になりますが、フィンランド教育の第一人者、メルヴィ・バレ先生の講演という非常に貴重な機会が飯能でありました。
この時のお召し物が1970年のマリメッコだそうです。
どれだけ教育に国が投資しているか、また子どもを預けて働く環境がいかに整っているかというお話しと同時に、子どものそばには親の愛情が必要という考えがベースにあって、特に0歳から5歳は言語や思想が育つ時期で、キャリアをとるのか、子どもの成長に愛情を注ぐのか、選択の問題、というお話はかなり印象的でした。
これは、日本の3歳児神話などとは構造的に違っていて、選択肢も価値観も多様で、教育に国を挙げて先行投資しているからこその考えと言いますか、一生涯学び直すシステムがあって、40代から60代で多くの方が博士号をとるといった環境があってこその議論だろうと感じました。
私の実の母も、大学に行かせてもらえなくて、幼稚園教諭として勤め上げながら、通信で4年制大学を卒業して、還暦で国立の大学院に進学しました。
それも20年前の話ですが、リカレント教育の推奨議論が盛り上がり、社会人枠を国立大学の大学院が作って、第一号入学だったので、当時すいぶんメディアがいらしてニュースに出ておりました。
その母は、「え?今ごろリカレントやるの?」と心配しておりましたが、この20年あまりこの国のリカレント教育の状況は変わってこなかった。
今こそ、ポストコロナ時代、フィンランド流を多く取り入れている飯能市でいち早い取り組みを期待しております。
3. ふるさと納税
(1) 事務経費のあり方
ふるさと納税制度は、納税者が自分の意思で納税先を選択する制度として、定着しています。飯能市においても、一定規模の寄附を得ており、市民税の流出を懸念する側にはなく、貴重な財源となっています。
しかしながら、ふるさと納税を多く得る自治体において問題が指摘されています。
寄附を集めるための経費が多くなることについて、財務省財務総合政策研究所総務研究部は論文において、「返礼品送付のための歳出増加を通じて公共財の過少供給を招き、社会厚生を損なうことになる」と述べています。
ふるさと納税の経費については総務省が示しており、インターネット上にも今年夏時点のデータが示されています。
返礼品の調達割合3割以下のルール徹底により、全体としての経費割合は平成29年をピークに減少傾向にあります。ところが、返礼品の送付に係る費用、決済等に係る費用、事務に係る費用等は、経費に占める割合または構成比が増えており、新たな懸念事項となっています。
この原因はインターネットサイトの仲介事業者の利用によるところが大きく、事務手続きの代行で手間が減り,寄付者も様々な決済が可能になる一方、返礼品以外の経費の割合が増える結果となっています。
総務省の2002年のデータによると、返礼品の調達に係る費用が28.2%、返礼品の送付に係る費用が7.7%、広報に係る費用が0.7%、決済等に係る費用2.0%、事務に係る費用等が8.1%、経費全体で46.7%となっています。
飯能市においても、インターネットサイトの仲介事業者によって、委託料の単価に倍以上の差が出ており、費用対効果の点で課題が見えています。
質問です。
飯能市では、総務省の分類による経費構造で、それぞれの割合はどのようになっていますでしょうか。また、費用の圧縮も視野に、委託先の費用対効果を見定めて事業者の整理も必要と考えます。ご所見をお伺いします。
【答弁概要】
指定基準の概要では、募集経費は50%以下、本市においても、毎年、経費全体で平均約45%~48%で抑えている。
ポータルサイトの開設は、初期費用がかからずに用意ができるため、本市では、他市よりもはるかに多いポータルサイトの10箇所を用意し、サイトユーザーがお好みのサイトから寄附をしやすくしている。
サイトユーザーのターゲットに合わせて見合った返礼品を掲載し、本市の認知度を上げるには最適かつ有効な手段である。
寄附者が使用してほしいものに対する使い道として十分に寄附金が充てられるよう、極力、事務経費の削減に努め、費用対効果の現れる訴求の仕方などを今後もさらに追及していく。
飯能市の経費全体の割合が45~48%。 そもそも規定が50%以下で、約半分が経費という状況があって、各自治体そこは苦慮されているとも聞くところです。
観光地などでは、訪れた方に自動販売機で宿泊や観光に使えるクーポンを置いたら、かなり高額寄附も自販機で売れて、人件費等もかからない、観光に来られている時点で応援しようという方が多いなど、様々工夫されての事例もあります。
