一般質問(12月10日)

12月10日(火)11:10~の60分間

一般質問を行いました。

今回は、一問一答形式で、タブレット資料も用い、わかりやすくを心がけました。

毎回、多くの傍聴にお越しくださり、感謝の気持ちでいっぱいです。

また、今回は女性の方や初めて議会の傍聴にお越し下さった方が多くて、傍聴席がとっても華やかでにぎやかでした。

「初めての議会傍聴&市役所見学ツアー」と題して、みなさんでお越し下さり、市民の皆さまだけをみて議会活動をしてきた私にとっては、なによりも報われる気持ち、がんばってよかった、もっとがんばろうと思えるエールでありました。

終了後、エレベータでみなさまをお見送りした後、みなさんで地下食堂に行かれたそうですが、「こんな大人数は無理です」と断られてしまったそうで…ランチまでセットと聞いてはいましたが、地下食堂は想定しておらず、申し訳なかったです。

これからも、市政に関心を持っていただけるよう、議会傍聴とランチ…と当たり前のように議会にお越しいただけるよう、市民のみなさまに一番近い感覚と目線で、しっかりと議案や地域課題に向き合い、議会で公式に発言をしてまいります。

 

以下、一般質問の全文と答弁の概要です。

答弁は概要であり、実際の議事録とは異なりますので、詳細は議事録でご確認ください。

【12月議会の質問テーマと概要】

1.ひとり親家庭の支援について

国や県の施策だけでなく、自治体でできる支援が全国で広がっています。飯能市で出来ることはないか。ひとり親に手当の支給をするだけでなく、子どもの権利である養育費について、親が責任を果たせるよう支援する動きについてうかがいました。

2.税財源の活用と計画行政について

これまでは、自主財源についての質疑をすることが多かった坂井ですが、今回は、消費増税に伴って増額されている「地方消費交付税」についてうかがいました。

社会保障の財源として飯能市に入って来る貴重な税財源を、どのように使っていくのか。また、メッツアへの公金支出も含めた、事業の成果や評価についてもうかがいました。

2.土地開発公社の今後について

長期保有の土地について、令和4年の解散を予定する公社についてうかがいました。

 

【全文】

1 ひとり親家庭の支援について

(1)養育費確保による安定

ひとり親家庭の支援を進める関係者には、明石市の取組みは常に大きな話題を呼び、報道もされてきました。2014年に「こどもの養育に関する合意書」を全国の自治体で初めてつくり、役所に離婚届を取りにきた夫婦に渡す取り組みを始め、2017年には、国が合意書を普及させる役割を担うまでに、この取り組みを普遍化させています。さらに一歩踏み込んで新たに「養育費立替パイロット事業」を開始しました。

まず明石市が取り決められた養育費と同額を保証会社に納め、約束された養育費が支払われなかった場合、保証会社が立替払いをし、取り立てをするというものです。

シングルマザーを大半とする、わが国のひとり親世帯貧困率は54.6%と先進国では驚異的な数字とされ、ここ20年間のデータでほとんど改善していません。

この原因として、養育費の不払いが大きいとされています。

養育費を受け取っているひとり親家庭は2割程度。

「そもそも養育費の取り決めをしなかった」

「最初は支払われていたが、途絶えた」

といったケースが多く、受け取る側が泣き寝入りをしている実態が、子どもが貧困に陥る要因とされます。

養育費不払いが多い理由には、「養育費は子どもの権利」という意識の希薄さがあげられています。

養育費とは、「子どもを養うために、その親に生活費諸々として払われるもの」ではなく、健やかに育つために子どもが受け取る「権利」です。この「子どもの権利」をしっかりサポートしようという動きが全国の自治体に広がっています。

質問です。

子育て支援に力を入れている飯能市としても、ひとり親家庭の生活支援として、養育費立替え回収制度を検討してはいかがでしょうか、御所見をお伺いします。

【答弁概要】

明石市の取り組みは、全国的にも先進的なパイロット事業であると伺っている。本市において、市独自の同様の制度の創設については、現在のところ検討を進めていない。

ひとり親家庭、主に母子世帯への養育費の不払いによる子どもの貧困への連鎖については、全国的にも喫緊の課題であり、「離婚時の養育費の定めの啓発と勧奨」が重要であるという認識のもと、本市においても十分な周知を求めているところ。

本市の取り組みは、まず、市民課の窓口において、法務省が発行している「子どもの健やかな成長のために」と題した離婚後の子どもの養育に関する合意書作成の手引きとQ&Aが掲載されている小冊子を、離婚届出書と同じ場所に置いて周知に努めている。

また、実際に離婚届を提出された際、18歳以下のお子さんがいらっしゃる場合には、子育て支援課の窓口にも、お立ち寄りいただくこととなっている。ひとり親としてお子さんの養育をする方に給付される「児童扶養手当」申請についての説明が主な目的だが、この説明の際に、様々な今後の生活の課題についてお話を伺い、法務省の小冊子の内容に沿って「養育費」についても説明など、周知に努めている。

平成28年度の「全国ひとり親世帯等調査」において、離婚時に養育費の取り決めをしているひとり親家庭の母は、約4割に留まっているという実態もある。そして、取り決めを行っても、実際に支払が滞る事例が数多くあるのが現状。埼玉県の事業で、離婚をお考えの方、ひとり親家庭の親または寡婦の方を対象に、女性弁護士による無料法律相談が実施されており、今年度は年間18回開催。このような機会の周知にも引き続き取り組んでいく。

