広報委員会視察【滋賀県甲賀市議会】

令和元年8月9日(金)
全記事の高槻市議会さまに続き、滋賀県の甲賀市議会さまにお邪魔させていただきました。
調査事項も同じく「議会だよりの編集・発行等について」です。

甲賀市議会だよりもまた、近畿市町村広報誌コンクールで受賞されており、
その評価ポイントは

・広報特別委員会が、市内行事の撮影・取材・構成のすべてを手掛けている
・答弁の詳細をQRコード化

などだそうです。
何より、写真の評価はかなり高かったとか。

実際に見せていただいた議会だよりは、確かに写真がプロ。
街の人達や高校生のみなさんの表情、議員紹介の各議員さんの写真も、目線をちょっと上にいわゆる「素人を撮るプロ」の写真です。

全ての写真も広報委員のみなさんで撮影されているとうかがい、昨日の衝撃とはこれまた真逆の衝撃からスタートしました。

対応してくださったのは、議会事務局の職員さん2名の他

土山副議長
田中委員長
谷永委員
堀委員

のみなさま。

土山副議長さまからは「広報委員会の研修は特別。行政から学ぶのではなく、やっていることをお互いに肌で感じ、苦労や成果を学び合いましょう」とご挨拶をいただきました。

まさにその言葉通り、通常まず長めに時間がとられる市議会の概要や市のデータは資料参照で、各委員のみなさまがざっくばらんに我々の質問に答えて下さるという形式で進められました。

甲賀市議会だよりは、こちら昨日とは対照的に

A4サイズ
24ページ
全ページカラー

写真が多用され、その写真も選び抜かれた目を引くものばかり。
議会だけが盛り上がるのではなく、本当に市民の皆さまの役に立っているのか?という視点をベースに
イラストやマンガ、フキダシなどで若い人たちに関心を持ってもらう特集ページや、
議案についてはその概要説明から、委員会、討論、審査内容、代表質問、一般質問と、簡潔に読みやすく整理され、見出し等も工夫されていて、それでいてボリュームある内容。

特集ページについては、まず甲賀市が県内№1の工業生産地であることから、工場で働いてくれる若者が、三重にも京都にも県境の立地ゆえに出て行ってしまったら、街の未来が成り立たない。

そこで高校生にターゲットを絞って、高校生モニター会議「高モニ会議」をスタート。
期の浅い若手や女性の委員が中心となって、市内4校の高校を訪問、校長先生や現場の先生方に協力を求めたところ、その取り組みには非常にみなさん協力的で

また生徒会を中心とした生徒の皆さんも

議会だよりを初めてみた
関心はあった

と、前向きにしっかりと取り組んでくれたそうで、写真の高校生のみなさんの表情もまさにイキイキとしていて、リアルな高校生の声がぎっしり。
イラストやフキダシの構成が工夫されていて、これなら高校生のみなさんが実際に読んでくれるだろうな、と感じ、まさに唸る。

今後は、若者モニター会議「若モニ会議」、女性モニター会議「くのモニ会議」と、幅広い市民の皆さんの意見を聴き、親しまれる議会だよりにするための企画を次々に立ち上げておられました。

飯能市議会では、議会報告会や意見交換会など、「広報」全般がその役割でもあるのですが、私が委員になって3年目。昨年度も様々企画は話し合ったものの、実現に至りませんでした。

今回詳しくうかがった読者モニター会議については、真似できるところは取り入れていけるよう、課題としたいと思います。

こうした特集ページが若手や女性の委員中心の、新しい視点で作られている一方で、議案関連のページについては、期の長い実績のある委員を中心に、それでも全員持ち回りで、すべての原稿を書いておられるとのことで、これは私には大変重く響きました。

・広報をやると議会のことがわかる
・書くのは時間はかかるが、それが勉強
・こちらが伝えたいことを書くだけではなく、本当に手に取る人のことを考えているか

現状、飯能市議会の議会だよりは、作業分担としては大半が議会事務局。
委員会では、写真の選定やチェックが主です。

これを、「委員の持ち回りで全ての原稿を書きましょう」となると
閉会から入稿〆切までに、到底できあがりそうにないところです。

正直、今の私には全て一人で書き上げる力もないと思います。

でも、本当にこれは必要なことだし
私の場合、一人会派。
結局のところ、最終最後は一人で調査して、議案審査して、質疑して討論して、議場では一人。所属以外の常任委員会は全てを傍聴することさえ不可能です。

広報委員会で党派会派を超えて、実績ある先輩方と一緒に議会だよりの原稿を書く作業ができたら
徹底的に、市民の方にわかりやすく紹介できるところまで簡潔に書く作業を繰り返したら

新人にとってこれ以上鍛えられることはないし
いい議員も育つことになるし

議会改革にもつながるところです。

滋賀県内の研究会で、議会だよりは本当にこれだけの労力をかける価値があるのか、議会だよりは結局のところ議会改革であり、市長との対峙、議会のあり方を考えるところに行きつく…という話になるとうかがいました。

議会だよりというツールを通して、市民の方に議会を知っていただく、手に取っていただく、読んでいただく、関心を持っていただく。そうした目的の先に、議会のあり方や議員の議会への向き合い方も鍛えられるべきものであることを、すごく考える機会となりました。

飯能市議会広報委員会で、即取り入れられるところは限られますが、議会だよりに関する考え方そのものに多くの気付きをいただき、大変有意義な視察となりました。

甲賀市議会広報特別委員会のみなさま、議会事務局の皆さまには、あらためまして感謝申し上げます。
ありがとうございました。

 

追記:
ご対応いただいた谷永委員は、まさに議案関連のページを中心に編集されているとのこと。
所属政党の先輩でもあります。
お話をうかがいながら、「こんな先輩と会派で議案綴りや予算書決算書をひたすらめくれたら、長すぎる細かすぎる私の原稿をバッサリ斬ってもらえたら、どんなにか勉強になって鍛えられるのに…」と思ったことは言うまでもありません(笑)

谷永先輩、ありがとうございました。