政治を志す女性が増えればいいなと思って、このブログを徒然に書いています。
読者を女性に想定して、意図的に偏りのある内容を書いていますが
今回は、更に限られた人たちの悩みを共有しています。
ウエルカム、方向音痴の世界。
後編。
後編では、方向音痴上級編、かなり生活に支障をきたすレベルの人の実例をあげます。
ここからはかなり深刻です。
【方向音痴上級だと何が起こるか】
①途中でトイレに行けない
方向音痴上級は、歩いていて、途中で建物に入ったら、元の道に戻って正しい方向に進むことはありません。
せっかくそこまで正しい方向に歩いてきたのに、ひとたびビルに入れば、出てきたときには、ここではないどこかへ進むものの、それはどこかであって、目的地とは違う方向になります。
これは、説明が難しいのですが、
建物や地下に入ると、そこで方向がリセットされた状態になり、元の道の元の方向は、完全に消滅するのです。
ですから方向音痴上級は、どんなに途中でトイレに寄りたくても、たとえどんなに時間があっても、
まだ目的地を目視できない段階で、建物や地下に入ることは決してしません。
それは、道に迷うことを意味するからです。
私が直近で困ったのは、女性局の定例会で、日本維新の会の大阪本部に行った時です。
飯能から、東京駅に向かい、新大阪で新幹線を降りて、地下鉄で本部へ向かうのですが
5時間近い長旅にあっても、目的地である本部が目視できるまでは、途中でビルに入るわけにはいきません。
やっと本部について、近隣でトイレと化粧直しを…と思ったのですが
それに適したお店等が、周囲に見当たらない。
たまたま動画撮影をしていた、大阪市議お二人を見かけたので
「どこかトイレいけるところってありますか?」と聞いたところ
本部の中にありますよ!と教えていただいたので、本部建物入り口に進むと
「会議?今日は●階!」と入り口の女性(THE大阪のおばちゃん?)がエレベータに乗せてくれて、降りてみるものの、
女子トイレ的なトイレはなく、化粧室的なスペースもなく、個室もすぐ出ないと混んでしまう感じで
結果的に、朝4時に化粧をして家を出てから、会議が終わるまで、化粧を直すタイミングはありませんでした。
それで、写真に写ったとしても、途中でトイレに行くために、見知らぬ建物に入り
道に迷って遅刻するより、途中で建物に立ち入らないという選択をするのが、自立した大人というものです。
②ラスト30mで脱落する
方向音痴上級にとって、この「目的地を目視できるまで」というのは大きなポイントです。
ナビもアプリも、目的地に近づくと案内を終了してしまいますが、その時点で目視できていたことは、私の記憶ではありません。
ラスト30mこそ重要なのです。
かつて、私が参加していた社長会は、それこそ電車や徒歩で来る社長もいなそうなメンバーの社長会だったので
とんでもなく不便な会場で、会合や懇親会があったのですが、
毎回、そう近くもない場所で迷子になって電話してくる私対策だったのか、
いつの頃からか、駅から直結のビル内に会場が指定されることが多くなりました。
それでも事務局のスタッフさんは、毎回私に
「改札を出たら、駅を背に、右に進んで、●●B出口を目指してください。
〇〇と◎◎の間の通路を進むと、数メートルで左手に、ビル直結のエレベータが出てきます。
その直結エレベータでB1に来てもらったら、目の前が会場です。」
と、懇切丁寧な連絡をくれました。
それでも辿り着けない。
やっぱり電話をする羽目になります。
「今、エレベータまでは来れたと思うんですけど、B1に止まるエレベータがないんです。」
「そのエレベータで合っています。それに乗ってください、B1止まります。」
「でも、上だけで、下に行くエレベータがないんですよ。」
「坂井さんは、地下鉄で来たので、いま地下2階にいます。そのエレベータに乗って、地下1階に上がってきてください。上で合ってます。」
「あーーーー!」
迷惑をかけてごめんなさい…と謝る私に、そのスタッフさんは、
「いえいえ。顧客が困っていることを知るのが弊社ビジネスのスタートですから。坂井さんはいつも僕が想定しきれないことで困ってくれるので、むしろありがたいですね。」
