12月16日一般質問【地域医療支援と医療費の適正化】全文と答弁概要

【令和2年12月定例会 一般質問 全文と答弁概要】

今回は、地域医療支援と医療費の適正化についてうかがってまいります。新型コロナウィルス感染症を契機として、我が国の医療提供体制の課題が明確となりました。

医療提供体制の改革については、

・地域医療構想による機能分化、連携強化

・地域、診療科間の偏在解消

・医療従事者の働き方改革や健康確保

などを加速化させる必要が議論されています。

(1)地域医療構想について

①地域医療の地域主体としての在り方

新型コロナウィルス感染症対策を優先するため、一時、議論の中断もありましたが、地域医療構想の実現に向けて、各地域での医療機能の分化・連携を進めておけば、一定課題に対応できたのではないかという指摘もあり、今後議論は加速されるとみられます。

昨年9月26日、厚生労働省は全国の公立、公的病院のうち、診療データから実績が乏しいなどと判断した424病院について、来年9月までに具体的結論として、統廃合を含めた再編の検討を要請することを決め、病院名を公表しました。

地域医療構想 過剰病床削減を目的に病院名の公表は初めてで、市長会や行政各所から改善を求める声や反発、困惑の見解が出されました。

再編のあり方は、統廃合に限定せず、病床数の削減、診療科や病院機能の集約化など、地域の実情、つまりは西部地域保健医療・地域医療構想協議会での飯能市も当事者です。実情に対して再編の前提条件として市内の状況を、議論に反映していかねばなりません。

しかしながら、地域医療構想への市の対応状況としてあらかじめ調査を依頼したところ

西部地域保健医療・地域医療構想協議会での今までの市の発言内容
医療機関への市の対応状況(助言・財政支援・その他対応状況)
地域医療構想での民間機関への市の対応
424病院の対象公的病院、西部地域4病院に対しての対応
西部地域4病院による地域医療構想対応で把握している情報
飯能市での医療水準についての検討
医師会との連携事業、検討実施の有無
厚生労働省からの424病院公表に関する市への説明の有無
国への地域医療構想に関する要望書の提出有無
健保組合(連合会含む)や協会けんぽとの協力事業の有無

こうしたことはすべて、狭山保健所にお尋ねくださいということで、全ては保健所として、回答はありませんでした。

各自治体では、地域医療の諸事項に対して様々な対策を行い、意見を表明し、自治体内の医療状況に対処しています。

保健所を所管する都道府県は、毎年度、地域医療構想調整会議において、合意した具体的対応方針をとりまとめることが主務であり、取りまとめる前提は、基礎自治体や地域医療機関の意見です。

飯能市が地域事情の反映について、危機意識をもって対応せず、保健所任せとすれば、この責務を放棄することとなってしまいます。

質問です。

地域医療について保健所任せとする見解であるとすれば、地域医療構想により、保健所委任によるいかなる市民の医療水準の変化についても支援はせず、保健所での決定事項に従うということになります。地域主体として市のご所見をお伺いします。

【答弁概要】

2025年(令和7年)問題も数年後、高齢化の進展に伴う老人慢性疾患の増加により疾病構造が変化をしており、医療ニーズについては、病気と共存しながら、生活の質(QOL)の維持と向上を図っていく必要性が高まっている。

介護ニーズにおいても、医療ニーズを併せ持つ重度の要介護認定者や、認知症高齢者が増加するなど、医療および介護の連携の必要性はこれまで以上に高まっている。

また、医療保険制度および介護保険制度については、両制度の持続の可能性を確保していくことが重要。

誰もが自立と尊厳を支えるケアを将来にわたって持続的に実現していくため、平成26年に「医療介護 総合確保 推進法」が制定され、この中で「医療法」により、都道府県に策定が義務付けられている「医療計画」があるが、その「医療計画」の一部として「地域医療構想」が位置付けられている。

この「地域医療構想」を推進していくためには、構想の実現を目的に構想区域ごとに「協議の場」を設置することになっている。

本市は、所沢市、狭山市、入間市、日高市と共に西部区域に属している。この西部区域では、狭山保健所が「埼玉県西部地域保健医療・地域医療構想協議会」を設置。

「2次保健医療圏」内の医師会や歯科医師会をはじめ、薬剤師会や看護協会、病院団体の代表や医療保険者の代表、構成市の職員や医療機能を有する医療機関の代表、そして保健所長などで構成。