経費削減と費用対効果の検討は、当然必要なことですので、同時進行でお願いしたいと思います。
(2) 今年度の納税における新市長の変更事項
新井市長は選挙公報で、市政刷新として13の項目を掲げて選挙に勝利されました。
各種政策は、災害対策とまちづくり、賑わい活性化、林業支援、18歳までの医療費無償、資金融資制度、道路改良整備、行政施設改修整備など、財政支出を伴うものです。
これらの財源は国や県から得る部分を除けば、税金か借金が主な部分となります。こうした部分を補うためにも、ふるさと納税の活用は有効と考えられます。
ふるさと納税を契機に、地元経済活性化など,副次的な効果が出ている自治体は多数あります。
国立国会図書館調査によると、返礼品が市町村に及ぼす経済波及効果は、自治体が地元業者に支払う金額の1.4~2.2倍に達するとの分析や、地場産品を返礼品として提供して、雇用が域内雇用中心である場合には、返礼品調達価格の実質40~70%が雇用者所得になる、との分析があるとのことです。
質問です。
ふるさと納税を増やすためにどのような改善を進めるのでしょうか。地域資源を活用し,地域の活性化を図ることで法人の市税を増やすなどの取り組みが必要と考えます。ご所見をお伺いします。
【答弁概要】
平成28年度から本格的にふるさと納税を推進し、5年間で寄附件数は約5万件、寄附金額は合計で約12億円となり、本市の貴重な財源として寄附を頂戴している。
飯能ファンとなる人を一人でも多く増やし、「寄附」という形で本市を応援してもらおうと、平成30年度以降からポータルサイトを徐々に増やすと共に、本市の魅力を前面に出す広告出稿を行ってきた。寄附者へは、本市の新着情報を載せたダイレクトメールの送付など、積極的につながりを持たせるための工夫をしている。
今後もより一層、継続寄附者を大切にしながら、本市の魅力発信と、返礼品事業者と手を携えて地場産品の更なる拡大を含め、全国からの寄附を募る。
先日、先輩の金子議員からも、いかに市内事業者さんが返礼品で潤っているか、その声を教えていただいたところです。実際に貴重な財源として寄付を得ており、その成果は出ている。
それをどう活用していくのかというところです。
市民からは、報道などでふるさと納税について、飯能市の返礼品の好評を見聞きしても、実際にあまり実益を感じないという意見を伺います。
これは、飯能市民は市に寄附をしても返礼品が受け取れるわけではなく、特にムーミン基金に入る部分の寄附は、使途が市民に直結しにくいことも上げられます。
飯能市のふるさと納税に関して広報はしていますが、使途の分野の具体的内容がどう市民につながっているか、見えにくいことは改善が必要です。
総務省の調査では、受入額実績・活用状況の両方を公表している自治体が大半を占めておりました。 集めた寄附金額の使途が明確な自治体が多く、寄附金収入が住民サービス向上にもたらす関係が住民にも分かりやすいという特徴を持っています。
質問です。
市の広報においても、市民に使途とそれを踏まえた市民への施策効果が、もっと身近に、且つわかりやすくなるよう、周知が必要と考えます。ご所見をお伺いします。
【答弁概要】
寄附者の皆様へ毎年、ふるさと納税で得られた寄附金額及びそれぞれの基金別での使途報告を、年度初めに冊子にまとめ、「使途報告書」として寄附者への感謝の気持ちを含めた形で報告している。
市民の皆様へは、昨年の7月号広報はんのうにて、令和元年度の各基金別の寄附受入れ実績や使い道の事業報告、返礼品を提供してくださる市内事業者の紹介。その際に、広報誌裏表紙には飯能市を誇る地場産品である返礼品の数々の写真を紹介。引き続き広報誌や雑誌、広告などへの掲載の工夫をこらしながら、本市のふるさと納税の取組への理解が深まるよう努める。
広報はんのう7月号の反響が、多くの市民の皆さまからあったということでした。事業者さんにとっても効果的かと思います。引き続きよろしくお願いいたします。
さらにうかがいます。
ふるさと納税の委託業者のサイト上には、飯能市への寄附の使途について、「市長にお任せ」を選択された方は、すべてムーミン基金へ入れさせていただきました、とあります。
前市政からの刷新を目的とした13項目の実現には、使途が限定されているムーミン基金ではなく、使途が様々にわたる財政調整基金に繰り入れ、基金の枯渇を防ぎつつ、活用していくことも必要と考えます。
質問です。
新井市長は、今後も「市長にお任せ」をふるさと納税寄附者が選択した場合、使途の限定されるムーミン基金へ全額入れる現状維持のお考えでしょうか。
