3月9日13:10~市政に関する一般質問を行わせていただきました。
初めて併用方式で行いましたが、構成にも課題が残り
反省点は、今後に活かしたいと思います。
以下、質問の概要です。
傍聴に来て下さった皆さま。
ありがとうございました。
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【産業振興と地域活性化について】
まず通告の1番目、飯能市の現状についてお伺いいたします。
埼玉県民の平均所得は300万円弱ですが、以前調べた平成28年統計はんのうによりますと、1人当たり市民所得は251万円、近隣自治体よりも下位にあります。さらに、公示地価、基準地価の総平均は平成18年約11万円/㎡が約9万円/㎡と2割減っています。西武池袋線沿線の平均地価約34万円/㎡、八高線沿線の平均地価約11万円/㎡を下回っており長期低落傾向のままです。
質問です、魅力ある市政、街づくりの点から、この状況への対応は今までどうとられてきたのか、現状についてはどうお考えなのか、お伺いします。
次に、国の地域経済分析システム、リーサスの活用結果についてですが、地域の産業特性を生かした企業誘致や経営支援を進めるため、産業分析に基づく産業政策構築を行うということは議事録からわかりました。次の項目で事業についてはお伺いするものの、過去の議事録を読みますと、一時期リーサス活用について答弁があったものの、どう分析しての現状かが見えぬままでした。リーサスでは、産業構造や産業分類ごとに企業数より付加価値の高さを見るとか、稼ぐ潜在力など、近隣自治体比較でどこを参考にするべきかわかります。
質問です、どう分析をおこなったかをお伺いすると共に、飯能の地域特性を生かした産業振興と雇用創出、地域資源の活用による第6次産業化の研究、精明東部地区へ企業誘致や産業立地手法につながったのかお伺いします。
次に通告の2番目、実施事業と成果についてお伺いいたします。
現在の総合振興計画5ヵ年では、空き店舗での出店年5件で25件、企業誘致による新規雇用者数1,143人を1500人へ、起業・創業件数を年10件で50件を目指すとあります。飯能市サテライトオフィス等促進事業補助金、飯能市空き家バンク制度など、メニューも様々あります。
創業支援事業計画については国の認定により、国から創業支援事業者である商工会議所や地域金融機関や企業NPOへ補助が出ますが、補助率3分の2、上限1000万と支援規模には限界があります。
創業者が特定創業支援を受けた場合は、創業者へ補助金も追加されますが、これら全ては国の制度メニューで対象となったもので、飯能市独自ではありません。事実件数目標も15件目標が9件、新規出店促進事業補助金も12件目標を6件と未達成でした。
日本再興戦略における目標値は開業率10%台へとあるものの、飯能市では経済センサス記載の市内事業者数約3000件から見て、目標未達成です。中小企業庁の実績調査でも、1000を超える多くの自治体がこうした事業を実施しているため、成果の出る地域と、未達成地域に二分化されています。複数の地域やサービスを比較して選ばれる厳しい現実であり、重複する事業だけでは自治体間競争に勝てないということになります。
質問です、取り組み自体は推進されているものの、自治体間競争で類似制度が多々実施され、埋没している側面もあるようですが、ご所見をお伺いします。
この制度には創業者側からみた課題もあります。様々費用補助があるものの、課題のひとつには、商工会議所への加入が条件、加入のメリットはあっても、固定費増となってしまう事。
二つ目は主催や共催の行事などへの対応、様々な経営以外の事案が加わり、本業に対応する時間やエネルギーを割かねばならないこと。3つ目は事業実績報告を含め、事業ノウハウを開示しないといけないという条件もあるとも聞きます。開示についてはビジネスコンテストも含まれます。
質問です、こうした事業運営における本業以外の課題についてはどうお考えでしょうか、御所見をお伺いいたします。
次に既存の商工業や観光支援についてです。助成や出資など、自治体とのパートナーシップということなのですが、実態は民間単独での資金調達ができない状態が放置されている状態です。信用保証ならばともかくですが、各事業者の競争力が必要であり、競争力の回復が進まないまま、物量作戦で成果未達は多くの自治体でも見受けられます。
商業については、コンビニ、スーパー、ショッピングモールやチェーンの飲食店、インターネット通販など購入形態の変化や消費嗜好の変化・多様化に追いつかないままです。