本市においても、健康福祉部長が「協議会」の委員および「協議会」に設置された「作業部会」の委員に委嘱されている。

「協議会」では、①「計画素案」の作成および推進に関すること、②関係団体の協力の確保に関すること、③構想の推進の協議に関すること、などが議論されており、本市においても、市内の実情を踏まえ、市民の皆様が安心して医療と介護における各種サービスが受けられるよう、議論に参加をしている。

 

市としての主体的な動きが見られずに、何か案が出てきた場合や方向が決まったら判断と言う姿勢では、コロナ禍において適切な動きができるかどうかが不明です。

今ある医療資源を適切に活用していくことが地域医療構想であり、

12月13日時点において、埼玉県内では感染患者受入病床使用率:55.2%、重症患者受入病床使用率:33.3%と余力に乏しくなっていることから、市内の感染者数が増えている現状を踏まえ、地域医療に何ができるか、どう支援できるかを、示していただきたいと考えます。

 

②今までの取り組みや発言

総務省は地域における医療提供体制の確保にあたって、医療圏の他自治体や近隣の自治体とも連携協力、再編・ネットワーク化を検討する上で自治体内・関係自治体間・地域の医療関係者等でしっかり認識を共有、地域住民の理解を得ることが不可欠としています。

そこで、地域医療に関した取り組みについて調査を依頼しましたが、全て保健所へという回答で、国の方向性と合致していません。

地域医療構想西部地域保健医療・地域医療構想協議会が完全非公開ならば、先の質問のような保健所にという見解もあり得ると考えますが、議事資料や議事要旨含め公開されており、市は納税者に対して、参加して取り組んできたことを説明する義務があります。

事前に配布される会議資料を検討、指定対象になっている424病院の対象公的病院の西部地域4病院の見直しによってどうなるか、飯能市内の医療水準を踏まえてどうするべきか、必要な見解を用意して示さねばなりません。地域医療をどうするかは、県ではなく、その地域で決めるものです。

質問です。

各自治体では、地域医療の今後の影響に備え、対策を講じるところや影響を推計するところもあります。

市ではどのような取り組みをすすめ、さらに西部地域保健医療・地域医療構想協議会で市内の状況を踏まえた発言をされてきたのかお伺いします。

【答弁概要】

埼玉県が策定した「地域保健 医療計画」や、「病院整備計画」などについて、その都度、意見を求められており、本市としての考え方や、その意見を回答している。

また、「西部保健医療圏」における重点取組として、本市における「生活習慣病 予防からはじめる健康づくり」など、5項目の取組状況を毎年報告。

 

③地域医療水準の維持

誰もが高いレベルの医療を受けられる、医療アクセスは社会保障制度の根幹です。地域医療水準が維持向上することが前提条件でありますが、西部地域では4病院が見直しの対象となっています。

入院病棟を設けている病院は、地域全体での医療水準の向上と医療サービスの充実をはかるため、地域医療連携により開業医などが担う、かかりつけ医から、高度医療が必要な場合に紹介制度を用い、診療科の専門医につなぎます。

しかし、地域医療構想の実現に向けた病床の機能分化・連携の取組を促進した結果、市内の病院の負荷が増すなど、医療機関の地域偏在が生じないか、受療機会の格差が生じないかが懸念材料となります。

具体的に想定を挙げれば、削減により市内で今まで入れた民間病床が空きにくくなり、市内や近隣の西部地域医療機関ではなく、交通費のよりかかる遠隔地の医療機関へ行かねばならない機会が増え、移動時間や移動費用の負担が医療水準の低下につながるのではないかという懸念です。

厚生労働省は再検証の対象となる医療機関数について、今年に入り7施設減少し、20施設程度増加の440程度になるとしています。さらに、民間病院についても、非公開ながら見直しの対象を今後関係機関に通知するとしています。こうした影響についても、飯能市内において関係するのか、しないのか、市民は分からず不安が増します。

質問です。

厚生労働省は自治体などの要請に応じ、説明する機会を設けるとしています。こうした医療水準の変化について、話を聞き情報を得て、医療水準の維持に向けた対策を検討するべきではないでしょうか、ご所見をお伺いします。

【答弁概要】

医療介護総合確保推進法」は、2025年を見据えて「地域医療構想」のほか、「一般病床」の機能分化を進めている。これは、急性期医療への人的資源の集中化を図ることを目的に、具体的な方策について検討を進めるため、平成23年に「急性期医療に関する作業グループ」が設置され、協議が行われたもの。