 

十分な周知と啓発ということですが、実効性はどうなのか。

法務省発行の合意書作成に関する小冊子と埼玉県の法律相談を通知して、具体的な効果が出ていれば、検討でもよいのですが、成果指標がないならば、具体的な効果を図る必要があると考えます。引き続きの取組み、検討をお願いします。

(2)DVの解消・住まいの確保

ひとり親は離婚によるものや、非婚での場合それぞれですが、どちらの場合においても、DVや経済的困窮など、やむを得ない事情によるものも、現実として存在します。DVや子供への虐待から逃げることで、ひとり親になる事例も少なくないとされます。

緊急時には保護が必要ですが、飯能市ではDVに関する被害件数等を公表していません。これは非常にデリケートな部分を含みますが、被害の申告について、相談員にきちんと対応してもらえるのか、利用実績があるという信頼感が見えないなど、非公開ゆえの側面もあります。

母子家庭の一時保護については、民間や自治体双方で、シェアハウスが導入されるようになりました。既存型の施設建設と供給とはまた違った速度で、対策が進められています。民間の賃貸物件への支援を行い、改修によりシェアンハウス化し、一時保護ができれば、短納期で建設や修繕コストも削減し、サービスを強化できます。

質問です。

DVや虐待の問題とひとり親の支援は連携が必要なところです。非公開が多い中で、支援があることや利用を躊躇される方に対して、どのように対応されていますでしょうか、お伺いします。

また、民間の力を活用した、シェアハウス方式についても、市が独自で対応することの限界も踏まえ、検討する必要があると考えますが、ご所見をお伺いします。

【答弁概要】

「子育て支援課」

子育て支援課においては、家庭児童相談室を中心に、ケースワーカーや家庭児童相談員などが家庭や児童に関する相談をお受けしている。そのひとつとして、「ひとり親」として子育てをしていくうえでの様々な支援や補助制度などのご案内をしていくとともに、お悩みを受け止め、寄り添う心のケアにも力を入れている。

DV被害により苦しんでいる母親から、DVや子どもへの虐待等から逃れるための相談が寄せられることも少なくない。そのような相談が寄せられた場合は、DVを所管している地域活動支援課とも緊密に連携をしながら、支援を進めている。

「地域活動支援課」

DV被害者を支援する所管として、相談窓口の周知については、毎月の「広報はんのう」や市HP等を通じて「女性相談」として広報している。相談したい方が相談しやすい窓口という観点から、公共施設や市内の商業施設等の女性トイレなどに啓発用のカードやチラシを設置していただくなど、相談したい方にその情報が届くよう、効果的な場所での周知を行っている。

また、DV被害者が避難をする場合には、被害者の安全を第一に考え、公的な一時保護施設を利用するほか、民間で運営をする施設の活用もしている。

親子での相談をお受けする場合には、子育て支援課と密に連携しながら支援を進めていく。

連携をはかって様々支援されているということでした。デリケートな部分があり、どう、利用実績があるという信頼感が見せるか、は苦慮されているところかと思います。

痛ましい事件があった際、なんとか救えなかったのか、と胸が痛むわけですが、相談に来れた方は支援が出来るけれど、どうSOSをだしてもらうのか。例えば埼玉県は県内児童相談所の虐待通告などの件数を公表しておりますので、飯能市の取り組みが機能しているという点において、これはあくまで例ですが、例えば件数程度の公表など、さらに検討いただければと思います。

(3)支援事業の実効性

ひとり親家庭の支援が市としてメニュー化されていますが、実効性があるか、他自治体で効果を上げているものも含め、メニューの追加や見直しが必要な時期であると考えます。

養育費の継続した履行には、保証促進補助金制度があります。

大阪市では、養育費の取り決め内容の債務名義化を促進し、継続した履行確保を図ることを目的に、保証会社と養育費保証契約を締結する際の本人負担費用(保証料)が補助されます。

補助対象は、児童扶養手当を受給できる所得水準、養育費の確定判決や公正証書、調停調書などを有する方、保証会社と1年以上の養育費保証契約を締結している方と条件があります。

保証会社と養育費保証契約を締結する際に要する経費のうち、保証料として本人が負担する費用で、補助金の額は、月額養育費と5万円を比較して少ない方の額を選定し、予算の範囲内で交付するそうです。

そもそもの養育費の法的支援として、公正証書などの作成促進補助金を行う事例、子育て世帯の勤務を支援する企業の表彰制度を行う、訴訟費用の貸付など自治体の事例は多々あります。

質問です。

国や県の施策だけでなく、もっとも市民に寄り添う立場である基礎自治体でできるサポートをしていくという取り組みや事例が多数でてきています。

既に市で実施されているひとり親支援事業で、他自治体でより効果があるものを参考に、事業見直しを含め、保証促進補助金など、新規支援の検討も必要と考えますが、ご所見をお伺いします。

【答弁概要】

全国の自治体の中には、独自性のある「ひとり親支援事業」の取り組みがあるが、現在のところ、市単独事業として新規事業の検討は進めていない。

「ひとり親」として自立した生活を進めていただくために、さまざまな支援施策を知っていただき、活用していただくことは大変重要であると捉えている。「ひとり親」として児童を育てている方へ支給する「児童扶養手当」については、その申請の際に、全員に個別面接。この際に、手当受給のために生活状況等をお伺いし、子育てや生活についての悩みがある場合は、活用をしていただける支援施策のご案内をしている。