こうした構造では、店主の高齢化による事業承継の頓挫など、売上げ減、空き店舗化による税収減が起こります。税支出以外の施策として、行政は道路使用、公園活用許可など、仕事や事業拡大ができる支援が可能です。
エッジのきいた店、多様化する価値観の中で共感を呼ぶ、ベクトルを同じくする人が集まる、魅力ある事業者が集まる地域は、そうした事業を志向する人や物や金が集積する構造があり、最も有名な例としては、集積の結果として世界を変える地域になったシリコンバレーでしょう。事業構造を高度化させ、再投資や関連企業の進出につなげる政策が重要です。
質問です、費用対効果の効率性の向上をはかり、地域全体での生産性を上げる事業支援と、現状の既存事業者への支援との差についてはどう考えておられるか、ご所見をお伺いします。
また、飯能の市財政面で考慮すると、成果目標について満足度や立地数では、効果を定性ではなく定量的に計ることができません。産業活性化は、人、物、金が地域から減っていく状況を解消するためであり、投じた税金よりも多くの経済効果を得ねばなりません。単一の対策ではなく、次善の策、追加の策があってこその活性化です。件数と予算計上額が数値目標では、目標設定を達成した後の成果が見えません。産業振興は具体的な前述の費用以上の税収増など成果を必要とします。
質問です、具体的な税収の目標値を設定しなかったのはなぜか、また、今までかけた費用対効果をどのくらいと算出し、税を投じて何を達成しておられるのか、お伺いします。
次に通告の3番目、法人市民税の基盤強化についてお伺いいたします。
法人市民税を考えれば、個人事業主ではなく法人による事業所や店舗増が必要で、定額の均等割、利益に応じ法人税割が増えていきます。現状の施策は必要な経費を補助ということですが、実のところ初年度から黒字決算になる事業所ばかりではなく、固定費が大きな負荷となる年もあります。法人は赤字でも売上げが1000万円を超えれば消費税がかかり、そうでなくとも必ず資本に応じた法人市民税均等割を支払うことになり、創業直後の資金繰りに苦労する中小零細企業もあるわけです。1号法人が減少にある中、税収の基盤として対策が必要です。
そこで、法人市民税均等割を賦課する初年度や翌年度の決算においては、一部減額や免除により、支援を図ることで事業所増の一翼を担えると考えます。税の公平性についても、飯能市内で事業所を作ってもらえなければ、法人市民税均等割は一円も増えないことから妥当性はあり、支援終了後は毎年納税が確保されます。宇都宮市では法人市民税の法人税割についても不均一課税による減免を進めています。
質問です、リーンスタートアップを支援するため、均等割など法人市民税について、事業所新設について不均一課税や後年割戻しなど、固定費の削減を事業所誘致の一施策として追加してはどうか、お伺いいたします。
小規模法人においては、建物の工面が大きな初期コストかつ固定費となり、課題です。飯能市内においても、SOHOに近い民間のシェアリングオフィスがいくつかあります。市が施設を用意することは民業圧迫の点から不要ですが、すでに事業化しているサテライトオフィス支援と同様、低利用の公共施設や用地の活用は検討してよいものと考えます。
質問です、創業支援にシェアリングエコノミーの応用であるシェアリングオフィスについて、店舗や事務所を按分した家賃としてくれる所有者を募ることや、公共施設活用を民間の手上げ方式で事業化してはいかがでしょうか。
企業誘致事業についても、27年度は工業団地2社、企業立地奨励金12社に1億円少々、雇用促進奨励金3社450万円となり、28年度は企業立地奨励金14社、雇用促進奨励金4社、サテライトオフィス促進事業補助金、28年度5社立地でサテライト1社と立地は進んでおり、毎年固定資産税相当の2億円台の支援があるものの、支援後は固定資産税含め、誘致効果がでます。
ただ、こうした工業団地は何度も設けることができるわけではなく、特需という扱いになります。今後の立地は民間主導となるわけですが、そこへの市のアプローチは現状見えていません。法人市民税は過去、平成19年度12.2億円、予算の約5%に達しており、最近は約3%です。その割合からすると、法人市民税は15億円くらい、法人決算の変動を踏まえればさらに多少上乗せした額で計画するべきではないかと考えます。
民間主導の企業立地については、広報が重要です。消費者である市民はもとより、企業も自治体区分で地域を考えて生活や事業運営をしません。つまり、圏央道が地域産業活性化の起爆剤で注目を集め集積した後、さらなる立地、土地利用を最大化するためには基礎自治体間の連携が必要であり、圏域での強化が集積に効果的です。