この協議の中で、医療機関は病床の機能の区分について、その現状と、今後の方向を選択し、病棟単位で都道府県に報告する「病床機能 報告制度」の開始が合意された。また、「急性期 医療に関する作業グループ」のほか、「病床機能情報の報告・提供の具体的な在り方に関する検討会」も併せて設置され、報告内容等の検討を重ねた上で、「病床機能報告制度」が始まっている。

「地域医療構想」の実現に向けては、「一般病床」および「療養病床」に係る①高度急性期、②急性期、③回復期および④慢性期の将来における病床の必要量を推計するだけではなく、地域の実情に応じた課題の抽出や実現に向けた施策について、住民を含めた幅広い関係者で検討を進めている。また、検討に当たっては、各医療機関の自主的な取組や医療機関相互の協議が促進され、地域医療全体を俯瞰した形で「地域医療構想」の実現を視野に検討を進めている。

当協議会には、毎年、「病床機能の報告」が提出されおり、それらを活用して、各医療機関から提出される「病院整備計画」や、「病院機能の変更に係る整備計画報告書」について議論が進められている。

そのため、地域全体として、どのような機能を整備していくべきか、といった観点から適切に今後の方向性について、協議をしており、市民の医療水準が維持されているものと考えている。

 

④市の見解表明

地域医療構想に対して、各自治体はすでに動いています。まず、私立病院を持つ自治体は、新公立病院改革プランを既に実行しはじめて、地域医療構想調整会議で協議のところ、突然の公表で強く反発しています。

同じく、それ以外の自治体でも全国市長会や町村会、全国自治体のとりまとめで見解を出しています。この時点で、飯能市は市長会と同じ歩調であるか否の回答はあるべきです。

具体的に、近隣の基礎自治体で市立病院を持っていないが個別に対外的に見解を出している自治体があります。

武蔵村山市では、昨年12月に厚生労働大臣宛で地域医療構想における再検証対象病院公表に関する要望書を提出しました。概要は、市域内の独立行政法人国立病院機構の病院が指定されたことを受け、医療の質や機能の評価がないこと、地域での役割や個別事情を踏まえておらず再検証対象にそぐわない、機械的な再編統合への懸念を強く示しています。

その他の自治体でも、同様の問題意識であり、地域包括ケアや地域医療を重点化した場合や、規模が大規模でない病院は不利、全国一律の基準が実情に合わないといった形で、自治体の状況を国や県に要望を出しています。

質問です。

飯能市においても、今回の公表を踏まえ、市の現状と、4病院がもつであろう市民が便益を受ける地域での役割や実情について、市長の見解を書面や定例会見で出し、市内の医療水準を維持できるよう取り組んではいかがでしょうか、ご所見をお伺いします。

【答弁概要】

「公立・公的医療機関等の具体的対応方針」の再検証を行うことになった経緯は、国が「公立・公的医療機関等の具体的対応方針」を「地域医療構想調整会議」において合意をするよう要請したもの。これを受け、各医療機関の診療データの分析を行ったうえで、昨年開催された「第24回地域医療構想ワーキンググループ」において、一定の基準に該当した「公立・公的医療機関(424医療機関)」を「再検証対象医療機関」として公表した。

この「再検証対象医療機関」となる基準は、「診療実績が特に少ない(診療実績がない場合も含む)医療機関」や、「同一構想区域内に診療実績が類似し、かつ、近接する医療機関がある(診療実績がない場合も含む)」といった内容。

本年1月17日に都道府県から「再検証対象医療機関」に対して、「具体的対応方針」の再検討を要請するよう、国が都道府県に通知を発出。この通知により、「埼玉県西部地域保健医療・地域医療構想協議会」においては、2025年を見据えた自医療機関の役割などについて検討し、「協議会」での再検証を経た上で、「具体的な対応方針」について合意を得る、としている。

一方、今般の新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて、本年10月には「全国知事会」、「全国市長会」、「全国町村会」の3団体は、国との協議の場で新型コロナウイルス感染症を踏まえた「地域医療構想」について意見交換をした際に、「公立・公的医療機関」の再編の議論よりも、新型コロナウイルス対策を最優先にすべきとし、再編・統合の再検証スケジュールの見直しも必要との要望を行っている。国においても、「公立・公的医療機関等」に対する「具体的対応方針」の再検証などに関する取組への影響について、改めて議論が始まっている。

「再検証対象医療機関」では、国の議論などを踏まえた上で、まずは、自ら検討を行い、その内容について「協議会」で再検証することになると考えている。

 

