6月19日(月)~21日(水)は、市政に対する一般質問。
私、坂井えつこも初めての一般質問を、一問一答方式にて行わせていただきました。
飯能に暮らすみなさまが、元気で健康であること。それは飯能市の未来にとって、大きな可能性を秘めています。この10年間、フィットネススタジオを経営してきて、運動習慣や健康な生活習慣の大切さを実感していること・必要性を痛感していること・現場に毎日いるからこそ見える課題や将来への提案などを、先進事例を可能な限り盛り込んで質問させていただきました。
今回は、「健康長寿社会の実現施策」。こちら一本です。
(1)国民健康保険、介護保険、後期高齢者医療から見た傾向について
この3制度のサービスは、財政面で課題があります。繰入金に頼った運営であり、それぞれ単独の国民健康保険税、介護保険料、後期高齢者医療保険料では賄えていません。基金も減額、一般会計予算を圧迫している状況です。介護保険の繰入金法定額も特別会計が膨張すれば一般会計に負担がかかります。
保険税や保険料の値上げは、最終手段ですが、すでに値上げが行われており、負担可能な限度が近づきます。どうやって支出増を抑えるか、効率的・効果的な削減策が明確に見えないのが問題です。加入者の高齢化等が理由としても、数値をもった抑制策を講じない理由にはなりません。
継続的な支出増を踏まえ、保険料や保険税を値上げするのか、繰入金増か、支出抑制策を強化するのか、伺いました。
また、今の経済状況下、値上げや繰入金は市民負担の点で困難です。対策として、非常に深刻な状況下にある自治体が、三つの条件、①1年間保険税を完納する ②保険診療を受けない ③特定健診を受診すること という条件の元でキャッシュバック等の改善策を講じ、一人あたりの医療費が減少し、特定健診受診率が向上した、といった事例があります。
繰入金解消に向け、こうした改善策も検討する時ではないか伺いました。
(2)ジェネリック医薬品の実質原則化について
飯能市の国民健康保険におけるジェネリック医薬品利用率の状況は、以前の議会答弁で65%、埼玉県内市町村平均を上回っているとありました。平成32年度末までのなるべく早い時期に80%以上とするとの方針が出ており、協会けんぽでも昨年7月時点で67.5%と、今年度70%以上の第一目標達成間近、すでに目標達成した県もあります。
広報はんのうのフルカラー部分に切り取り可能な保険者問わず使える意思表示紙片を、定期的に印刷し、全市民の利用率向上も考える時期ではないか伺いました。
(3)疾病への事後対応と未病への事前対応の、優先付け
事前の調査では、健康増進事業について、予算は一定割合で変動がなく、ドックや不妊治療助成など一部の拡充以外は、発症後医療介護にゆだねる、事後対応に伴う医療介護の支出増が続いています。健康増進法に基づく事業、地区組織活動ともに、健康改善の結果評価がなく、参加人数も減少傾、胃や大腸などがん検診も受診総数が横ばいです。
健康診査の実施率は5割近くとのことですが、それが具体的にどう医療費や介護への抑制になっているか、事業実施の結果と成果、事業の効果測定は出てきません。健康増進事業は提示や実施が目的ではなく、リスク保持者や重症患者増による医療介護状態を防ぐ手段です。
飯能市の特定保健指導はここ数年1割前後ですが、全国平均で受診率は2割に達しており、先進事例では5割超えるところもあります。日本の平均寿命と健康寿命の差は、平成25年、男性約9年、女性約12年となっています。医療介護負担が増える、健康上の問題がある不健康な期間の対策が必要です。
民間の健康保険組合は、保健事業が総予算の5%を超えるところも多い中、飯能市は予算のわずか2%少々です。未受診者の傾向つかむ、健康事業強化につなげるといった方向性がなければ、財政硬直化が進むばかりです。
平均寿命と健康寿命の差を減らすためには、健康診査、特定保健指導実施率の高い自治体や健保組合の向上策を参考に、事前対応を優先づけねば、健康増進、財政悪化を防ぐことは困難なことから、健康増進事業を予算比で現状の2倍以上に増やすべきではないか伺いました。
また、現状の各種健康事業、健診や保健指導は、何回やり何人受診で実施率何割、というアウトプット評価のみにとどまり、実施が目的化しているようです。アウトカム評価で、具体的に所見率が減った、メタボや生活習慣病該当者削減、保健指導を卒業したという、評価が必要です。アウトカム評価設定の検討について伺いました。
(4)データヘルス計画の活用方法について
データヘルスについては、繰入金の状態から考えて、国の方策に上乗せして対応を図らねばなりません。品川区の例では、データから医療費増対策を重点に、生活習慣病を予防する軽度リスク者対策を強化しました。
