一般質問全文と答弁概要【市財政と債務や事業の今後・公用車の活用】

令和3年6月17日(木)
改選後最初の一般質問に登壇しました。

今回は、これまでも取り上げてきた行財政改革をテーマに
市財政と債務や事業の今後と公用車の活用についてうかがいました。

以下に、全文と答弁概要をご報告いたします。

ケーブルテレビ放映予定は
6月24日(木)20:00~
です。

1 市財政と債務や事業の今後について

(1) 新型コロナウイルス感染症による税収減について

長引く新型コロナウィルス感染症の影響は深刻です。
各自治体では、新型コロナウイルス感染症による影響を踏まえ、国の支援や基金の取り崩し、起債による補填が相次いでいます。総務省の試算では、全国の今年度の財源不足は10兆円を上回るとの試算もあり、厳しい財政運営が求められています。法人関連が特に厳しく、減収幅はリーマンショック時を上回り、例えば、福岡県では職員のボーナス減額や北九州空港への助成など、複数の事業を見直しましたが、不足は解消しないそうです。広島県では減収幅を踏まえ、当初予算の減額補正も三度行われています。

質問です。
飯能市では、財源不足についてどのように考えておられるでしょうか。
当初予算にない起債は必要なのか、各種団体への助成を減らす予定があるのか。市のご所見をお伺いします。

総務省による地方財政対策、全国の令和3年度財源不足額は10兆1,200億円程度との見積もりは、地方交付税、臨時財政対策債の額を検討する中ではじかれた額。
地方交付税の5.1%の増額、臨時財政対策債の74.5%の増額などで、この地方財源は既に確保済み。
地方交付税は地方固有の一般財源であると考え、既に本市の当初予算において、地方交付税及び臨時財政対策債の増額を見込み成立しているので、財源確保されたものと考える。

地方債については、事業進捗に伴う事業債、または臨時財政対策債を見込んでおり、昨年度、補正予算により起債した税収減に伴う減収補てん債は見込んでいない。
すでに市税収入見込みを前年度比3.3%、4億円の減収で見込んでおり、今後、これ以上の減収が推計された場合には必要に応じて検討する。

各種団体への助成、補助については、財源が厳しいので減額する、といった考えはなく、目的の達成度合いや団体活動の存続・継続性の担保、団体の自主・自立性の方向性といった様々な観点を考慮し、助成の在り方を検討した上で、拡充、発展、廃止、縮小などの方向性を決定していく。

「すでに市税収入見込みを前年度比3.3%、4億円の減収で見込んでいる」との答弁がありました。
今年度が始まり、既に3ヶ月目に入っていますが、現時点での月次で予定されている収納率と、実際の収納率はどの程度なのか、市税全体でどのような状況なのでしょうか。おうかがいします。

令和3年度の当初予算編成では、新型コロナウイルス感染症の影響などを勘案、4億円の減収を見込み、市税総額118億8,237万9千円の歳入予算を計上。
令和3年5月末現在の収納率は10.1%、前年度同時期の9.6%に対し0.5ポイントの増。収納額で約4,200万円の増という状況。
収納率でみた場合、順調に推移していると判断。
昨年度も、令和元年度と同率の97.9%を確保することができた。本年度も、基幹財源であるという認識の下、税収の確保に努める。

もう一点うかがいます。

「税収減による減収補てん債は当初予算として見込んでいない」との答弁がありました。

更なる減収が見込まれた場合には起債を検討するとのことでしたが、どの程度の額で検討を進めるのでしょうか。具体的な金額または減額割合などがあるのか、うかがいます。

令和2年度に起債した減収補てん債は、普通交付税算定による基準財政収入額を下回っているかなどの起債の条件がある。
例年、7月に普通交付税が算定され、その時点で基準となる額が示される。現時点では当初予算額を下回る見込みとなった時点で検討を開始。

⑵ 基金の枯渇

この基金につきましても、大きく再考が必要です。後の質問でも触れますが、基金が枯渇する自治体や数年内に枯渇する自治体が既に出てきており、飯能市でも同様の懸念があります。

以前からこれについては指摘を申し上げてまいりました。

飯能市の財政調整基金は、災害や緊急性の高い事業があった際、市民の生命と財産を守るために、目途として17億円のところ、そこまでの積み立てはできておらず、なんとか10億円を確保している現状です。年度途中の見込み額では、10億を下回る数字もでておりました。
今回は令和3年度についてうかがいます。
今議会上程の補正予算では大丈夫そうですが、今後の基金の状況は、枯渇の懸念もあります。