⑤公的医療機関への支援

地域医療構想の本旨は、地域の高齢化等の実情に応じ、病床の機能分化・連携を進めて効率的な医療提供体制を構築することで、急性期から回復期、慢性期まで患者が状態に見合った病床で、状態にふさわしい、より良質な医療サービスを受けられる体制にすることにあります。

入院患者の増加に対しては地域ごとの病床機能の効率化・最適化、高齢化に伴う疾病構造・受療行動の変化には、地域ごとに必要な医療機能への分化を促し、施設間の連携の強化で対応します。

医療機能とは、がん医療、糖尿病、精神疾患、周産期医療、小児医療、在宅医療、脳卒中心筋梗塞等の心血管疾患の医療体制、救急医療や災害医療の体制についてであり、適切にアクセスできることが必要です。

 

地域医療構想の対応により、西部地域自体では満たされたといても、飯能市民の医療アクセスに影響が生じる可能性も考慮せねばなりません。厚生労働省は地域医療介護総合確保基金によって地域医療構想を推進しています。

飯能市で考えれば、市民が西部地域外の遠隔地で診療を受けざるをえないか、救急や回復病床が不足かなどを踏まえて、不足を生じないよう対策を打つかどうかです。

 

質問です。

地域医療介護総合確保基金では、都道府県計画により、必要な事業への事業交付がなされていますが、西部地域でも地域医療構想の進捗に伴い、公的医療機関への補助が必要になる可能性もあることから、飯能市民が使う日常生活圏域の公的医療機関について、県の整備計画の範囲内で補助の要望を上げてはどうかと考えます、ご所見をお伺いします。

【答弁概要】

「協議会」において、「公立・公的医療機関」が地域全体にとって、どのようにあるべきか、といった観点から適切に議論されることによって、結果的に市民の医療水準が維持されることになると考える。そのため、「協議会」での議論に応じて、そのような対応が必要とされた場合には、本市としても、適切に判断していく。

 

⑥民間への支援

先ほどの地域医療介護総合確保基金では、市町村計画での基金の整備と補助も可能となっています。市内の民間病院についても地域医療構想に基づき、民間病院の診療実績データとして、高度急性期・急性期と報告した3187施設の診療実績、及び公立・公的等と競合する類似・近接の約370病院リストが都道府県に示されることになっています。

市内や西部地域の民間病院でこの対象に入ってしまった場合、指定された項目の見直しへの対応が迫られることになります。こちらも西部地域全体での目標に合致していたとしても、飯能市民にとってデメリットになることも考えられます。

他自治体では、不足する医療者や診療科に対して、人員配置の補助や診療科の維持費用の一部を助成する事例が見られます。埼玉県西部地域では小児医療への助成が進んできましたが、地域医療を市がどう支えていくか、今後も支援は必要となってきます。

質問です。

市は医師会や病床を持つ病院から、ニーズを聞き取り、市内の不足する資源を確保するべく、県に要望するとともに、医療介護総合確保基金の市町村計画を定め、市としても基金をもって改善を進める必要があるのではないでしょうか、ご所見をお伺いします。

【答弁概要】

民間医療機関も含めた医療提供体制の議論は、2025年における「地域医療構想」の実現に沿ったものとなるよう「対応方針」の策定を求め、「協議会」における議論を促すこととされている。

県では、「病床機能報告の定量基準分析」を「協議会」の議論に活用し、自主判断に基づく報告結果と定量基準分析結果の乖離状況を把握し、一定以上、乖離のある病院について現状の確認を行うほか、非稼働病棟を有する医療機関や、将来を担う医療機能の変更、介護医療院への転換を予定している医療機関をはじめ、全ての医療機関の議論を順次実施する、としている。

それらの議論を踏まえ、必要な対応を図る。

 

⑦重点支援区域の検討

地域医療構想は懸念点ばかりが報道されてきましたが、戦略的な活用も可能です。地域医療構想には重点支援区域という選定制度があり、地域医療構想調整会議の合意を得れば、県が国に申請し選定されます。申請は今後も随時受け付けられるもので、再編統合や多数の病床削減、指定対象外の病院との再編も対象となるものです。

国は技術的支援に加えて、財政的支援として地域医療介護総合確保基金の優先配分、新たな病床ダウンサイジング支援を一層手厚く実施すると明示しています。

今年の重点支援区域、1回目の選定では3県6区域。2回目に6道県7区域が追加されました。

他県でも各区域へ、

再編統合に伴い必要となる施設・設備整備費、
再編統合と一体的に行う宿舎・院内保育所の施設整備費、
急性期病床から回復期病床等への転換に要する建設費用、
病棟など不要となる建物や医療機器の処分に係る損失、
早期退職制度の活用により上積みされた退職金の割増相当額について