従前の企業立地促進法に基づく圏央道・外環道ゾーン地域産業活性化基本計画では、飯能も産業拠点として県立自然公園を含めた地域指定を行い、平成28年度終了でこのゾーン全体での具体的な成果目標として業種全体の付加価値額や製造品出荷額増加額を数千億円としていました。
地域再生計画においても、埼玉県企業拠点強化促進計画が今も続いており、飯能市より県北地域で地方における本社機能の強化を行う事業者というものですが、これが各企業への周知、立地動向とマッチしているかが論点となります。事業者からすると、あくまで交通アクセスなど立地の利点、土地価格、人件費や他社動向が検討事項に使われるわけであり、圏央道のインターチェンジを起点として、圏域の狭山市、入間市、日高市、鶴ヶ島市、青梅市、瑞穂町一帯での状況と周知が重要です。
地域圏としての立地は、中核となる都市や自治体を核に、50万人を超えると、その一帯で一定の競争力の下支えになるとの指摘があります。最低でも30万人であり、飯能市檀独では難しい面があります。今回の質問の基本構成はこの点がスタートであり、近隣自治体を包括した産業構造として考えると、この人口規模に大きく近づきます。なお、規模を得るために面積を広げすぎた場合は、各自治体への財政効果が薄まるので、注意が必要です。
この圏域で見た場合、飯能市が1人当たり市民所得で下位にあること、公示地価、基準地価の総平均が落ちていること、鉄道沿線の平均地価を下回っているマイナス指標は、逆に立地における低コスト、つまり大きな利点となります。
広報による活性化を進めるには、企業の投資ニーズを掘り起こす独自情報が必要です。市のwebにある飯能大河原工業団地のご案内にあるような優位性に加え、前述のマイナス指標による企業コストのメリット、アクセス道路と鉄道、近隣自治体を含めた立地企業、主な事業所の企業情報、立地企業の声として他所よりの比較優位性と立地した理由、優遇措置の一覧を作ってはいかがでしょうか。民間での土地取引が活発化すれば、路線価など各指標の改善要因となり、市財政への効果も期待できます。
質問です、東証などの日本取引所グループでの上場会社、その他名古屋、札幌、福岡の取引所を含め約4000社へ立地案内を郵送し、投資ニーズ掘り起こしを図ってはいかがでしょうか?
産業誘致は、単純に企業が郊外で立地という時代はずいぶん前に終わり、圏央道特需の物流拠点も落ち着き、今は災害BCP対応や企業の設備外部化による情報通信企業のデータセンター設置がみられます。法人が増えると、関連して増となるのが、固定資産税です。
土地建物はもちろんのこと、データセンターでは、資産計上を要する30万円をはるかに超える高額の新規サーバがブレード単位で増えていくので、固定資産税の額も比例して増加します。さらに常時システム稼動による平均故障間隔や技術水準の変化により、定期的な機器更新で資産計上が繰り返され、施設規模以上の大きな歳入効果があります。
データセンター誘致は東京都内や多摩の郊外など分散して数多く設置されており、一企業が設置する場合は人員を多々要する事務センターを含めた複合施設になる事例もあります。複数企業のデータを預かるIT企業がデータセンターを設置した場合は、契約先企業が増えれば増えるほどサーバが増設され、市財政へ大きな税効果が得られます。飯能市や近隣自治体で誘致が進めば、設備修繕も含めた地元事業者への波及効果、情報通信裾野分野の企業が事業所を設ける可能性も出て、相乗効果が期待できます。
質問です、先の上場企業以外に、様々なIT事業者団体への働きかけ、展示会への参加を行い、効果の高い誘致活動を強化してはどうか、お伺いいたします。
法人を増やす施策の一つにCCRC(高齢者の移住促進)があります。近隣では秩父市が豊島区と検討を進めているもので、20歳代から60歳代の豊島区民に区がアンケートをとったところ、移住してみたいが4.2%、どちらかといえば、を含めると2割が移住を考えるというものでした。施設入居を待機して地域密着型施設の入居を求める方より、遠地でも早く安心して暮らせるところにという、ニーズの多様化も見られます。希望者の割合が少ないと見るのではなく、人口比で言えばかなりの規模となり、飯能市も都心部で土地を用意できない自治体との連携を模索してもよいものです。
都心部は飯能市以上に特別養護老人ホーム待機者が多く、ケアつきの住宅や特別養護老人ホーム、診療所を含めたコミュニティで移住が実現すると、関係する事業者が何社も参画し、地元土建業への波及効果や雇用創出効果もでるわけであり、住所地特例で市の社会保障関連負担も少ないかたちで法人税への効果も期待できます。一部自治体、杉並区の自治体関連携による整備、Share金沢やゆいま~る那須など、手法は様々始まっています。