事例としてあくまで一例ですが、宮城県涌谷町では、財政非常事態宣言において、明確に財政調整基金で補うことが続き、今後の収支動向で、2年後に基金が枯渇すると表明しています。

全国のこうした現状を踏まえて、質問です。
今年度、今回の補正予算成立後の財政調整基金の積み立てはどのように考えており、今年度及びこの先数年間、取り崩しが超過して残高がなくなるようなことはないと明言いただけるのでしょうか、お伺いします。

財政調整基金は、標準財政規模の1割程度、およそ17億円程度が基準となる残高。令和元年度末、10億9,900万円の残高、最近では平成22年度、平成29年度に続き11億円を下回った。
財政調整基金は、年度間の財源調整の機能を果たすとともに不測の事態に対応する財源の機能がある。
最近では、令和元年度での台風災害における復旧対策、昨年度から続く新型コロナウイルス感染症対策など平時とは違った不測の事態への財源対応を行っており、まさしく財政調整基金としての役割を十分に果たしていると考えている。

今回の補正予算後の財政調整基金の見込みは、令和2年度収支が確定したことによる繰越金や他会計からの返還金などからの積立が考えられる。他の基金とのバランスを考慮しつつ残高を検討していく。
将来的に枯渇しないよう、また一方では増加の一途をたどることがないよう、行政の継続性、市民ニーズと事業立案のバランスを重要視していく。
これまでも残高は増減を繰り返してきた経緯があり、数年の残高だけを切り取ることなく、中長期的な視点の中で運用していきたい。

「数年の残高だけを切り取ることなく、今後も見据えた中で運用していきたい」との答弁がありました。
現市政での減少が続いています。これは推移から明らかです。市政運営として適正かを問うているもので、ここ数年の残高だけを切り取るということではなく、市政運営で基金依存がないかと言う点で指摘をしています。

今年度、現時点で財政調整基金の残高はどうなっているのか、令和2年度からの繰越金の見込みはいくら程度なのか、令和3年度末の残高見込みについて、おうかがいします。

出納整理期間と今年度当初予算分の取り崩しにより、現時点、令和3年6月1日現在の残高は5億2,000万円。
令和2年度からの繰越金、令和2年度の収支状況は、昨年度の形式収支10億6,600万円、実質収支額9億500万円を上回る見込み。昨年度よりも基金に積み立てることが可能であると見込んでおり、10億円を確保できるものと考える。
年度間調整機能、不測の事態への対応を果たすことが可能な残高を確保し、財政運営に活用していく。

(3) 事業の取りやめ等見直しについて

県内でも、新座市は、今年度、財政調整基金を全額取り崩してもなお、必要な予算が25億円足りず、約三億円の事業を廃止または、削減するそうです。市民向けの事業も見直しはすすみ、障害者手当の月額を減らさざるを得なくなり、高校生の通院医療費の無償化を外すなど、福祉や医療も削減、苦情を受けるオンブズマン制度も廃止されました。既に昨年財政非常事態宣言を出していたこともあり、市民からの再考を求める署名もあったものの、踏み切らざるを得なかったそうです。

これは新座市だけの問題ではなく、全国的に起きています。荒川区は再開発のホール整備事業を断念し、熱海市も市単独の新規公共施設建設事業を原則先送りしています。前橋市では、市長の選挙公約であった高校生の医療費無償化について、通院費は見送ったそうです。

熊本市では、熊本地震を踏まえた断層危険度調査や、耐震性不足の本庁舎整備検討費などの1億円以上全て減額し、昨年度約56億円を減額補正しました。
熊本県も豪雨、地震、コロナにより財政調整基金が枯渇し、今年度は約60億円の財源不足、道路や橋などの独自事業は20%以上減らしました。

南海トラフ地震を警戒する西伊豆町は約6億円の津波避難タワーを兼ねた施設が、議会で否決されました。長野県も台風被害の災害復旧に経費がとられ、今年度の財源不足約140億円はその他の事業を見直していくそうです。

全国のこのような状況を踏まえうかがいます。

今年度当初予算に示された各事業や公共事業について、今年度内または来年度から市の独自事業について見直しを進める予定はあるでしょうか、ご所見をお伺いします。

財政非常事態宣言を行った市町村は、埼玉県内では新座市のみ。新座市が財政非常事態宣言を行った経緯は、既に平成20年度前半から毎年度の予算編成において大幅な財源不足が続いており、財政調整基金等で補てんせざるを得ない状況が続いていたとあり、新型コロナウイルス感染症拡大による影響のみではない。