案内が始まっています。

令和2年度においては、新たな病床ダウンサイジング支援として、全額国費による新たな予算事業を創設されるとあり、協議を早期にという流れでした。令和3年度以降も、法改正を行った上で実施の方向です。

質問です。

西部地域において重点支援区域について、地域内の他自治体と協議を先行させ、結論を得るよう努力してはいかがか、ご所見をお伺いします。

【答弁概要】

「重点支援区域」は、「経済財政運営と改革の基本方針2019」において、「地域医療構想」の実現に向け、全ての「公立・公的医療機関等に係る具体的対応方針」について、診療実績データの分析を行い、その内容が民間医療機関では担えない機能に重点化され、2025年において①達成すべき医療機能の再編、②病床数等の適正化に沿ったものとなるよう、「重点支援区域」の設定を通じて、国により助言や集中的な支援を行うこととされております。

西部地域においては、対象となる「公的・公立医療機関」の多くは、十分な診療実績があり、現時点では「重点支援区域」の指定を受ける必要性は乏しいのではないかと考える。

 

⑧医療費適正化への活用

地域医療構想で病床削減が求められた原点は、病床数が人口比で他の先進国よりも多く、通院よりもベッドを埋める入院が増え、医療費の膨張要因であるとされました。

病床数を適正化する必要性は世界的にも共通事項であり、少子高齢化、人口減、それに合わせた病床機能の患者数を踏まえれば、リハビリや在宅医療につなげる回復期病床に重点を置く必要が出てきます。

地域医療構想を適切に進めれば、過剰な支出は減り、医療費は適正化され、医療保険制度への負担が減るということになります。どういう医療が市民に必要か、その点から改善を進めるのは、各医療機関単体で考えるのは難しく、基礎自治体こそ中心となる必要があります。

質問です。

地域医療の市内での充実に向けて、医師会との連携事業や地域医療構想の調整会議での建議に向けた検討会議を実施し、地域で医療機関が存続しつつ、医療費負担が適正化できるようにファシリテーションを行うべきだと考えますが、ご所見をお伺いします。

【答弁概要】

医療分野や介護分野における市内医療機関や市内福祉事業所が関わる会議の中には、保健所や市が関係する会議は複数ある。保健所主催の会議は「西部保健医療圏在宅医療 検討会議」や、「歯科口腔保健連携会議」、「精神障害者地域支援体制構築会議」。

一方、本市が関わる会議は、「多職種連携座談会」や「障害者支援協議会」など。各種会議では、お互いに顔の見える関係性を構築、それぞれの現場における様々な課題や、その解決に向けた取組などが議論されている。

会議を通じ、医療分野や福祉分野の関係者が信頼関係を構築し、より一層、連携が図れている。今後も様々な機会を活用し、地域の医療や福祉の連携を深め、質の高いサービス提供の向上に向けて努める。

医療費の適正化については、他に様々な論点がありますので、続きましてうかがってまいります。

 

(2)保険者努力支援制度について

①今後の支援金増額について

保険者努力支援制度は医療費の適正化に向けた取組等に対する支援制度であり、飯能市も一定改善が進んでおり、数千万円の支援金を得ています。厚生労働省は、保険者努力支援制度を令和2年度予算案で強化しており、特定健診の受診率向上、重症化予防、個人へのインセンティブ提供、新規項目の活用を求めています。

保険者努力支援制度の市町村分の配点は毎年変更が加えられており、今年度は重複・多剤投与者対策、データヘルス計画の取組、後発医薬品の使用割合、適正かつ健全な事業運営の配点が上乗せされました。

費用対効果も踏まえつつ、配点が高い項目はさらに狙っていかねばなりません。この点で、協会けんぽの取り組みは参考になります。収納率にとどまらず、被保険者や医療提供者などに対して積極的に働き掛けており、市町村・関係団体等との間でも健康づくりを目的とした包括的な協定を締結しています。

連携・協力の目的は各支部と市町村との間で、特定健診、がん検診の同時受診や集団健診等受診促進や中小企業の健康経営セミナー等の健康増進イベントの共同開催や健康づくり支援事業の連携、特定健診結果等の分析や糖尿病や慢性腎臓病(CKD)等の重症化予防にかかる受診勧奨、医療費・健診データの共同分析による効果的な保健事業の連携で効果的に実施することを目的としています。