基本健診受診者の三割が血糖・血圧・脂質のリスクを保有し、肥満率も2割でしたが、そのうち半分以上は糖尿病、高血圧症、脂質異常症の治療で服薬中により保健指導の対象外となって管理外でした。さらに非肥満でも2割は血糖・血圧・脂質のリスクを保有しており、管理外についても優先順位を付けた保健介入が必要としました。
もちろん飯能でも国保が埼玉県に一元化することから健康対策方向性も準拠し、既存の健康関連の計画で言及はあり、今年度策定ですが、時間と経費をかけず、スピード感を持って健康課題抽出をやるならば、取り急ぎ、対応を要する方々の層を見ることが重要です。
保険事業をより費用対効果の高いものにするために、データヘルスをどのように活用し、医療費削減につなげていくか、目標設定について伺いました。
(5)運動による健康回復について
10年間フィットネススタジオを経営し、反復継続した運動・身体づくり事業による改善を取り入れ、健康寿命の延長実践に努めてまいりました。飯能市のもつ、健康のまちづくり計画も、健康寿命の延伸とありますが、具体的な成果目標がなく、単発事業のハイキングやウォーキング、グラウンドゴルフ大会、その他短期間の事業だけでは健康を維持できません。
多くの人が、健康に不安を感じ、運動や食事の重要性を感じていても、本人だけでは改善できないからこそ、対策が必要です。単発事業を市が行い、後は自助に任せるのではなく、継続したサポートが必要です。
病気や介護状態になったから制度利用ではなく、健康ではないけど、病気でもない、自覚症状はないけど健診値に問題がある状態を指す、予防医学の未病段階で健康を取り戻すことが必要です。それにより、慢性疾患や要介護で苦しむ人の母数が減り、支出増も抑えられ、必要な人への手厚い支援が可能になるはずです。
簡単な運動なら毎日、負荷をかけるトレーニングなら週2~3回と続けることで、例え高齢の方でも骨も筋力も内臓も鍛えられ、元気に自活ができます。高齢でも運動習慣のある方、それを楽しんでおられる方は本当にお元気で輝き、確実に身体や見た目の若々しさ、お気持ちのアクティブさが若返っておられると実感しています。ちょっとしたきっかけから苦手意識を解消して運動習慣を持ち、健康格差が生じなくなれば、飯能市は変わります。
民間のタニタ健康プログラムでは、導入前と2年後を比較すると、医療費は約9%削減、肥満度も標準値の社員が70%から75%と向上しました。運動への無関心層を掘り起こす一定の効果が確認でき、さらに、1人当たり4万3,000円の医療費削減効果を確認しました。
こうした民間の先進例の取り組みは、削減効果が期待できます。健康スポーツと絡めながら取り組むべきではないか伺いました。
(6)食事による健康回復事業
運動が適切でも、食事とセットでこその健康長寿です。内臓が元気であれば、食事も進みます。糖質中心の主食を見直し、主菜にたんぱく質など体をつくる栄養分を多くとり、体を整えることが大切です。
たんぱく質は、不足すると体が弱くなり運動は逆効果、心筋梗塞などの心臓疾患や肺炎などの様々な病気の危険度が増します。発症せずとも、脳の働きが鈍り、記憶力や思考力が減退し、うつ病や神経症にかかりやすくなります。体力やスタミナがなくなることで、勤労世代への悪影響、高齢者は一気に要介護の恐れも高まります。
労働省が毎年行っている国民健康栄養調査の結果推計から、特に70歳以上の3~4人に1人が低栄養(栄養失調)の恐れがあるそうです。国も配食サービスの新たなガイドラインを発表するなど、高齢者のたんぱく質不足の解消に本腰を入れ始めています。対策として、最近注目されたものの一つに、10食品群チェックシートがあります。低栄養を防ぐのに必要な10食品を一覧にしたものです。
その日食べたものを量にかかわらず丸を付けていくことで、たんぱく質を中心に食品が多く取れ、一日で丸が7つ以上つけられるような食生活になれば、生活習慣病予防、健康長寿につながるという狙いです。
こうしたツールは、ダイレクトに制度利用者へ活用するにとどまらず、民間の料理教室、市内の飲食店、配食事業者、健康事業者への委託などにより、健康メニューの開発、料理の提供など、市内産業への波及効果も期待できます。食生活からの健康回復に向けた所見を伺いました。
(7) 介護予防の拡大と継続的支援の意義について