他の市区町村や県の事例もあったが、それぞれの自治体によって、財政規模、行財政の運営方法、実施している独自事業、県と市の役割の違いなど固有の事情が異なり、一概に比較することはできない。

本市としては、実施計画策定過程、予算編成過程を通し、毎年度、事業の目的、実施方法、効果、必要性など十分に検討、見直しを行い、中長期的な視点、財政規律なども十分に踏まえ、本市にとって必要な事業について必要な予算を計上している。

また、積極的な企業誘致、県内トップクラスのふるさと納税の取組、浄化センターでの太陽光発電事業の実施など、自主財源確保策に積極的に取り組み、大きな成果を出している。

全職員が危機意識を強く持ち、新型コロナウイルス感染症対策としてどのような事業が必要なのか十分に見極めるとともに、今までの実施してきた事業については、聖域を設けることなく必要性等についてさらに検証し、加えてさらなる自主財源確保に取り組んでいく。

事例をいくつか示しましたが、それは単なる比較ではなく、ここから見えてくるのは、各自治体が覚悟を決めて事業の優先順位を定めていることです。経済回復はすぐに起きるわけではないため、厳しい財政運営が全国的に、今後も当面続くのが明確です。
続いてうかがいます。

(4) 財政危機の見通しに基づく事業存続、見直しの優先順位について

宮城県涌谷町では、公共施設の運営見直し、各種補助金を削減するとしております。静岡県裾野市の財政非常事態宣言では、総人件費の抑制、独自事業全般の見直し、公共事業の総量抑制も列挙しています。

大阪府堺市でも毎年度30億から50億円の収支不足が続くため、財政非常事態宣言に基づく歳出削減の改革を行っています。

質問です。
飯能市において、歳入が不足した際、事業を取りやめる順位は決めているのでしょうか。
早急に検討を進めておかないと、実際に不足が生じた時に、突然影響が市内各所にわたる懸念があります。こうした優先順位のあり方を含め、財政の非常事態宣言を出し、危機感と覚悟をもって財政改革を進める必要はないでしょうか。ご所見をお伺いします。

実施計画、予算に計上している事業については、すべて必要な事業、予算であり、不測の事態に備え取り止める事業の順位を予め決めておくといったことは行っていない。

昨年度、12月定例会上程の一般会計補正予算第8号では、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により中止、縮小した事業は27事業で、額にして約5千7百万円を減額。
財政調整基金を財源とした予備費のからの充用で必要な予算を確保し、柔軟かつ迅速な対応を取った。
また、大規模災害等の非常事態が生じた場合の業務の優先順位という意味では、業務継続計画、いわゆるBCPを策定しており、市民生活に直結し最優先で継続しなければならない業務と縮小・休止する業務について予め定め、毎年度、見直しを行っている。
業務継続計画では、応急対策又は維持・継続する業務として  204業務、縮小・休止する業務として526業務を定めてある。

以上のことから、歳入に不足を生じた場合に備えて予め財政非常事態宣言を出しておくという考えは、本来の趣旨とは異なってくると思われ、また、本市の実情からみて、現時点では、そのような宣言を行う必要はないと考えている。

財政運営の厳しさは、全国の自治体、人口規模の大小にかかわらず、深刻です。
事例としてあげました堺市は、政令指定都市でありますが、徹底した歳出削減を行っていまして、ここは所属政党・維新が首長と最大会派ですが、事業や各種団体への補助の見直しは、非常に厳しい声をいただくと聞きます。次は選挙で落とすからなといった声です。
それでも、覚悟をもって、歳出削減を行っていて、ただ削減には限界もあり、財源の確保にも尽くす。
その危機感と覚悟を、広く理解・協力いただいて実行するための方法の一つが非常事態宣言であるとも考えます。

市民が期待する成果・満足度の向上と行政経営の全体最適化の実現が、基金を使って何とかやりくりでは、基金が減るままであり、
現状の赤字を先延ばしにしているのではないか。