また毎年8月、手当受給の継続ために義務付けられている、現況届の提出時にも、全員と個別面接を行っており、それぞれのご事情の変化を聞き取り、適切な支援施策のご案内も行っている。お仕事の都合で、平日の日中の面接に出向くことが難しい方のために、予約制で夜間受付や土曜日、日曜日の休日受付などを実施し、多くの方に利用していただいている。

この面接の機会で、子育てお悩みなどがあった場合は、ケースワーカーや家庭児童相談員の相談支援にすぐに繋げることができるよう、連携して支援を進めている。

適切な支援施策の案内など、様々相談支援をされているとのことでしたが、具体的に契約行為等の行動に移す場合、現実的には、費用に躊躇されることが多くあります。養育費の法的支援を、市民に最も身近な基礎自治体で出来ることをやっていかなければ、本当には変わっていかないんだという動きが全国で広がる中にあって、費用についての支援等、新規支援についても考える時期と思いますので、ぜひ議論を深めていただきたいと思います。

(4)便乗値上げ

子育て関係においては、10月からの幼児教育・保育の無償化での、便乗値上げが問題となりました。認可外保育施設等で確認され、厚生労働省が全国の都道府県や政令市に同様の事例がないか確認し、必要に応じ指導するよう文書で通達しました。

厚労省によると、補助対象となる3歳児以上の利用料だけ引き上げるという施設等が複数確認され、内閣府が設置する無償化のコールセンターにも苦情が寄せられたそうで、理由のない値上げはあってはならないと断じています。

他、報道でも、私立幼稚園で利用料の値上げ、預かり保育の利用上限額をなくす、補助対象となっている共働き世帯に限定して利用料を約2倍にし、補助のない世帯は従来の金額に据え置くなど、根拠に欠ける変更があったそうです。

また、ひとり親家庭では、保育料は免除で変わらないものの例えば主食費や副食費や施設費、延長保育代といった保育料以外の負担が増え、ひとり親支援協会エスクルの調査ではトータルの負担額が増えたひとり親は、18.8%いたそうです。

質問です。

飯能市において、こうした例はないと確認はされていますでしょうか。この制度を利用する飯能市民が、他自治体に通わせていても、そうした便乗値上げはないでしょうか、状況をお伺いします。

【答弁概要】

保育所等の保育料や実費徴収などの利用料を値上げするためには、質の向上を伴うなど、値上げの理由についての妥当性が求められる。

幼児教育・保育の無償化制度の開始と同時期に、妥当な理由のない保育料等の引き上げについては、市内、また近隣市の施設も含め確認したが、該当する施設はなし。

便乗値上げにより、負担が増えたひとり親家庭はないものと認識している。

ないということでよかったです。

引き続き報道や国県の情報収集に努めていただけますようお願いします。

ひとり親家庭の支援をするということは、子どもの権利を守ることであり、子どもたちの健やかな成長を支援することです。

子育て施策に力を入れる飯能市として、ぜひ市民に最も寄り添う立場としての新たな支援が検討されるようお願いするとともに、今後も注目、期待しています。

 

2 税財源の活用と計画行政について

(1)交付金の使途

これまで、市民税や固定資産税といった、自主財源について多く質疑してきましたが、今回は自主財源以外、消費税の増税に伴って増額されている、地方消費税交付金についてうかがいます。

地方消費税交付金は、消費税が10%に増税となることにあわせ、社会保障施策に充てるということで、増額分も各地の地方自治体に配分されています。

消費税の増税自体については、すでに税率について政党として論点を明らかにしているので触れません。

消費増税の使途は今後も増加が見込まれる、制度として確立された年金、医療及び介護の社会保障給付並びに少子化に対処するための施策に要する経費といった、社会保障4経費の財源確保が目的です。

引上げ分については地方消費税収の社会保障分野への充当が明らかになるよう、社会福祉、社会保険、保健衛生のいずれかに関する施策に配分することとなり、飯能市では令和元年度予算で5億6000万円が配分されました。大久保市政においては、子育て世帯や若者の支援に力を入れるとされていますが、地方消費税交付金を他自治体の使途と比較すると、重点は子育て分野以外になっています。

飯能市は児童関連に27%を充当するものの、それを大きく上回る40%が国保と介護と高齢者医療といった、本来各制度で対応しなければならない分野に充当されています。しかし、子育てに重点を置いている自治体では、社会保険分野には充当せず、保育園や学童に50%以上が充てられるなど、重点においては差がみられます。

質問です。

飯能市政では、子育て世代への支援を大きく打ちだしてきました。しかし、子育て関連に重点を置いた配分の自治体と比較すると、優先度は低くなっています。なぜ子育て世代への投資に重点配分ではないのか、どこに重点を置くのか、ご所見をお伺いします。

【答弁概要】

消費税増税に伴い、地方消費税交付金については増収が見込まれているところ。

「地方消費税交付金(社会保障財源化分)の充当状況」については、社会福祉、社会保険、保健衛生の3分野、11の事業区分を設け、各事業ごとの事業費、その事業費の一般財源、地方消費税交付金の充当額及び割合を表示したものでございます。