質問です、CCRCについて、研究から事業多角化にむけた実施計画化を進めるべきだと考えますが、ご所見をお伺いします。
行政の業務の民間開放によって、法人を増やすことも可能です。指定管理者制度の対象拡大や、事業の民間開放により、行政のコストを削減しつつ、民間振興が可能です。公共事業についても、入札の落札率が上限に張り付き結果として競争性が見られない状況について、営業所を市内に設けることで入札できる事業者の範囲を大幅に拡大することで、事業所数を増やせます。
インフラ整備についても、対策が可能です。千葉市では都市計画道路、再開発について今後50年で着手ができないものは、災害時に必要なものを除き、計画を取りやめることを進めています。これは50年後に着手することで便益があるのか、そもそも移動形態が今のままであるかなど、そうした点から考慮したもので、今必要なものに税の支出を重点化し、活用の縛りをなくすことを目的にしています。
質問です、既存事業の民間開放のさらなる推進、公共事業入札の見直しや計画再配分による事業者支援について、ご所見をお伺いします。
森林の活用も早急に対応を図らねばなりません。木材については森林組合や既存事業者による事業提案などを追加するかたちが考えられるものの、所有者不明の森林は大きな課題になります。日経グローカル290号の記事おいても、飯能市では、所有者不明の土地の規模把握が完了しておらず、土地改良、農地活用、森林路、地籍調査といった事業への支障があると出ておりました。
最近の新聞報道によると、この課題は整理すれば大きなチャンスになる流れになってきています。政府は所有者不明の土地について、知事が利用計画を審査し事業者に10年間の土地利用権設定を認める方針で、関連法令を整備するということです。所有者が現れない限り利用権が延長され、所有者が判明後も所有者による利用権貸与も可能です。特別措置法案が3月上旬に閣議決定見込み、今国会成立、来年夏の施行が想定されており、森林の規模を得た事業者貸し出しが可能になります。
利用計画においては、地域福利増進事業が必要となり、森林の活用には薬木、薬用作物やきのこや山菜、たけのこといった特用林産物など、木材以外の資産活用が公益の点で視野に入ります。漢方薬に使われる各種薬用作物は、畑に適したものだけではなく、林など木々の中が推奨されるもの物あり、全国農業改良普及支援協会によれば、オウレンやジャノヒゲの栽培地は、林がよいとされます。
収穫物および生産物が日本薬局方の形状,品質等規格や試験に適合するものになるまで、事業者が貸与を受け対応することになれば、森林は大きな利益を市財政へもたらします。さらに薬用作物は市場がなく、契約栽培が主となり、日本漢方生薬製剤協会が指摘する原料生薬の安定確保、生産規模の確保が輸入脱却の課題としており、実需企業と近いことは利点でもあります。
埼玉県農林総合研究センターによる、きのこ類なども多品目を組み合わせた長期にわたる特用林産物の安定生産プランの埼玉県版では、熊谷市内試験林で複数の品種を栽培することで周年栽培が可能で、高めの価格設定で有利に活用が可能としています。既に秩父市では日本薬科大学と薬木のキハダを事業化しており、他にもホオノキが薬木として期待され、夕張市では植栽拡大が予定されています。
ただ、こういった新規事業は先行特需が常であり、遅れて参画しても主要事業者は他所で立地済み、来てもらえないということになります。そうならないためにも、所有者不明の森林をはっきりさせる必要があります。
質問です、特別措置法案を踏まえ、森林の活用をはかるため、所有者不明の森林と判明済みの森林の境界を明確にすることを先行させ、政府方針に即応できるようにしてはどうか、お伺いいたします。
第6次飯能市森林整備計画案においては、所有者不明森林を含めて、飯能市自らによる間伐等の実施とありますが、この想定コストはただ森林を管理する抑制の効果であり、利益を生み出せません。森林環境税とバンク活用が後年始まるまで待つのではなく、民間の森林活用にコストを配分することで、事業者が事業の進捗管理の一環として間伐を行い、森林が利益を生む形に変えることが可能ではないでしょうか?
質問です、本計画期間において間伐のコストはどれくらいと想定しているか、森林の管理主体を民間へ転換することによる産業への効果はどう考えるか、お伺いします。
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答弁内容を受けての、指摘・要望と、再質問をいくつか行いました。
ケーブルテレビの放映は、3月21日(水)21:00~の予定です。