前年度繰越金を毎年度、当初予算に計上ということについて、繰越が出なくなったら一気に危険水準になるということにならないのか。

最後におうかがいします。

(5) 赤字決算の可能性について

阪南市では、市税の減収、もとよりの人口減少と高齢化により、社会保障関連経費の増大に加え、公共施設老朽化の修繕経費の確保が課題となっています。ここに新型コロナウイルス感染症の拡大による影響が重なり、令和四年度末以降は赤字決算が続く見込みとなりました。
現実にこのような自治体が出てきているのが現状です。

質問です。
飯能市において、赤字決算になる見込みはあるのでしょうか。飯能市では、何億円、どの程度の額での黒字を確保して、赤字決算を抑止できるのでしょうか、お伺いします。

本市では第6次行政改革大綱において、平成28年度から令和7年度までの10年間の収支シミュレーションを実施し、累積赤字になるような事態・状況を打破するため、財源確保・獲得策、歳出抑制策を講じてきたほか、実施計画の見直しに当たっては3年間の財政計画、税収計画を推計・策定してきた。

これらに基づき、収入面では、財源確保に注力しつつ、支出面では、最小の経費で最大の効果に繋げられるよう日々の改善を怠らないなど、オール飯能、オール飯能市役所で取り組んできた結果が黒字決算という結果に繋がっているものと考える。

黒字確保額とう観点では、前年度繰越金を毎年度の予算に計上しており、この金額が最小目標額と考えているところから、赤字決算の可能性は全くない。

 

2 公用車の活用について

(1) 稼働状況による見直しについて

飯能市には、調査を依頼した時点で、公用車は約180台あり、ここ数年間、毎年10台には達しないものの、車両の更新がなされています。飯能市の規模において、保有台数は適正であるか、稼働率はどの程度か、調査資料をいただきました。

以前の委員会で質疑をしました際には、管財課が管理する公用車は28台で、適正な台数というものは特段決めておらず、買替えの段階などで、1年でも長く乗るために注意すべき点を検討し、台数管理に活かすということでした。全庁的にも決まったタイミングはないが、概ね15年以上が経過すると状態を見て、各所管の判断で予算要求を行うということでした。
各課が保有していた車両は必要台数に絞り込み、他は庁内の共用車両として管理しており、共用の全車両がほぼ毎日使用されており、効率の良い維持管理ができているとのことでした。

質問です。
保有台数は適正ということでありますが、このデータを見る限りでは、年間の稼働日数および時間は、執務日数や時間と比較してさほど高くはありません。
共用の全車両がほぼ毎日使用という委員会での質問とは認識のずれがあり、適切な資産活用という点で不明です。
年間の執務時間における稼働率を踏まえて、削減をしていくのが、効率のよい維持管理と考えますが、ご所見をお伺いします。

公用車は、ほぼ全職員が利用しており、各課で保有・管理している車両と庁内の共用車として管財課で管理する車両の2種類。
バス、市長車、議長車を除く、管財課で管理の共用車は年間執務日数ベースの稼働状況が、令和元年度では8割を超え、年間執務時間ベースで見ても、執務時間の半分以上の時間で稼働。
適正に管理・運用ができているものと認識。
効率的な業務の観点からも、公用車の必要性を検証しながら、使用頻度が非常に低いもの、非効率であるものについては廃車、減車している状況。

(2)  公用車の適正台数について

市では適正な台数というものは特段決めていないとのことですが、市の職員は、常勤、会計年度任用職員で約1200人。そのうち、実際に運転する職員が何名いるのか。また、全員が一人一台で乗るものでもないですし、例え災害時でも、一斉に全員が、職場を離れて運転するものでもありません。

質問です。
消防車やバス、工事車両など特殊な用途を除き、運転できる者の人数、離席して運転する人数の限界を踏まえれば、おおよその適正な保有台数というのは、具体的に絞り込めると考えますが、ご所見をお伺いします。

公用車の総台数は175台、特殊な作業などの用途によるものを除くと132台、そのうち本庁舎以外での所管は61台。
共用車については、高い稼働率で運用しており、水道や道路といったライフライン関係などの部署では、各課ごとに車両の管理を行っている。
本市の行政区域はたいへん広く、大都市圏のような公共交通網でもなく、通常の業務において、公用車の使用は必要不可欠。災害時などの不測の事態にも備え、必要最低限の配置。
以上から、現時点では、この車両台数が適正な保有台数と考える。

 