質問です。

協会けんぽや企業健保等の健保組合と包括的な連携に関する協定等の締結を進め、事業連携により、国保加入者、健保加入者共に効果的な保健事業を実施し、共に保険者努力支援制度の支援金増を狙うべきではないか、ご所見をお伺いします。

【答弁概要】

保険者努力支援制度については、糖尿病性腎症重症化予防対策、重複・多剤投与者対策、ジェネリック医薬品の利用促進など、該当する様々な事業を実施し、得点の獲得に努力している。

特定健康診査受診率向上の取組みは、例えば、いるま野農業協同組合が会員向けに実施している健康診断において、国民健康保険加入者が受診した場合には診断結果の提供をお願いするなど、地域の団体との連携も図っている。

協会けんぽや企業の健康組合との連携については、市民全体の健康維持、増進の向上に寄与することが考えられるため、より効果的な保険事業の実施について研究する。

 

②国のKPI指標連動

保険者努力支援制度について、政府の骨太の方針2019、Society 5.0時代にふさわしい仕組みづくりとして、評価指標への追加が進んでいます。疾病予防の位置付けを高めるため、保険者努力支援制度の抜本的な強化を図り、疾病予防に資する取組を評価し、生活習慣病の重症化予防や個人へのインセンティブ付与、歯科健診やがん検診等の受診率の向上等については、配点割合を高めるということです。

さらに、健診実施率向上を目指し、2023年度までに特定健診70%、特定保健指導45%の達成を実現するとしており、飯能市の現状から差が開いていることへの対策が必要となります。疾病・介護の予防として、2040年までに健康寿命を男女とも3年以上延伸し、75歳以上とすることを目指します。

健康無関心層も含めた予防・健康づくりを推進していくため、ナッジ理論等を活用し、特定健診などの各種健診の通知について、全体・平均値との比較や将来予測(AIやビッグデータ等も活用)等といった通知情報を充実するとともに、先進・優良事例の横展開を図ることで効果を高めます。全身の健康にもつながる歯周病などの歯科疾患対策を強化するため、現在10歳刻みで行われている歯科健診の機会を拡大と、今後評価数値が出ものも含め、改善点が目白押しです。

質問です。

国の検討指標について、常に先行リサーチし着手可能な状態にしておけば、速度感をもって実行できます。疾病予防強化事例、ナッジ理論や健診実施率上位自治体や企業などその他列挙項目について、先進事例を踏まえて動く必要があると思いますが、ご所見をお伺いします。

【答弁概要】

保険者努力支援制度の評価指標は、部分的に毎年少しずつ変化。変更の方向性は、それぞれ既存の評価項目について、前年度より更に掘り下げた事業を行うことで加点するような傾向にある。

この傾向を踏まえ、先進事例等の情報は、国民健康保険団体連合会や国民健康保険中央会などが実施する研修やホームページにより情報収集に努め、飯能市データヘルス計画などに定める目標値を達成できるように各種事業を進める。

 

③国民健康保険法定外繰入の解消

法定外繰入については、解消がすでに指標として定められております。市も段階的に解消するため、削減を進めており、目標に問題はないですが、解消に向けた速度が重要です。

2018年度に一般会計から決算補填等のための法定外繰り入れを実施した市町村数は、354市町村で前年度より151減少していました。金額は1258億円で493億円減少し、今年度はさらに減少する見込みです。

質問です。

国において定められた目標では、2023年度までに法定外繰入実施団体は200市町村にするということですが、飯能市は首都圏の自治体であり、前倒しで解消することで、埼玉県の他自治体にも貢献できると考えますが、ご所見をお伺いします。

【答弁概要】

法定外の一般会計繰入金については、大きく分けて、赤字繰入れとなる「決算補てん等目的の繰入れ」と、それ以外の「決算補てん等以外の目的の繰入れ」の2種類。

2023年度(令和5年度)の繰入実施市町村数を200とするKPIが設定されているものは、「決算補てん等目的の繰入れ」をしている市町村のことで、現時点で本市は該当していません。

しかしながら、国民健康保険が都道府県化され、埼玉県が財政運営の責任主体となったことを踏まえ、市町村ごとに異なる保険税水準の統一や事務の標準化などを進めていく中で、市町村の一般会計からの法定外繰入れの比重を減らしていくことは重要であると認識している。