本市の地方消費税交付金の配分の考え方は、特定分野に偏ることなく、社会保障経費全般に活用させていただいていることから一般財源割合に応じて充当。事業費の対象者数で考えると現役世代である労働人口と高齢者人口は、年少人口に比べ多数であり、社会保障関連経費の割合、その経費に充当する地方消費税交付金の配分割合は高くなる状況。

ただし、多角的に予算、決算における充当状況の推移などにおいては、平成26年度の児童福祉事業の構成比が19.6%であったことに対し、平成30年度では24.8%に5ポイント上昇していること、また事業費に占める一般財源の額は、平成26年度、8億8,000万円から平成30年度、11億7,000万円に133%、3割以上の増額となっている状況であり、法令等により実施しなければならない給付事業等が大部分を占める社会保障経費の中にあって、これだけの増額、充実を図っている状況。

さらには、社会保障経費としての児童福祉事業、予防事業、保健指導事業のほか、学校教育経費の幼稚園、小学校、中学校に係る経費などを合算した「子ども・子育て関連経費」に目を向けますと、子ども一人当たりの経費比較ではダイア圏内トップ、本市は、まさしく「女性と子どもにやさしいまち」であると考えている。

本市は、健康づくりや予防接種、暮らしのセーフティネット、生きがいづくりなど、全世代に向けて「ふだんのくらしの幸せ」を合言葉に、健康福祉のまちづくりを推進している。大久保市長の「市民一人の漏れもない幸せ」こそが、本市の目指す未来の姿であり、ここに通じる経費が「未来への投資」であると考える。

しっかりと社会保障を充実させ、誰もが、この飯能の地で幸せを実感できる生活を営むことができるよう、今後も、重点化と併せて、世代間バランスを考慮し、必要な経費、財源を確保しつつ、事業展開を図っていく。

答弁にあった「地方消費税交付金(社会保障財源化分)の充当状況」について。

まさに大久保市政になった年に、消費税が5%から8%になり、今回10%への増税。H26年からの資料を遡って確認すると、児童福祉事業の構成比は確かに増えていますし、実際にこども医療費やおむつ無償化などの事業が実施され、私も含め子育て世帯はその変化と充実を実感しています。同時に、現実として子どもの数よりも、これからさらに高齢者世代が増えるわけですから、そうした分野への投資も重要です。

しかしながら、特定分野なく、全般に一般財源割合に応じて充当…では、重点化の意義がないことになってしまいます。

総務省が使途を明確にした資料を作成するようにしているのは、社会保障全般に充当するということにとどまらず、地方自治、その独自性を趣旨としているところですので、今後、市として貴重な税財源をどう活用していくのか、どう使っていくのか、ぜひ独自の重点施策を打ち出していただきたいと思います。

また、子ども一人当たりの経費比較ダイア圏内トップというのも、確かに近隣自治体の動向は注視しますし、ダイアの連携は今後増えるものと思いますが、自治体間競争としては県域外も視野に、一人の漏れもない幸せ実現の独自施策を期待いたします。

(2)事業評価

市議会の各審査・審議において、事業に効果測定の数値がない、定量的でない、定性的な判断について、見直しの必要性を指摘してきました。

これは議案の前提となる必要量や、予算に伴う事業の実施結果、質問でも取り上げた学校の教育成果、指定管理者の評価についても同様です。先進自治体の事例を用い指摘しましたが、それぞれの自治体の考え方ということで改善や検討はなされませんでした。

地方自治を所管する総務省は、令和元年11月8日租税特別措置等に係る政策評価の点検結果を公表しました。政策評価の実施はどこも同じですが、政策評価の内容を分析・説明の内容を点検し、結果を各行政機関及び税制当局に通知・公表します。

達成目標、施策の適用数、減収額及び効果の4項目として、政府全体で取り組んでいるエビデンス・ベースト・ポリシー・メイキング(EBPM:証拠に基づく政策立案)を踏まえ、政策目的実現のための達成目標の設定の在り方、目標の実現状況(効果)の把握・予測の定量化、達成目標の実現に対する施策の寄与度の分析・説明状況に焦点をあて、納税者である国民の理解を得る努力を続けています。

政策評価の点検結果は結構厳しく、38件のうち、いわゆる件数分野の分析・説明の内容の改善が図られたが、達成目標の設定及び効果の分析・説明は、いまだ説明責任が十分に果たされていない評価書が合計36件としており、5段階評価でCDEが非常に多くの事業で見られ、事業担当からの補則弁明も詳細です。飯能ではA評価が大半、評価による見直しがあまり見られない状況で、これは大きく異なっています。

質問です。

飯能市の事業評価は、達成目標や効果が定性的表現に留まるものや、実施件数がそのまま評価となるなど、施策による効果が判然としません。総務省方式を踏まえ、分析・説明があるか、定量化されているか、算定根拠等が十分に説明されているか、十分な分析・説明があるかの点から、あらゆる事業評価を見直すべきと考えますが、御所見をお伺いします。

【答弁概要】

本市のあらゆる事業評価を見直すべきとのお質し。「総務省による租税特別措置等に係る政策評価」は、各府省が行った平成31年度税制改正要望に係る政策評価59件の内容を、「達成目標」、「適用数」、「減収額」、「効果」の各項目が、客観的データ・証拠に基づき分析・説明されているかを中心に、総務省が点検したもの。