(3)  廃車状況と市場の中古自動車との差について

一般財団法人日本自動車査定協会は、中古自動車の買取の際に活用する、中古自動車査定基準及び細則を定めています。
これによると、使用経過月数と実走行キロを踏まえた、標準走行キロにより、査定価格のプラスマイナスを定めています。例えば軽クラスであれば、5年経過で45,000キロまではマイナス査定なし、10年オーバーは8万キロまでマイナス査定なしとされています。平均すれば、年間6,000から8,000キロ程度は走行しているということになります。

平成28年度からの廃車状況を確認すると、20年間でしっかり15万キロ以上走っている車両はさほど多くなく、20年間経過し経年劣化で買い替えるものが見られます。そして走行キロ数も、10万キロに満たないものの方が多くみられます。

質問です。
実際の走行キロ数が少ないことは、中古車の査定基準からみて、活用しきれていないのではないのかとも思われます。
走行キロ数が少ないままに10年以上経過し、経年劣化での車両更新では、適切な資産活用として問題はないでしょうか、お伺いします。

平成28年度から令和2年度にかけて入替を行った車両は13台、廃車や減車が5台。入替した車両のうち10万キロ以上走行したものは5台、9万キロ以上走行したものが4台、入替の判断については、単に経年や年数ではなく、車両の状態、故障頻度などを十分に考慮した上で適正に行っている。

適正台数の管理という観点から漫然と入替を行うのではなく、業務を精査し、使用頻度の低い、非効率であるものについては廃車や減車を行っている。
その際も、廃車する前に、公売による売却も行っている。
公用車を大切に、丁寧に扱い、できるだけ長く活用していくことも重要。引き続き公用車の適切な活用と維持管理に努める。

 

(4)  所属部署による走行距離数の少なさについて

先ほどの中古車査定基準及び細則を踏まえ、年間6,000キロで調べると、令和元年度走行していたのは、データでは44台です。
消防車など特殊車両を除いても100台以上がさほど距離数を走ってはいません。
必要場所に配置というのは、当然必要と考えますが、この走行距離ではむしろ集中管理元から移動させたほうが良いのではないかと思われます。

質問です。
飯能市の職員規模で、なぜ車両を所属部署単位で分けるのでしょうか。
共用で使える車両を増やせば、稼働率も走行距離も適正になると思いますが、ご所見をお伺いします。

行政区域は非常に広く、各施設が市域全体に点在している。公共交通の現状を踏まえると、各施設において効率的に業務を行う上で、またライフラインの適正な管理という点で、各部署ごとの公用車の管理は必要不可欠な状況。

共用車の高い稼働状況や各部署への配置の必要性などから、集中的な管理方法と個別管理方法とで公用車の管理を行っている。 この併用型の管理が最適であると考えている。

 

(5)  稼働実績の最多日及び時間帯の稼働台数算出について

台数削減の改善事例として、広島県三原市が行財政改革の一環で公用車の保有台数を約二割減らすと計画をまとめました。
利用状況を調べたところ、一部の部署で極端に稼働率が低く、5年間で160台から35台減らして約3300万円の経費節減を見込むそうです。
平日の稼働率が37%、支署などは21%、共用車両は稼働率63.9%のところ、各部課の車両は平均30%未満でした。専用車では2%未満という事例もあり、稼働実績の最多日及び時間帯の稼働台数を基に、必要台数を求めたそうです。不足分はレンタカーを用いるとのことです。

質問です。
稼働実績の最多日及び時間帯の稼働台数を基に、必要台数を求める手法はいかがでしょうか。ご所見をおうかがいします。

バス、市長車、議長車を除く共用車につきましては、令和2年度では、執務日数ベースで8割以上の稼働率。月ごとでは、最大は11月の92.4%で、最小は新型コロナウイルス感染症が流行し始めた3月の70%。
共用車につきましては適正に稼働しており、その実績や所管している業務との必要性を検証しながら、公用車全体の適正な管理・運用に努める。

ここまで、様々な視点から、維持管理や運用についてうかがいましたが、現在、すべて適正に維持管理されているということでした。

ここから、広くて、車移動が必須である飯能市において、様々、更なる活用をご提案してまいりたいと思います。

(6)  公用車の記録や予約管理のデジタル化について

今回頂いた公用車の管理データはエクセルで、全部署の車両資料は維持管理費や稼働の詳細が明確にはわかりませんでした。他の自治体でも、公用車の運行管理は課題となっており、デジタル化が急務となっています。