と、笑顔でさらっと言ってのけました。
さては只者ではないな、と思っていましたが、その彼はもちろん、その後独立起業して、今めちゃめちゃ稼いでいるそうです。
③議員として致命的
議員として議会に上程される議案の審査には、道路問題や下水、災害復旧、雨水問題など
地図を見て説明を受ける機会が、非常に多いです。
地図が読めない、道がわからない、は
正直、議員として致命的ではあります。
そこは努力でカバーするしかありません。
先日、私に親切な(と私が感じている)職員さんにお願いして、道路や区画整理に関するレクチャーのセッティングをしてもらいました。
その際、
「今さら聞けない基本的なことを教えて欲しいので、道路全般がわかる方で、穏やかな方で。
私の為にお時間取らせるのは申し訳ないので、全体がわかる方お一人でいいです。」
という妙なリクエストをしました。
当然、職員さんは議員の対応ですから、それはそれは警戒されます。
結果的に課長が3人がかりで来て下さったのですが、要は道を教えてもらったのです。
「この計画の道路はどこになりますか」
「市道〇ー●●ー◎◎線、〇〇〇〇…」
「ってことは、ここがローソンですか?」
「違います。ローソンはここです」
「え?じゃぁ、ここが△△さんの家だから、ここから上がって、ここが新しい美容院のあるところ?」
「そうです。」
「あーーーー!わかりました」
「いつも〇〇議員が言ってるこの地区の雨水問題で、答弁に〇〇堀って出てくるじゃないですか。あれはどこですか?」
「ここがスーパーで、その先の細い道の、ここが車屋さんで、ここです」
「ここ??!この地区の雨水問題で、なんでここまで飛ぶんですか?!」
「地下を通っています」
「地下道があるの???」
「…地下を通っています」
………。
方向音痴上級クラスは、議員として致命的な欠点を抱えて議案と向き合うことになります。
でも大丈夫。
行政マンは、議員を決して邪険に扱いません。
議員特権です。
とことん、わかるまで、道を教えてもらってから、議案審査に臨めばよいのです。
【最強の方向音痴の強みとは】
限りなく残念な人種としての烙印を押される方向音痴。
その中級と上級の人間が、果たして議員をやること、目指すことはいかがなものか?という議論は
今のところ、直面したことはありません。
逆に、この致命的な欠点が、最大の強みになることもあります。
方向音痴の人は、平面の地図は読めません。
それゆえ、道を覚えるには、風景や建物、植えられた木々や花、住んでいる人、飼われている犬猫など、とにかく詳細を記憶します。
更に、議員として地元を歩く以上、地域の人の家を覚えることになります。
全員が支援者ならいいのですが、そうもいきません。
どんな家の、どんな花が咲いていて、どんな表札があって、どんな人とどんな会話をしたのか。
リアルに詳細に、目に浮かぶ風景の断片を、人との会話やつながりを、脳内でつないでいきます。
これ正しく、脳内3Dマッピングコラージュ能力です。
だから、地図は読めなくても
「ここは、区画整理前は大きなビルで、1階がお店で、オーナーは2代目で、先代が随分この業界で著名だったんですよね。
今、移転して、あそこで営業してて、あそこのお隣のお店は、都内の〇〇で修業した人らしいですね」
と、認識できる目標物から、少なくとも会話が途切れるということはありません。
脳内でつながって、つながって、
先日、お一人暮らしのおばあちゃんが道で倒れた!と、議員というだけで私の家に駆け込んでくださった通りがかりの人がいて
救急車を呼びながら、
「確か、このおばあちゃんの娘さんと同級生だって会話をした人があの辺にいた」
という詳細記憶から、あの辺の家をたずねて、幸いなことにご家族に連絡が取れたということもありました。
たとえ方向音痴であったとしても。
最終的には、人と人とのつながりです。
方向音痴でも、必ず人の役に立てることはあるのです。
だからあなたも自信をもって
方向音痴上級の私と一緒に、活動してみませんか?
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