事業評価の見直し、とのお質しは、事業評価のみならず、政策の立案や検証、住民説明などにおいて、具体的な指標、客観的なデータは重要な要素であり、本市においても最上位計画である、第5次飯能市総合振興計画前期基本計画において、187の目標指標を設定しており、今後策定する後期基本計画の策定過程において、前期基本計画における目標指標の達成度の分析や効果の把握を実施する予定。

「本市ではA評価が大半」とのお質しは、指定管理者の事業評価のことと思われるが、本市の指定管理者制度の事業評価は、「指定管理者制度事業評価マニュアル」に基づき、事業評価シートを活用して、提供されるサービスや管理運営方法について、仕様書等で定められた水準が満たされているか履行確認を行うことで事業の実績を評価し、改善事項がある場合には業務の改善を図ることなどを目的として、成果の検証・評価を行い、課題の把握と分析により今後の運営の改善につなげているもの。

本事業評価における総合評価は、S(優良)、A(妥当)、B(課題あり)、C(要改善)の4区分となっており、本事業評価を行った結果、多くの指定管理者制度導入施設の評価はA(妥当)となっており、A評価である場合であっても、今後の更なる利用者サービスの向上、収支改善等に向けた検証を行っているところ。

指定管理者は、施設ごとに適正のある団体を選定していることはもとより、日々のコミュニケーションにより、小まめに報告・連絡・相談できる体制をつくり、事業者との信頼関係の構築や小さな業務改善を日々積み重ねながら、市と指定管理者とが共に市民サービス、お客様満足度の向上に努めているところ。その成果が、年に1度の事業評価において、多くの指定管理者がA評価であることに寄与しているものと認識している。

187の目標指標ということですが、成果としてどう市民にメリットが現時点あったか、本来の目標達成が見えないところであります。

もう一点。

EBPMを導入し、政策の目的や達成目標の設定には、課題を特定してその解決に向けた目標を設定し、その達成を目指すロジックを構築して統計等データの合理的根拠に基づき検証、反映する事が必要だと考えますが、ご所見をお伺いします。

【答弁概要】

平成30年10月に総務省が作成した「EBPMに関する有識者との意見交換会報告」によると、EBPMが求められる背景には、これまでの政策決定において局所的な事例や体験が重視されてきた傾向がある、または、過去からの慣行で行われてきた政策の中には本来の目標達成のための実効性に欠けるものも多いという認識があることから、限られた資源を効果的・効率的に利用し、行政への信頼性を高めるような政策形成の在り方が求められる、とされ、このことは、国のみならず本市においても同様であると考えている。

第5次飯能市総合振興計画や各種行政計画においては、目標指標を設定し適切に評価を行うこととしており、これはEBPMと同様の考え方によるものとなっている。

一方で、先の総務省報告にもあるとおり、統計等のデータのみに基づいて評価を行うことは必ずしも馴染まなかったり、効率性とは別の視点で捉えるべき政策もあり、国においても、EBPMの取組については様々な試行錯誤が行われている段階。

こうしたことを踏まえ、EBPMの考え方も含め政策目標の達成と適切な評価に引き続き取り組んでいく。

EBPMと同様の考え方ということなので、現時点のEBPMで次年度予算への動きがどうなるか注視していきます。

(3)メッツァ出資と支出効果

メッツァ開業から1周年。民間事業者の開業について、道路渋滞など市民への影響以外には、経営について何ら指摘する事項はありませんが、事業への出資や、同施設に関連する道路工事など、寄附金も含め、公金を投入したことから、うかがいます。

先の事業評価を念頭に置くと、出資や工事の支出による効果がどれくらいであるか、算定が必要となります。まだ開業から間もないので、成果というより目標値の有無が重要と考えます。総務省の対応方針では、政策の企画について、政策証拠に基づく政策立案し、実行するべきであるとの考え方です。

出資や関連事業を行うのであれば、評価をしなければ、支出の判断が適正かの判断できません。

質問です。

事業評価や支出の成果について、目標値の設定はありますでしょうか。ある場合には、その目標はどのようなもので、成果はどれくらいの期間で達成し、税金の出資や工事に費やした税金は回収できるのか。設定がない場合は、何をもって評価するのか、お伺いします。

【答弁概要】

メッツァ出資と支出に関する目標については、まず何よりも、フィンランド本国以外で、世界に一つしかないムーミンのテーマパークが、本市にできたということは、本市の認知度やイメージアップなど限りない、夢と希望を与えてくれた宝物である。

この唯一無二の宝物、メッツァ、ムーミンバレーパークのオープン、また、安定した運営がなされるようにしていくこと、メッツ開業の効果を全市に波及させていくことこそが、本市が出資した意義、大きな目標。

商店街へのアンケートにおいて、不動産業、宿泊業、飲食業など、メッツァ開業の効果を実感しているとの回答、着実に波及効果が出ており、大きな目標を実現していると考えている。

具体的な目標は、例えば、「まち・ひと・しごと創生総合戦略」では、メッツァの立地、開業を見据え、具体的な目標を掲げて、政策の総動員により取り組んでおり、入込観光客数400万人の目標に対しては、平成29年が269万5千人、平成30年が315万人、と大きく伸びており、さらに、本年は1月から6月末までの半年間で202万人。

人口社会増減数プラス・マイナスゼロの目標に対しても、事業者アンケートで不動産業者から大きな効果があるとの回答。平成28年からはプラスに転じ、平成31年1月から令和元年11月末までで、284人もの転入超過という状況であり、大きな成果を上げている。