やはりこの資料では、公用車の管理において、詳細なデータが必要になってくることを踏まえますと、デジタル化は急務です。

兵庫県加西市では、日誌についてスマホやパソコンで入力し、車両のQRコードで管理を容易にし、システム自体も電子申請システムに市職員が組み込みました。

石川県小松市では、住友三井オートサービスのスマートフォンアプリを活用し、スマホやパソコンで予約や運転日報管理などが可能となりました。これは北國銀行と包括連携協定を締結しており、その一環で車両管理業務の効率化と人件費の圧縮、車両の維持管理費の削減を進めたそうです。

こちらでも、課単位で公用車を運用していたため、一元管理や把握が難しかったそうです。利用予約システムが稼働し、時間単位での共用車両を拡大、利用に応じた適正な公用車台数を割り出すなど、検証していくそうです。

質問です。
現在の管理体制では台数の検討に必要な詳細なデータは収集が大変です。官民包括連携協定を用い、公用車の記録や予約を一元管理できるようにしてはいかがでしょうか、ご所見をお伺いします。

現在、公用車の日々の記録は、車両ごとに運行日誌を記録し、各所管にて管理している。
共用車の予約については、全庁から予約ができるシステム管理。公用車の一元管理は、システムでの運用などコスト面なども考慮しながら調査、研究する。

(7)  民間のカーシェア車両による維持費の削減について

令和元年度管財課の28台の車両について、燃料費、車検費用等、車両保険で 合計630万円を超えています。平均すると、およそ23万円となり、他の部署の車両も同様であるはずです。

これを民間のカーシェア車両、例えとしてタイムズ24さんを引き合いに出しますと、ベーシック料金、15分220円で計算して、1000回分を超えます。これを利用時間数として求めると、年間260時間程度の利用が可能となります。

福島県いわき市では、先ほどのタイムズ24と実証事業の協定を結び、維持費やガソリン代も不要となることから、10年で1台あたり177万円の節約になるそうです。10年でなので、長期スパンで考えるわけですが、新車購入と維持管理を考え、市長が判断し、メリットがあれば事業拡大も考えるとしています。狛江市でも、リースアップに合わせ、カーシェアに移行し、削減を進めています。

質問です。
あまり稼働率が高くない車両や、走行キロ数が少ない車両は、市で車両を保有せず、民間のカーシェア会社を活用する方法もあります。税金の投入や維持管理の手間を考えればメリットもあると考えます。ご所見をお伺いします。

共用車の稼働時間数は1台平均で年間1000時間を超えている。カーシェアによるメリットやデメリット、その効果などを十分に検証する必要がある。

このカーシェアについて、逆の視点でうかがいます。

(8)  遊休資産となる休日を核とした公用車のカーシェアについて

先の質問での事例は、所有を切り離した場合でしたが、もう一つには、公用車として保有したまま、車両の有料による有効活用の方法があります。

DeNAさんが行うAnyca(エニカ)という事業ですが、遊休資産となる企業の休日のEV社用車を有効活用するため、クラウド管理によりカーシェア 1時間500円~で無人受け渡しが可能としました。また、自治体が持つクルマを、通常業務で使用していない時間帯に、地域住民の生活の足として活用いただけるような取り組みを行うべく、全国から先進的なカーシェア活用に取り組む自治体の募集を、昨年度実施していました。
料金の一例は、1時間だと500円、24時間5千円と走行一キロに16円というもので、手数料を除いても、夜間や休日等を利用可能時間帯に設定すれば、一定、維持費の補填となります。

質問です。
執務時間外など、利用されないことが明確な時間帯について、こうした民間サービスを官民連携事業ということで利用を進め、市民の夜間休日の足の確保と維持費の削減に向けて検討を進めてはいかがでしょうか、ご所見をお伺いします。

全国各地で公用車のカーシェアリングが実施されていることは承知している。
事例として、会津若松市では、令和2年9月から市の公用車1台に、民間会社が運営するカーシェアリングを導入、平日は市役所専有で、市役所の閉庁日は、一般の方が利用できる車両共用を開始。
他にも
・大阪市や堺市ではEVの普及促進を目的
・川崎市は駐車場利用者の利便性向上を目的
・東京都奥多摩町は地域活性化に向けた取組
など、その目的は環境配慮から地域の活性化まで様々。
官民連携によるカーシェアリングは、本市の地理的な条件、公共交通の状況や公用車自体の状態などを踏まえた上での研究が必要。