例えば、市民が納得のいく形での使途が可能な市政全般メニューである財政調整基金への繰り入れを戦略的に進めてはいかがでしょうか、ご所見をお伺いします。
【答弁概要】
寄附の際の使い道として、ムーミン基金、森林文化都市基金、緑の基金、文化スポーツ振興基金、市長にお任せの5種類を用意しており、寄附金の約8割をムーミン基金として、多くのムーミンファンにより頂戴し活用している。
「市長にお任せ」は、これまでの継続寄附者が寄附の際に、その考えを市長にゆだね、「ムーミン基金での活用をする」ことに了承された、本市の応援者であり、ムーミンファンである方が多いのも事実。
従来どおりの政策的活用をしながらも、「市長にお任せ」を選択された継続寄附者の思いに配慮しながら、今後、慎重に検討してまいりたい。
(3) 時点修正に基づくムーミン基金条例改正
先の質問で触れた中で、飯能市が公表している令和2年度実績、「ムーミン基金」への寄附金について、
メッツァとの共通性を持つ「北欧文化」を体感できる施設「ノーラ名栗」を整備する事業をはじめ、メッツァと連携した市内回遊イベント、プロモーション事業などに活用させていただきました。
今後はメッツァと連携したイベント実施や情報メディア発信などを中心に活用させていただく予定です、とあります。
これを見ても、市民は具体的にどうメリットがあったかあまりわからない、またこれらの施設が住居から遠い、そうした施設へ出かける環境や生活スタイルにないという市民にとっては、特にメリットがないという指摘もあります。
質問です。
現状のムーミン基金条例において、こうした効果の差がみられる中で、基金条例の設置目的や処分を見直し、より多くの市民や市域全体へのメリットも出るよう、条例を改正してはいかがでしょうか、ご所見をお伺いします。
【答弁概要】
ムーミン基金は「北欧の雰囲気とムーミンの世界を体験できる施設と連携した観光施策の推進に要する財源に充てる場合に限り、処分することができる」と定められており、トライアングルゾーン内、その周辺地域及び山間地域との連携による交流人口の増加策を含む都市回廊空間の構築に関する事業に対して、多くの観光客や住みやすいまちづくりに寄与するため、活用してきた。
ムーミン基金への寄附者は、ムーミンファンを含めた継続寄附者が多数おり、何よりライセンサーとの交渉の結果、現在の寄附金の使途をもって基金名に「ムーミン」を冠することが了とされていることから、従来どおりの活用とさせていただく。
これまで、ムーミン基金の活用については、何度も質問、提案等してまいりました。
基金条例にのっとった形でしか処分できず使途が限定されてしまうことについて、検討を求めてまいりましたが、基金使途の見直しは不要で、「観光施策の推進」にのみ活用するという答弁でした。
今回、そもそもライセンサーと契約において、現在の使途でなければムーミン基金と名乗れないという趣旨の答弁がありました。
ライセンサーとの契約については、遡るところ前市長・副市長が直接フィンランドに出向くなど注力されてきた経緯もあり、簡単に使途変更はできない状況もあるかと理解するところです。
新井市長は、今後ムーミン基金をどうされたいのでしょうか。
頂いた貴重な財源、寄付者の気持ち、市内事業者のご努力、ライセンサーとの契約、どれにもこたえていく必要と同時に忘れてはならないのは、飯能市の未来と市民のみなさんです。
新井市長が、市の発展と市民のより豊かな暮らしに向け掲げた公約実行のために、ふるさと納税の活用は非常に有効ではないでしょうか。
最後に市長におうかがいします。
ムーミン基金において、ムーミン関連で既存事業を指定して使途を増やすなど検討してはいかがでしょうか。
また調達や使途についても考慮した形にふるさと納税全般で各基金のあり方を再検討してはいかがでしょうか、市長のお考えをお伺いします。
【市長答弁概要】
基金全体について。
ムーミン基金をはじめ、その他の基金を選択する際には、それぞれの使い道について理解をされたうえで寄附の申込を頂戴している。
以前より飯能市を応援してくれている継続寄附者を今後もつなぎとめていくために、森林文化都市である飯能市に即した現行の各基金は残しつつ、使途について最適な方法を検討してまいりたいと考えているので、ご理解とご協力を願いたい。
【坂井えつこ一般質問】
ケーブルテレビ放映は
12月17日(金)22:00~
の予定です。
市議会HPからも、後日観られます。
このHPにもアップ致しますので、ぜひご覧ください。