市では、世界的にも注目を集めるメッツァ事業が、オープンすること、誰もが無料で利用できる公園的機能を有する施設であること、大きな経済波及効果を生み出すことなどに鑑み、1億5千万円の整備費負担金と、特別目的会社 飯能地域資源利活用合同会社に対する出資金5千万円を支出したものであり、現在のところ、公共性、公益的な効果を十二分に発揮しているところ。

なお、出資金の回収の確実性については、年5パーセント250万円の配当、出資期間35年間の予定であり、出資先の会社の性質上、ムーミンバレーパークの運営の状況に左右されることなく配当がなされるものであり、将来にわたってしっかりと分配される見込み。

何もなかったところにあれだけの施設が新たにできたわけですから、市民のみなさまには期待があり、当然効果はあるものというのを前提にうかがっております。私もよくメッツアにいると目撃されているようですし、多くの市民の方にとって嬉しい話題でありますが、同時に、年5パーセント250万円の配当、出資期間35年間ということで、今後、飯能地域資源利活用合同会社や運営事業者直接の追加出資はないか、無配転落の懸念はないか。失敗事例ではテコ入れで追加出資し全損の事例もあり、不安や心配の声もまた現実にあるわけであります。続けてうかがってまいります。

(4)通期赤字と低迷報道

9月の市議会終了後である令和元年10月7日、株価急落、ムーミンパーク想定以下に通期赤字に減額という報道がありました。要点は、「前営業日比24.48%安の74円で推移し、年初来安値96円を一気に更新。10月4日に令和元年9月期の業績予想を減額修正し、営業損益は従来予想の5億1000万円の黒字から16億3100万円の赤字に転落。非開示だった最終損益は15億4100万円の赤字の見通し。夏場に多くの来場者を見込んでいたムーミンバレーパークが、天候不順などの影響で計画を下回ったことが響いた。従来、未定としていた期末配当は無配を継続する。」というものでした。

これを受け、市民の方々に大きな動揺が広がり、多くの問い合わせを受けました。大丈夫かなど心配する声が多く、今回質問として取り上げた次第です。運営側の報道発表では、「シルバーウィークには、お出かけキャンペーン等の効果もあり、来場者数は回復。今後も、秋から冬に向けて様々なキャンペーンやイベントを計画、準備しており、集客の強化に努める。

開業初年度で運営実績がないため各種事前調査・検討に基づき事業計画を策定して連結業績予想に織り込んだが、実際は夏場に予想と乖離が出た。今後は、1年間の運営実績に基づいた、より合理的な事業計画を策定して収益費用をコントロールしていく。」とあります。

民間事業者として対策をしており、これに異論はなく、成果を以後の4半期決算で確認してくものです。ここで、市としては、事業に出資している以上、出資者としての対応が必要になります。

質問です。

まず、この業績予想を受け、事業者から報告を受け、改善への話し合い等をされましたでしょうか。

【答弁概要】

通期赤字、事業予想については、メッツア運営事業者の親会社であるフィンテックグローバル株式会社の通期の連結決算業績予想における情報のこと。株価はフィンテック社の株価、営業損益は本業である投資銀行業務や関連会社を含むフィンテック社の連結に係る数値であり、ムーミンバレーパークそのもの数値ということではない。

ムーミンバレーパークについては、開業初年度で運営実績がない中、各種事前調査等による予測や、本年3月のオープン直後の賑わい、10連休であったゴールデンウィークでの大変な賑わいが継続されるといった見込みにより、事業予想を大幅に上方修正しスタッフの増員なども行い経費をかけた中、夏場の天候不順等により上方修正した売上には届かなかったというもので、入場客数、売上等については、順調であり、メッツァの運営が低調であるということはないと聞いている。本市としても着実な運営がなされていると考えている。

株式会社ムーミン物語とは、毎週、運営面や今後の課題などについて、社長、役員の方々との打ち合わせを実施しており、情報共有とともに、よりよい運営、本市の地方創生に資する事業展開について、絶えず協議を行っており、今後とも継続していく。

なお本市からの出資金は、ムーミンバレーパークの不動産を保有する飯能地域資源利活用合同会社に出資したものであり、メッツァ運営事業者であるムーミン物語やフィンテック社に出資したものではない。

【市長答弁 概要】

飯能市がメッツァでどれだけ湧いたか、売れたか。
新聞、報道、相当の方にオファーがあった。
メッツァがなければと考えると恐ろしい。住んでよかったと思う飯能。多くの人が喜んでいる。
飯能をどうやって売るか。
石橋を叩いて渡った出資であった。これがなければ、メッツァができなかったかもしれない。
それを今更、そんな悲観的な事を言うのか。そんな事をしていては、株価はどんどん下がる。
みんな喜んでいる。経済効果もあった。
さらには、ムーミンだけでない、ピクルスもできる、メッツァの成功なくして、他の民間の参加はあり得ない、飯能の発展はあり得ない。市長として、日本一の飯能をしっかりとやっていく。

市長のご見解が聞けたのは、市民の方にとってよかったと思います。

今更、悲観的な事を言うのか…につきましては、市民の方から不安や心配の声があるのも事実ですのでうかがっております。いずれにしましても、市長の直接のご意見が聞けてよかったと思います。