 

見直しの方向として、保健事業に係る費用についての繰入など、決算補填目的以外の法定外一般会計繰入は解消・削減の対象外です。

ただし、決算補填目的以外であっても、保険料の減免額に充てる、地方独自事業の波及増補填等は指摘事項が付いています。

飯能市の予算において、国民健康保険法定外繰入は、保険料の減免額、地方独自事業の波及増補填等、保健事業費、直営診療施設、基金積立、返済金、その他それぞれいくら計上されているのか、これらの検討は必要と考えます。

 

(3)地域包括ケアシステムについて

①ICTの活用

地域包括ケアは多職種の連携や、市内の介護保険利用者の状況を踏まえ、地域共生社会の実現に向けた中核的な基盤となります。既に組み立てられた部分については言及しませんが、令和3年度からの第8次介護保険事業計画策定において、地域包括ケア見える化システムを用いて、必要なサービス量を算出します。

しかしながら、このデータが飯能市においては給付額や人数などごく一部しか公表されていません。他の自治体では、見える化システムの分析データを広く公開し、医療・介護業界ともにサービス提供体制に活用し、無駄なく効率的な設備投資や人員配置といった運営に活用しています。

既存の保険者機能強化推進交付金と次年度から開始される介護保険 保険者努力支援交付金では、介護予防・健康づくりに関する取り組みに紐付いたものになり、用途は介護予防や健康づくりにより、地域のケア環境に変化をもたらすことを目的としています。

質問です。

介護予防・健康づくりに民間がかかわるためには、地域包括ケア見える化システムのデータが必要となります。市がICTを用いて集計したデータは、広く公開して民間に活用してもらうべきだと考えますが、ご所見をお伺いします。

【答弁概要】

地域包括ケア「見える化システム」は、都道府県や市町村における「介護保険事業計画等」の策定および実行を総合的に支援するための情報システムで、介護保険に関する情報をはじめ、地域包括ケアシステムの構築に関する様々な情報が一元化されたもの。

これは、厚生労働省のホームページにより広く公開されており、どなたでも閲覧が可能で、多くの方が活用できるデータベース。民間の事業においてもこれを活用し、今後の介護予防や健康づくりの事業化に役立てることが可能。

本市においても、現在、「第8期介護保険事業計画等」の策定を進めており、この「見える化システム」のデータを活用し、計画策定に反映させている。

市民の皆様に「介護保険事業計画等」を広く公開することにより、この「見える化システム」の分析結果に基づく施策の方向性や推進事項を周知していきたい。

 

②健康経営の活用

調査で、市内の企業における健康経営評価、健康経営の認定表彰、公共工事・入札審査で入札加点、融資優遇、保証料の減額 ・奨励金や補助金を確認しましたが、市では企業経営に資する取り組みは行っていませんでした。

国の成果指標では、年齢調整後の一人当たり介護費の地域差を縮減していくとありますが、そのためには、健康なままで退職し、健康寿命を延ばすことが必要です。

飯能市の地域包括ケアにおいて、健康である層を増やす視点が弱く、医療と介護でまとめている面があります。

健康づくりの取組みに積極的な優良事業所に対する認定や表彰は、そうした取り組みを補完し、地域包括ケアに企業がかかわる分野を増やしていくことが可能です。

質問です。

健康づくり宣言企業や健康経営セミナーから踏み出して、先進自治体にある、企業の経営に資する事業を行うことで、市民全体の健康に良い効果をもたらすことができると考えますが、ご所見をお伺いします。

【答弁概要】

健康経営は、従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践する経営スタイルのことで、従業員の活力向上や生産性の向上等、あるいは組織の活性化や、企業イメージの向上など効果が得られる重要な取組。

大手企業では積極的に進めてていると認識。一方で、経営基盤の弱い小規模の企業や事業者などでは遅れているのが現状。

企業経営に資する取組は、飯能商工会議所をはじめとする企業や事業者との情報の共有やニーズの把握、庁内関係部署や関係団体との調整が必要であり、現時点では、その具体的な取組を進める段階にない。

平成30年に策定した「第2次飯能市健康のまちづくり計画」に沿って、健康づくりを進めており、企業と協働し、①「企業と取り組む健康づくりの推進」と②「健康づくり宣言実施企業の増加」を推進目標に掲げ、取り組んでいる。

「健康づくり宣言企業」は、計画策定の当初では17社でしたが、現在では24社が参加。

市民の健康づくりを進める一つの方策として、働く世代、青年期や壮年期からの運動習慣や正しい生活習慣の確立などが、中長期的には市民全体に還元できる健康づくりであると考える。

