坂井の所属常任委員会であります総務委員会での主な質疑と討論をご報告いたします。
【質疑】
・税所管分 歳入と歳出(市民税 資産税 収税)
1款市税の1項市民税、及び2項固定資産税と7項都市計画税
個人市民税と法人市民税、固定資産税、都市計画税いずれも滞納繰越分の計上額が平成30年度予算と比べ、大きく減少している。税の公平性が大前提であり、滞納の解消を急ぐべきところ、この形状はどのように考えているか。
【答弁概要】
滞納繰越分が減少していることは、これまでの滞納分を収納したことによる減少の他に、現年課税分の収納率が上がった結果、 収納未済が減少し翌年度へ繰越す額が減少したという状況。
同項続き
市税について、平成30年度と比較し、金額ベースでみると数億増えているが、構成比でみれば、43%が41.2%と減少してきている。国の資金などが増えた面もあるが、とはいえ20億円ほど予算が増えた中で、市税の伸びは少なく、今後の歳入に安定性から考えて、市税の構成比減をどう考えるか。
【答弁概要】
市税の構成比は下がっているが、市税の総額としては増となっており、影響はない。
2款総務費2項徴税費2目賦課徴収費
平成30年度と比較し、項も目もほぼ同額の計上でありながら、先の歳入の滞納繰越分は大きく減っている。同じ経費の計上であれば、成果つまり納税額で換算すれば同じかそれ以上でなければならず、滞納繰越が減るのであれば、経費も減らすべきではないか。
【答弁概要】
答弁滞納繰越分は減収だが、滞納者は相当数おり、滞納処分件数を減らすことはできないので、経費は減らせない。
・地方債
19款繰入金2項基金繰入金
基金繰入について、10億以上の繰り入れで残高が47.4億円。財政調整基金に至っては7.1億円とかなり少なくなる。平成30年度末と比較し、基金総額は3割近く減、財政調整基金は4割減となるが、今年度の繰入金額は、市政運営上リスクはないといえるか。
【答弁概要】
年々残高が減少しているが、大きな要因は廃棄物処理施設整備基金が30億円弱あったものが4億円弱まで減少しているもの。特定目的基金なので大きな影響はない。
財政調整基金については標準財政規模の10%程度という目標値があり、確保できた方がよいが、来年度の繰入金額は例年を下回る金額で予算を組めたので、財政的には安定していると考えている。
財政調整基金残高の適正規模はいくらなのか。
【答弁概要】
よく言われるのは標準財政規模の10%程度、飯能市の場合は17億円程度ということになる。
近年そこまでいったことはなく、災害時にも活用できる財源で、もう少し蓄えておきたいところ。
22款市債
臨時財政対策債が11億5千万円となっている。後年度にの基準財政需要額に加算され交付税措置ということで市は今まで答弁しているが、学識者の指摘によれば、臨時財政対策債の償還金相当額が交付金額ベースで地方交付税に上乗せされるとは限らないともある。
基準財政需要額は、行政項目別に人口、教職員数、児童生徒数、高齢者人口などを基礎に算出するとしている。飯能において人口減少は続いており、基準財政需要額が減少すれば、今まで臨時財政対策債で計上した全額が実質的に戻るわけではなくなると思うが、臨時財政対策債の計上についてどのように考えているか。
【答弁概要】
臨時財政対策債の基準財政需要額への算入は、毎年確実に算入されている。
国としても大きな発行額となっていることは周知の事実。残高の圧縮については国として施策を講じている。
同款続き
市債の構成比が増えており金額も5億円の増。残高は305億円、特別会計も含めれば472億円となるわけで、借入を抑えれば、元金償還の効果が増すと考える。国や県の交付金や支出金の対象となる事業であれば起債は必須だが、自主財源での事業の起債については、事業を後年にずらして、次年度以降に起債を遅らせてもよかったのではないか。
【答弁概要】
現在、起債借入の半分は臨時財政対策債。国庫補助金等を活用しながら、なるべく交付税措置のあるもの、有利なものを選択し、事業を進めている。起債にあたってはプライマリーバランスなども考慮し、後年度への過度な負担にならないよう借入。
【歳出】
2款総務費1項総務管理費2目文書広報費
広報発行事業の印刷製本費は平成30年度とほとんど変わっていない。ここ数年も印刷業界の低コスト化が進んでいるが、削減されないのか。印刷コストを削減し、広報の充実に充てるべきでは。
【答弁概要】
業者からの見積書を予算に計上。インクの原料の値上がりや紙の値上がりなどがある。予算執行時に競争入札を行っており、実際には安い単価で執行される。
2款総務費 1項総務管理費5目財産管理費
公用車管理事業 1750万について、適正規模はどう見積もっているか。定期的または将来に向けた見直しはおこなっているか。
【答弁概要】
庁用バス2台を含め、管財課管理分としては28台の公用車を管理。適正な台数というものは特段決めていないが、買替えの段階などで、1年でも長く乗るために注意すべき点を検討し台数管理に活かす。