また、毎週、協議があるということで、よかったと思います。継続されているということでそれは市民の皆さまも安心と思います。

続けます。

出資者である以上、資金が最終的に回収できるよう、対応が必要です。

低迷報道は止められるものではなく、今後よくなるという将来像を出し、ネガティブな印象を払拭する必要があります。

ムーミン関連では、松屋銀座が新規事業としてグローバルライセンスを取得して参入し、第1弾はブルガリと共同でチョコレートを販売するそうですし、ムーミン谷のなかまたちシーズン2が新年から放送決定になったことなど、良い材料は、関連分野の関心を持ち、出資金回収にむけ、努力が必要なところと考えます。

質問です。

市民が不安を抱くような低迷報道、ネガティブな情報に対し、市はどのように対策しているのか。税金を追加投入しない範囲での広報や企画など、公金支出した公の団体としての責務について、ご所見をお伺いします。

【答弁概要】

昨今、SNSの更なる普及により、誰もが情報を発信、拡散できる社会となっている。一方で、情報リテラシーの欠如により、誤った情報を無責任にも拡散し、風評被害を及ぼしているという事例が数多く見受けられる。その誤った情報を一つずつ訂正や誤解を解いていくことは困難な状況。

市としては、市民の皆様に正しく情報を発信し、そして発信し続けていくことが肝要と考える。メッツァの賑わい、運営状況やイベントの状況など、広報、ホームページなどを活用し、メッツァの運営にご理解、ご協力をいただけるよう発信する。

世界で一つの宝物を、さらに磨きをかけ、皆様から愛され、そして本市の地方創生に資するようなパークづくり、賑わい創出に向けてメッツァ運営事業者であるムーミン物語社と協力していく。

3 土地開発公社の今後について

(1)長期保有土地の解消

飯能市の地価は最新の地価公示価格を見ると、厳しい状況であることがわかります。バブル期は埼玉県平均と同等もしくはやや高い価格推移をしていましたが、平成12年頃から埼玉県平均は下げ止まりました。しかし近隣市では、上昇する地点もある中で飯能市の地価は下がり続け、西武池袋線沿線の平均地価、八高線沿線の平均地価を下回って長期低落傾向にあり、今は埼玉県平均より四割近く安く、資産価値が大幅に減少しています。

国立社会保障・人口問題研究所が発表した飯能市の人口減、今後の少子高齢化により需給バランスが悪化し、土地価格がさらに弱まる可能性が高く、今後の大幅な価格上昇は現実的でないとの見解も見られます。

長期保有の土地に関しては、国が、土地開発公社の保有土地に占める長期保有土地の割合が増加傾向にあり、各自治体の土地開発公社の経営環境が厳しく、平成25年、土地開発公社経営健全化対策措置要領を取りまとめました。

既に埼玉県内でも、土地開発公社からの土地の買い戻しが相当期間遅れ、長期保有土地の金利負担の増加により簿価が膨らんでいくという状況にピリオドを打つため、市長の決断により買戻しで損失を確定、土地開発公社を解散したところもみられます。飯能市の計画では負担を続け、令和4年での解散を予定しています。

京都市では、1993~94年度に約31億円で先行取得したものの、想定より市街化が進まず手つかず塩漬けの土地について、利息含む総額約50億円で来年度に買い戻し、売却する方針を固めたそうです。路線価参考売却額は推計約7億円、損失は約43億円に上る見通しですが、決断したそうです。

質問です。

長期保有土地の解消について、現時点の金利・債券市況の長期金利であれば、令和4年度の解散まで順次買戻しや売却ではなく、来年度予算での早期解消を果たしたと仮定した場合、行革効果額はどれくらいと見積もれるでしょうか。

また、令和4年度の解散を前提とした場合、簿価と路線価参考売却額の差はどれほどと見積もっておられるでしょうか、減債基金の使用状況も併せてお伺いします。

【答弁概要】

長期保有土地の解消については、令和4年度を目途とした土地開発公社の解散に向けて処分を進めているところ。早期解消を行った際の行革効果は、現在、飯能市土地開発公社は帳簿価格で、約17億3千万円あり、解散までの間、売却を進めた場合、その分帳簿価格からの減額が望めるため、令和4年度まで売却や買戻しを行ったほうが効果は高いと見積もる。また、簿価と直近の近傍価格で計算した売却額の差は、約11億4千5百万円と見積もる。ただし、この金額は、令和元年度に行う市の買戻しや公社が保有する土地の民間売却がなかった場合であり、買戻しや売却を行うことで減少する。

減債基金の使用状況は、減債基金からは、4億円の借り入れを行っている。内訳は、飯能市廃棄物処理施設整備基金と飯能市公共施設整備基金からの借入先の変更。

簿価と直近の近傍価格で計算した売却額の差は、約11億4千5百万円ということでした。続けてうかがいます。

(2)公社の解散計画

土地開発公社の解散について、他自治体で、わかりやすい記載がありました。用地取得や移転補償などの借入金元金に利息や維持管理費を毎年計上したものが簿価になり、それを金融機関へ公社に代わり市が借入金残額を返済し、公社から公社所有地を代物弁済として受領し、差額の債権を放棄という形になった事例です。

他の事例でも、人口減など事業用地として利用される可能性の低さや、希望額での民間への売却が困難な土地が多数など、課題が多くみられました。しかし、借入利息の金利負担を考えれば、無償や貸し付けた塩漬け土地に係る借入金は重く、返済による損失の拡大を抑制することが優先されていました。こうした事例を参考にすると、いかに遅延なく計画が進捗しているかが重要です。