要介護状態からの健康長寿については、和光市で優れた制度があります。概略は、一度要介護・要支援状態となっても、真にきめ細かいケアプラン、興味ある分野や仲間たちとの楽しいトレーニング等々を駆使し、認定者の40%は介護サービスから卒業。介護対象から外れても、ケアを充実することで再度介護状態になる不安を取り除き、健康長寿を実現し、必要な方へ重点的に、居宅介護の限界点を高めるサービスに注力できます。
男性参加率が低くならないよう、アミューズメント・カジノと称したルーレットやトランプなど娯楽性のある定期的なイベントも行い改善を進めています。
和光市では、要介護(要支援)認定率の推移が、平成26年飯能では15.3%、埼玉県平均14.3%のところ、実に9.4% 。さらに低下傾向にあることから、第六期の保険料増もほとんどなく、全国平均より2割以上安くなっています。飯能市でも予防事業を地域全体の活動支援にも絡めて、拡大していく必要があります。人々が健康になることは、大きな可能性を秘めています。
飯能に限らず、多くの自治体は要介護2以下の軽度の人が半数以上を占めます。認定されること自体を防ぐ必要は全くありませんが、重度化を防ぎ、体調が回復する見込みがあれば、機能回復訓練(リハビリ)をするプランを立て、介護度の重い方、必要な方に注力する。これが公助の本来あるべき姿です。
和光市は、介護保険の卒業後も、ほぼ同じ内容のサービスを一割負担ではなく、自立支援として無料で利用できて、生活不活発病による再度の介護認定を抑制し、健康維持を達成しています。介護認定年齢を5年遅らせ、楽しく健康に平均寿命と健康寿命の差を埋められるのです。
飯能市の事業ですでに予防事業は一定あり、一部にはコオーディネーショントレーニングなど専門的な運動もあり、こうした分野の拡大が必要です。介護保険事業計画に書かれている内容を達成するには、介護保険単独ではなく、一般会計での健康増進も含め、他職種連携と介護予防・日常生活支援総合事業、包括的支援事業、任意事業を組み合わせ、サービスを強化した複合事業の導入について、御所見を伺いました。
また、事例をあげました。いなべ市の介護予防・健康増進活動「元気づくりシステム」は社団法人に事業を委託し、医療・介護費用の抑制を図りながら、10 年の歳月を経て地域の活性化に取り組んでいます。当初運動体験は「通所型」で体育館等の施設で始まり、満杯となり継続運動に成功した一方、多くの住民に参加してもらうことが難しい、飯能市と似た状況ではないかと分析します。
次に実施施設を拡大し、専門スタッフが出張して運動体験プログラムを提供するという「出前型」のプログラムにしましたが、開催する施設が増えて専門スタッフが不足し、巡回指導も限界になりました。現在は、参加市民からリーダー育成で壁を突破だそうです。少々前のデータですが、医療費削減は、非参加者比較で1人当たり年間医療費約8万円減、5千万円近い削減効果です。
飯能では介護予防の成果報告書において、回数人数は記載があるものの、目標値や予防給付の効果記載がありません。メニュー自体も増えない状況から、削減効果を実証され、先進事例と利用成果の低い既存事業を差し替えて早急に対応し、予防構成を新しく設計するべきではないか伺いしました。
8、受動喫煙の解消について
①教育委員会所管施設での対応状況
子どもの暮らす環境にタバコは不要、これは教育上の格段の配慮からどなたも同意されることで、国の喫煙防止教育等の推進により、学校無煙化は当然と考えます。教職員の方々の喫煙場所、社会体育など学校開放時の利用者に対しての喫煙場所はどのようになっているのか伺いました。
また、三次喫煙(サードハンドスモーク)という喫煙後の布製品(吸着しやすい衣服)に付着した有害物質を吸入する問題があり、教職員が喫煙後授業をすること自体が受動喫煙です。子どもたちにとって喫煙は素行問題の入り口となる可能性があるなかで、大人が喫煙しないというモデルを児童生徒に示すことは重要ではないか。ご所見を伺いました。
② 公共施設全般の喫煙状況把握と対応状況について。
市役所などでの職員専用喫煙所(時間帯)があると調査からわかりました。タバコの影響を考えるのであれば、きちんと市民に喫煙状況を見せる必要があります。もしその状況や時間、頻度について市民の皆様から批判が出るようであれば、それは喫煙と仕事についての対策が必要ということです。
行政は公共施設の施設管理全体をつかむ必要があります。喫煙所の状況は各施設に聞いてください、喫煙についてはわかりませんでは、施設管理できているとは言い難いところです。
受動喫煙も第三者への害を与えるという観点で、早急に全公共施設の喫煙所設置状況を把握、リスト化し、受動喫煙対策を完備したという状況にするべきではないか、御所見を伺いました。
③ 繁華街での路上喫煙禁止について。