答弁にもありました通り、官民連携のカーシェアリングは、様々な狙いがあります。ただ、維持費の補填という観点だけでなく、まさに公用車を活用するという発想です。その事例は多々あり、広い飯能で公用車が必須であることを、ぜひ活用という視点で活かす、先進的な取り組みの検討を進めていただきたいと思います。

もう一つ、提案します。

(9)  公用車の安価な広告導入について

旭川市では、公用車に民間企業の有料広告を掲載しています。財政逼迫により、収入確保策の一環として検討され、医療や消防車両を除き、実施しています。

1台につき2か所前部両側ドア、バックドア等にも掲載可能で、1か月当たり広告掲載料3,240円(税込)、1年当たり広告掲載料38,880円(税込)となり、旭川市公用車広告掲載基準に基づき審査随時募集しています。

広告は、水道修理、不動産会社、子どもの習い事、タイヤメーカー、損害保険など、消費者向けのものです。貼り付ける素材も車両の塗装に影響を与えないもので、売却に向けても考慮されたものとなっています。

質問です。
このように安価で企業が参画しやすい形での広告を検討してはいかがでしょうか、ご所見をお伺いします。

公用車の広告掲載につきましては全国の様々な自治体で取り組みがある。
本市は、資産に民間企業等の有料広告を掲載等することで、自主財源確保や、市民サービスの向上及び地域経済の活性化を図ることを目的とした「飯能市有料広告掲載等に関する要綱」を設置している。

屋外に設置あるいは表示されている広告物等は、埼玉県屋外広告物条例により官公署、学校、図書館、公民館、体育館などの敷地では、自家広告物などの例外を除き、屋外広告物の掲出は禁止されている。

このため、これら禁止区域において、広告を掲出した車両の通行などはできないと考えられ、慎重に調査、研究していく必要性がある。

埼玉県の条例が、障壁となっていることについては、県議会でもすでに議論されています。その上で、例外となる独自条例の制定を目指す市町村の支援や規制緩和の検討についても言及されています。
実際に、県内で実施している自治体も複数ありますので、可能となる方法を模索する価値はあると思います。
広告収入は、効果的な収入源の一つです。厳しい市政運営の中で、自主財源確保という意味でも、できること、新しい取り組みは、積極的に進めたいところです。
また、アフターコロナの地域経済回復に向けては、地元企業や事業者にとって、安価で有効な広告手段は重要な選択肢とも考えます。

(10) 公用車のドライブレコーダー導入について

静岡県藤枝市は、国土交通省と既存の道路パトロールによる道路管理の効率化を目指し、路面状況をAIで分析するシステムの実験を進めました。目視に加え、ドライブレコーダーによるAI解析用い、路面のひび割れや平坦率を測定する作業の効率化を目標としており、損傷レベルの高いもの他検出されており、システムの有用性が高く評価されたそうです。

徳島県の石井町、神山町は、ドライブレコーダーを用い、見守りカメラとして警察署と協定を結び、交通事故防止や犯罪抑止など、警察より依頼があれば協定に基づき画像を提供して見守り体制を強化しています。

なお、カーシェアについては、各事業者ドライブレコーダーがついており、官民連携での見守りも可能です。

質問です。
公用車の運用に、他事業の兼務を加え、経費削減を進めてはいかがでしょうか、ご所見をお伺いします。

公用車のドライブレコーダー設置の状況は、現在5台。今後、車両を入れ替える際に順次、設置導入。
設置効果は交通事故にあった場合の対応、安全運転への意識の向上、防犯上の観点からも有益であり、その必要性も感じている。
他の事業との連携では、道路パトロールなどによるドライブレコーダーの録画画像が道路管理や防犯活動などに活用されている事例も多い。
今後、ドライブレコーダーの設置導入を進めながら、活用は、他の自治体の先進事例を参考に、関係課と調整しながら調査、研究して行く必要性を感じている。

ドライブレコーダー導入に係る費用に対し、他業務での活用を進めることも、経費の削減や適正管理につながります。
公用車については、削減だけが適正管理ではなく、広い行政区域の飯能の特徴を生かして、更なる活用が様々考えられます。

今日は、全国的に厳しい財政運営を求められる中での、飯能市の財政や事業についてうかがいました。具体的数値に基づく、見直しや優先順位と同時に、自主財源の確保や既存資産の更なる有効活用は重要であります。

公用車については、更なる活用の視点で様々ご提案もさせていただきました。小さなところからも、市の運営に役立つ提案を、今後も続けてまいります

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