質問です。

飯能市の土地開発公社の解散に向け、市の再取得や公社事業の整理及び縮小のロードマップにおいて、遅延している分野はいくつあり、金額面でどれほど影響が出ていますでしょうか。

【答弁概要】

平成25年2月に作成した「飯能市土地開発公社の経営健全化計画」と現状の進捗状況を比較で、平成30年度末で、約6億円の差額。現在、処分できる土地は処分を進めているところだが、帳簿価格と実売価格の差額が高額であるため一般的な土地の売買のようには進まないことや、土地の売却に向け、広告等をおこなっていますが、なかなか土地購入希望者のニーズと合致しない。

公社事業の整理縮小は、非常に重要なこと。今後は、市として一丸となって早急に解消できるよう努力していく。

平成30年度末で、約6億円の差額、帳簿価格と実売価格の差額が高額である、購入希望者のニーズと合致しないとあるが、引き合いは多いのかどうかですね。

引き合いが多いならよいのですが、少ないならば、市場価格での損失確定を決断し、処分を先行させるべきでは、という検討も必要になってくるかと思われます。

現状は、様々努力をされているということは聞いておりますので、引き続きよろしくお願い申し上げます。

もう一点うかがいます。

解散においては土地を現状貸している場合、賃貸借契約が土地の処分の障害になりかねません。

質問です。

保有する土地の一部は現在貸していますが、契約年限はそれぞれどのようになっていますでしょうか。市が買い戻す場合においても、支障とならない形態になっていますでしょうか

【答弁概要】

一部土地の貸し付けは、契約はそれぞれ1年契約。飯能市が買い戻す場合において、既得権等から立退料が発生することがないよう、契約書の内容に立ち退きに関する規程を定めるとともに契約更新時には当事者へその規程について説明を行っている。

期限も迫る中で、多岐にわたる対応が必要で、ご苦労されるところかと思いますが、よろしくお願い致します。

(3)買い戻しと売却

土地の取り扱いについては、市による買戻しと売却が考えられます。他自治体でも、現在事業中であり取得計画のある土地は、市が買い戻します。明確に市の事業で予定がある場合や、特定財源として国庫補助金や事業債等が見込まれることで、事業のタイミングに合わせて、当初用途で市が買戻します。これ以外にも、自治体によっては、用途を変更したうえで、事業目的を得て買い戻す事例もあります。

事業用途がなく、国庫補助金などの特定財源が見込めず、一般財源で計画的に買い戻すものもありますが、これは買い戻す根拠がなく、売却せねばなりません。

簿価との差額は買い戻しでも売却でも損失は同様に確定されるものであり、差はありませんが、民間に売却した場合、次年度以降固定資産税や都市計画税等の税収が見込まれます。

買戻しを予定している土地についても、今後の予定が確実でないものがあり、保有を続ける必要性に疑問があります。

質問です。

買戻し対象について、明確に事業用途がある、もしくは用途変更で事業目的が明確にできないものは、売却すべきと考えますが、ご所見をお伺いします。

【答弁概要】

令和元年度以降の新たな買戻し対象について、土地の取得目的であった事業が計画変更や中止となり、事業目的が明確にできなくなったものは、売却すべきものと考える。今後、令和4年度を目途とする解散に向け、公社が保有する土地の売却のための準備を進めていく。

最後の項目です。

(4)情報公開の再拡大

土地開発公社の市民向け広報について、今年公開手法が変わり、明らかに情報の密度が落ちたという指摘がありました。確認すると、広報はんのうの9月号において、昨年まであった債務負担行為の一覧から、土地開発公社が抜けていました。飯能市情報公開条例では、第26条で公社等の情報公開として、飯能市土地開発公社は、それぞれの保有する文書の公開に努めるものとする、とあります。

質問です。

市が持っている情報は、市民の共有財産であり、広報はんのうにおいて情報量を削減する根拠はなく、紙面の工夫や時期をずらすなど対応して今まで通りの情報を載せる必要があると考えます。公開記事削減の判断基準と削減の承認権限の点も含め、ご所見をお伺いします。

【答弁概要】

ご指摘の広報掲載記事は、財政事情の公表とのタイトルで年2回掲載しているもの。広報の紙面3ページを活用しまして、市民の皆様に納めていただいた税金、地方交付税、国庫支出金などがどのくらい入ってきたのか、どのように使われているのかなど、分かりやすさを重視した公表に努めている。

土地開発公社の債務負担行為については、限度額を金額から文言に補正したことから債務負担行為一覧表から表右側の説明書きの欄に移行させたものであり、削除したものとは考えていない。

また、土地開発公社債務負担行為の限度額については、参考限度額を予算参考資料等に掲載しており、ホームページ等でも公表している。

表をみると抜けていると指摘がありましたが、こちらに記載があったということでした。

これは本当に、私が目を皿のようにしてチェックをしたわけではなく、市民の方からのご指摘でございました。

ご答弁に、土地開発公社債務負担行為の限度額は、参考限度額を予算参考資料等に掲載とのことでしたが、ホームページを見られない方も少なくありません。

市民の皆さまが、市の財政について関心をお寄せ下さる事は、大変、市の発展につながることと考えますので、ぜひ引き続き、よりわかりやすい財務事情の公表を期待しております。