ムーミン谷の自然と哲学

第43回 図書館のつどい
平成31年3月2日(土)

飯能市立図書館で開催された第43回図書館のつどい。
今年は、元講談社編集者でムーミンを担当されてきた、横川浩子氏をお迎えして
「ムーミン谷の自然と哲学」と題した講演がありました。

ムーミンの編集担当を30年間務め、生前のトーベ・ヤンソン氏との親交もあった横川先生。
ヘルシンキのアトリエや、トーベが毎夏を過ごした島、ムーミン美術館などを実際に取材されたお話を交えつつ
ムーミン作品小説9冊、絵本4冊について、詳しく解説がありました。

私も、小説9冊については、子どもの頃に読んだ作品あり、また、
飯能にメッツアが出来ると決まってから、あらためて全作品を読みましたが

書かれた当時の時代背景やトーベの状況などよく知られた内容以外にも
フィンランドのこと、トーベのプライベートな生活
作品を通じて、作者の変化と登場人物の変化など
知らなかったこともたくさんあって、またあらためて、ムーミン全作品を読みたくなりました。

そして、フィンランドに行ってみたくなりました。

「ムーミン谷の夏祭り」がいかにいきいきと夏の美しい自然が描かれているかを知ってはいても
白夜の国、オーロラのの国、その四季の変化を実際に行って、感じてきたら
作品はまた違った輝きを放つでしょうから。

スナフキンが70年も前からすでに、モノを持たない生活をしていて
これぞまさしく、断捨離やこんまりといった今のトレンドを先取りしていたかも、とか

ムーミンパパとママの夫婦間の関係性の変化やムーミンの成長、ママの心の中など
先生の解説で、なるほど、わかるわかる…と物語を思い出して、もう一度ムーミンの世界を旅しているようで
とても密度の濃い時間となりました。

私が特に印象に残ったお話を。

トーベの世界観に、共通すること。
ムーミン屋敷にはカギがなく、誰でもいつでも受け入れて、好きに自由に暮らす。
これは、フィンランドの「自然享受権」という考え方にも通じているのではと。
例えば、他人の庭に誰かが入って、実ったベリーを摘んだとしても、トラブルにならない。
人には自然を享受する権利があり、
そこになわばりをつくらず、相手の良心を信じるのだそうです。

資源のないフィンランドでは、国をあげて人にお金をかける政策をとっています。

自由な考えで自立した学びを大切にする小学校からの教育を受けた
その子どもたちが次の国をつくる。

このあたりは、フィンランドから学ぶところがあるのではないか、というお話でした。

飯能にも共通すると感じます。

四季折々に美しく、自然が豊かな飯能に誰でもやってきて
好きに自由に暮らしていく。

人や教育に投資をして、その子どもたちが次の飯能をつくっていく。

飯能市が、中山間地域として、山にお金をかけ
子育てや教育に手厚い政策をとっていくのは
間違っていないと私は考えています。

そこになわばりを作らず、人が自然を享受する権利を実感してもらう。

私自身、好きで飯能に移り住んできて、子育てもして、
たくさんの方々に、私も子どもも会社も育てていただいてきて
議会や選挙においては「地の人間じゃない」「飯能を知らない」「バックがいない」等々言われて。

悩んだり迷ったりもしますが、ムーミンから教えられるのは
間違ってはいないかな、ということです。