今後も飯能商工会議所などの関係機関や関係団体と連携を図りながら、小規模の企業や事業者への健康経営を普及し、働く世代の健康づくりをより一層、推進させ、市民全体の健康づくりに繋げる。

商工会議所、企業や事業者との情報の共有やニーズの把握との答弁でしたが、行政内での調整は先行することが出来、飯能市では民間事業者提案制度でしょうか、協働事業提案制度を用いれば、具体的な取組を行政が主導せずとも進める事が可能です。

調整は理由にならないと考えます。ぜひ健康経営の取組みも検討加速いただきたいと思います。

 

③抗菌薬適正使用

今年の1月、厚生労働省は、経口抗菌薬の適正使用を推進する観点から、抗微生物薬適正使用の手引きを踏まえた取り組みとして、抗菌薬の処方状況を把握・分析し、抗菌薬使用量のさらなる削減を強化するとしました。これは、薬剤耐性に関する国家行動計画である薬剤耐性(AMR)対策アクションプラン2016-2020の目標である、2013年比で2020年に33%の削減が2018年時点で10.6%の削減と達成が難しいためです。

感冒などのウイルス感染症に対して抗菌薬が無効であり、処方不要と患者・家族への説明するよう、医療機関側で行われていますが、患者側から具体的な症状を差して処方の要請がある場合、処方されている実態があります。

広域な細菌に有効な経口抗菌薬の使用は、逆に広域な細菌に多剤耐性菌が加わることとなり、後々の細菌感染疾病罹患時に治療が困難となり、多剤耐性に対応した高度診療を要し、多額の医療費を費やすことになってしまいます。患者の状態などに応じて適切に受療できれば、コストは最適化され、医療費の抑制を期待できる。

市民の健康を支援するため、埼玉県内では三郷市や朝霞市(日本維新の会・埼玉県総支部の所属現職がいる自治体です)で、普及啓発が行われております。余った抗菌薬を適当に飲まない、余らせないよう広報しています。

質問です。

飯能市内でも上手な医療のかかり方の周知だけにとどめず、こうした抗菌薬の普及啓発を行い、医療機関側で活用していただき抗菌薬処方の削減、及び市民がセルフメディケーションを選択し薬局で適切な医薬品を活用することで、薬剤耐性菌への対処と患者と保険者双方に医療費削減が図れると考えますが、ご所見をお伺いします。

【答弁概要】

高齢化の進展に伴い、医療費の増大は本市にも大きな課題。

国が平成27年に定めた「患者のための薬局ビジョン」には、今後、更に高齢化が進展する過程では、高齢者を始めとする住民の多くが、地域での在宅医療を含めた必要な医療や、在宅介護サービスを受けることになると示されている。

「地域包括ケア」を推進する中で、やがては多くの住民が地域の身近な薬局を「かかりつけ薬局」として選択し、利用していくことを見込んでいる。

「かかりつけ薬局」を持つことや、その情報を補完する「お薬手帳」が一層、活用されることにより、服薬情報が一元的かつ継続的に把握され、それに基づく効果的な情報提供や服薬指導が行われることになる。

埼玉県でも2025年までに、すべての薬局を「かかりつけ薬局」にできるよう、薬剤師会と連携を図りながら現在、進めていると聞いている。

このことにより、本市においても多剤服薬や、重複診療をチェックし、過剰な処方を防ぐだけではなく、定期的に開催する「地域ケア会議」においても薬剤師に御参加いただき、在宅生活と医療をつなぐ役割として、御指導をいただいている。

住み慣れた地域で自分らしい暮らしを続けるという「地域包括ケアシステム」を推進していく中で、薬の専門家である薬剤師との顔の見える関係を築くことにより、在宅と医療機関との連携が円滑に進むものであり、市民の皆様の健康維持に繋がり、医療費の削減にも繋がる相乗効果が期待できるものと考えている。

かかりつけ薬局での対応とのこと、市民は市内の病院及び薬局を利用するとは限らず、答弁された内容では漏れがあります。だからこその普及啓発として、市が取り組みを進めていただきたいと考えます。

ケーブルテレビ放映予定は

12月23日(水)17:00~

です

 

今回も、少人数で、感染症対策をしての傍聴にお越しくださったり、また1階ロビーでのモニター視聴をくださった方もいて

本当に感謝です。

ありがとうございます。