受動喫煙は路上や屋内の民間集客施設では不完全な分煙の実態があります。オリンピック目前、インバウントなど観光に力を入れるのであれば、先進国のWHOタバコ規制枠組み条約を完全履行、オリンピック実施都市の基準を満たして当然です。
飯能市は、所沢市の路上喫煙防止条例、狭山市の路上喫煙禁止地区指定に比べ、受動喫煙対策は非常に遅れています。路上喫煙防止は、人口過密の都会の自治体だけでなく、郊外自治体の住宅地や駅近郊でも対応されており、罰金を設けて、一気に受動喫煙撲滅に動くなど、自治体の本気度が現れます。
循環器疾患などリスクの高いタバコの害について、モラルマナーだけでは対応が進まない市内で、例えば埼玉県内63市町村26市で制定された、路上喫煙防止条例の制定など、受動喫煙対策強化が必要ではないか、御所見を伺いました。
④ 疾病予防にむけた禁煙治療について
日本禁煙学会によると、日本では1年に約13万人が、喫煙が原因で死亡とされています。受動喫煙への助成は国や県で一部ありますが、禁煙治療自体の補助はなく、独自事業です。市民税の支出を伴いますが、市民の健康を確保するため、他自治体では助成を開始しています。
飯能市には禁煙外来がいくつもあり、埼玉県の調査でも、喫煙者に対し禁煙支援の実施が30市となるなか、禁煙治療に助成金を出し、疾患の発症、進行を抑制して長く健康に暮らせることが、医療費適正化など、市財政にメリットと考えます。治療についての御所見を伺いました。
(9)市役所の各部、各種団体の連携と意識付け
市の飯能市介護保険事業計画や健康づくり計画には連携していくと話がありました。しかし、民間活用や参入についてはあまり言及がありません。
市内外の既存の民間リソースを活用し、健康関連分野に大幅に補正を含めて予算の重点を行う姿勢、つまり、将来の医療介護負担にむけて見直しを要する規模の借金への対応、基金取り崩しをあらため、不要な事業を廃止してどう健康へ配分するべきかを明確に打ち出す時期と考え、御所見を伺いました。
また、事例もあげさせていただきました。今年5月複数自治体連携型大規模健幸ポイントプロジェクト、実証結果の報道されました」。筑波大学、みずほ情報総研、つくばウエルネスリサーチ、が今年3月までの3年間、スマートウエルネスシティ総合特区6市でインセンティブ制度を参加者数約12,600人で行ったものです。
健幸ポイントによるインセンティブ制度は、民間企業が行う健康サービスも対象としたプログラムに参加・継続や、健康状態の改善に基づき、最大24,000円相当のポイントが付与される仕組みです。6市合計200程度の対象プログラムを用意しました。貯まったポイントは、Pontaポイント、全国商品券などに交換することができます。
参加者を分析すると、運動未実施層や、自治体実施の事業に参加しても活動量が充分でなかった人が、全体の約8割を占めていました。つまりインセンティブ制度が、健康づくりの動機づけとなり、活動量が増加し、約35%の参加者がわずか2年メタボ非該当の判定に改善し、肥満者の減少につながりました。参加を継続した方々は、開始から18カ月目を経過しても国の推奨活動量8,000歩/日を上回り、国民健康保険で60歳代では一人当たり年間約4.3万円、70歳以上では一人当たり年間約9.7万円の医療費抑制につながったそうです。
今後は株式会社タニタヘルスリンクおよび株式会社ベネフィットワン・ヘルスケアへ継承し、今年4月より新たな健康支援サービスとして提供が開始されているそうです。
こうした事例を参考に、早期に埼玉の健康マイレージもしくは市内外の事業者の枠組みを作り、近隣自治体とも連携して事業化するべきとではないか、御所見を伺いました。
健康診査結果などを用い、民間のフィットネス事業者や介護事業者など法人に委託し、年間を通じた市内の民間施設での健康事業、理学療法士によるジム委託事業、公民館への定期的な出前ジム講座など、民間活用は、民業圧迫にもならず産業振興になります。運動事業の拡大についての御所見を伺いました。
まずは、最初の一般質問が終わりましたことご報告申し上げます。
また傍聴席には、後にうかがいましたところでは、20人ほどの方がいらしておられたようです。終了後、4階の議場から階段で5階の傍聴席へ駆け上がったのですが、次の新井重治議員の一般質問傍聴のみなさまが、50名の定員オーバーか廊下まで列が続いておられまして、人が多すぎ、どなたがいらしておられたのか、全くわかりませんでした。
ご挨拶もできなかったみなさま。申し訳ございませんでした。
今後ともどうぞ厳しい目で、また長い目で、ご指導ご鞭撻いただけますと幸いです。
よろしくお願い申し上げます。