管財課以外にも各部署において管理している車もある。本庁舎駐車場にも限りがあり、来庁者用の駐車場を圧迫しない程度の台数で管理する必要がある。また、今年度の台風19号の災害対応を受けて、災害時にどれだけ対応できる車が確保できるのかといった視点も加味しなければならないことが分かった。適正規模について柔軟な姿勢で、適正な公用車管理に努めていく。
2款総務費 1項総務管理費 9目企画費
行政改革推進事45万円の計上について、どのような行政改革効果を見込んでいるか。
【答弁概要】
行政改革審議会委員報酬と指定管理者選定委員会委員報酬が主なもの。来年度までを計画期間としている第6次行政改革大綱について新たなものを策定していく。委員から審議いただき、新たな行政改革の視点等を積み上げていく。指定管理者選定委員会は、令和2年度をもって指定期間を満了する施設が4施設あり、選定委員会を開催する。
9款1項消防費2目非常備消防費
市債が3300万、繰入金が4千万と大きく増えている。工事請負費と自動車購入費が理由と考えるが、国などの紐づき補助があるわけでもない。適切な修繕補修を行い、次年度に繰り延べが可能なものはなかったか。
【答弁概要】
3,300万円の自動車購入費は、積載車2台を購入するため、消防施設整備事業債にて対応するもの。4,000万円の工事請負費は、6分団2部車庫詰所の建設工事のため、消防施設整備基金から繰り入れるもの。いずれも国等の補助はない。積載車の購入も詰所の建設も計画的に行っている。
9款1項消防費3目防災費
防災行政無線の再整備に3億かかり、全て起債となっている。他県では市町村総合交付金で防災行政無線整備促進事業の補助がある事例も見受けられる。大規模な災害は市域をまたいで起こるものであり、継続費でも明らかなように、設備更新は何年も前から検討されるべきものであったことから、埼玉県にまずは、支援を継続して要請するべきではなかったか。
【答弁概要】
緊急防災・減災事業債を採用しており、元利償還金の70%が地方交付税措置の対象となる。
【討論】
議案第19号 令和2年度一般会計予算について、討論します。
今回の予算は、ここ数年で比較的緊縮と言えた平成30年度の予算及び決算と比較して、賛否を判断したいと思います。
平成30年度から20億程度の歳入増となるものの、市税自体は3億しか増えていないため、歳入における構成比が落ち、43%が41.2%と減少しました。国の資金などが増えた面もありますが、今後の歳入の安定性を考慮すると、改善が必要でした。
平成30年度と比較し、自主財源比率も55.3%から52.7%へ減り、基金繰入は10億以上の繰り入れで基金総額は3割近く減の47.4億円となり、財政調整基金に至っては4割減となる7.1億円と大幅減となりました。財政基盤の安定性が大きく損なわれています。この原因が平成30年度からの財政規模拡大であり、財政の安定なき拡大路線は妥当といえません。
市債の歳入構成比も増え、市の自主財源での予算規模の拡大とは言えないものです。一般会計の地方債残高は305億円、特別会計も含めれば472億円となります。国や県の交付金や支出金の対象となる事業であれば起債は必須ですが、自主財源事業の起債については、財政負担の平準化から事業を後年にずらして、次年度以降に起債を遅らせることを考えてもよい時期であったと考えます。
飯能市では、全庁的な業務の見直しと民間活力の活用、事業コストの削減、行政サービスの質の向上に向け業務の見直しを図り、民間の専門的な経営能力と技術力等を積極的に活用しますと述べています。さらに、持続可能な行政経営の推進として、選択と集中、民間企業等との連携、とあります。
しかしながら、今回の予算において、歳出の具体的見直しや事業廃止等財政効果について、言及がありませんでした。
他の自治体では、財政の非常事態宣言を行う事例など増えており、終了した事業や廃止した等を列挙し、財政健全化と市民サービスの重点化を進めています。近隣の東京都日野市では、飯能市より倍以上の一般会計予算規模を持ち、財政力指数は飯能を20ポイント以上上回る0.97、市税は歳入の構成比で飯能市よりも良好な44%ありながら、財政の非常事態宣言を行いました。
飯能市は、財政調整基金の残高が一般会計予算比で2.3%、飯能市の307億円の市債残高は一般会計予算比で100%を超えており、日野市の50%の倍です。飯能市は非常事態を宣言しないことが不思議な水準です。日野市では、飯能市同様に歳入不足は地方債発行や基金取り崩しで回避しつつ、今回の非常事態宣言により、財源不足の穴埋めを行う、基金や地方債の活用を抑えることができたそうです。
この事例を援用すれば、主要工事の休止、職員の時間外手当の削減、財政再建を進め歳入増加と歳出削減を図ることこそ、飯能市が直ちに予算において取り組むべきことであり、歳出の見直しが大きく取り上げられていない本予算については、反対の立場から見解を申し上げる次第です。